久しぶりの雨の日曜、東京にて。

久しぶりに雨が降った。

降るとなれば半端には降らない。朝から、ザアっという音が窓越しにも聞こえてくる。

毎日が晴れだったので油断して、天気のことを意識もしないままに私は洗濯機を回した。

比較的少量の洗濯物は、出窓のカーテンレールに吊るす。扇風機を「弱」にして出窓に向ける。バスタオルやインナーがゆらゆら小さく揺れはじめる。


昼、外に出た。雨は上がって、空が真っ白な雲で覆われている。

真っ昼間だというのに風が涼しい。強い日差しと頭がぼうっとするような熱気が毎日続いた後とは思えない。

濡れた地面を踏みながら駅に向かう。

駅の中のスターバックスで時間を調整しつつ、今月から書いている長い文章を書き進めようと思う。この週末は忙しくてほとんど書けていない。


スターバックスは空いていた。いや、よく見ると「この席はご使用にならないでください」とシールが貼られていたり、「Reserved」の札が立っていたりしたからがらがらだったわけではない。

お気に入りの一人席を確保して、レジへ向かう。ホットラテと、ベーコンとほうれん草のキッシュを頼む。出来上がったものを持って席に戻って、先に食事を済ませる。

パソコンを開く。数日空いたので前回の終わりに何を書こうとしていたかを思い出す作業からはじまる。同じ項のそれまでの部分を読んで、流れを理解する必要もある。そうこうしているうちに、本調子になった頃には電車の時間が来てしまった。残りは車内で書き進めることにする。


キーボードを叩きながら電車に揺られる。地下鉄に乗るのは久しぶりだ。

有楽町で友人と会う。私の買い物に付き合ってもらって、1時間半くらいで必要なものを買いそろえる。即決即断でいい買い物ができた。一人で買いに行くとだらだらと決められないこともあるから、「人を付き合わせている」というプレッシャーはときに必要だと思った。


買い物を終えて、他の友人と合流するために東京駅まで歩く。

3時くらいにもう一度ザアザア降りの雨が降って、地面がまた濡れている。風はやっぱり涼しい。梅雨が長く続いたときには湿気にうんざりしていたものなのに、雨がもたらす涼しさがむしろ心地いい。1か月くらいで感じ方はこうも変わる。

東京駅の周りはさすがに人が少なかった。「オリンピックまであと334日」の電光掲示板が赤く光っている。最後にこの場所に来たときには「あと120日」くらいだっただろうか。カウントダウンの数字が増えていることも、変わった世界の風景の一部として見逃しそうなくらい自然に思える。


日が傾いた。夜の東京駅が赤く浮かび上がる。

地面はまだ湿っていて、街灯の光を受けてきらきらと光っていた。

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