夏がやってくる
暑い。
外に出てみたら、汗をダラダラ掻くという言葉そのものになってしまい、ハンカチを持っていなかったら……と恐ろしくなった。ハンカチ、それは夏の必需品。
暑いと体力がごっそりと削られていく。
自分でも気をつけているつもりでも、そうとうな量の体力がなくなっているようで、たった数段の階段で息切れをしていることに気づいたとき、かなり嫌な気持ちになった。自分はもっと頑丈だ! とも言いたいし、こんなに体力がないわけではない、と言いたい。
それはともかくとして、運動不足であることは間違いないだろう。
適切な運動量がわかっていない。
ジムに通おうとしていた時期もあったけれど、結局週に一回のランダムな運動で成果が出る気がしなかったのでやめてしまった。自分の好きな器具で遊ぶように運動をするイメージがはびこる。
それにジムは……高い。維持費がすごい。金額に見合った運動ができる想像もできなかった。私はたまに体験するぐらいが良い。
もう少し稼ぎがあったら行くかもしれない。今はまだやれそうにない。
水泳は好きだった。水との一体感が好きだった。
決して早く泳げる方でも、長く泳げる方でもなかったけれど楽しかったのを覚えている。今だって泳ぐのは好きだ。水着はもう数年着ていないけれど。
ぶくぶくと白い泡が浮かんで、弾けて消えるのは青空にぴったりだった。
夏の暑い日のプールが好きだ。あの水を弾くタイルの生ぬるさと、決して家では嗅げないプールの臭いがなんとも言えない気持ちにさせてくれる。
多分もう屋外プールに行くことはないと思うのだけれど、あの日々を思い出したくなって近くを歩くことがある。
今、開放されているのかわからないプールのことを思いながら散歩をする。蝉の音はまだしない。子どもの声も聞こえない。ただゆっくりと、夏がにじり寄っているだけ。
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