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囲碁界が詰んできた(後編)

前編はこちら↓↓
囲碁界が詰んできた(前編)

囲碁界のマインド

コロナ問題で瀕死の囲碁界。
ほぼ詰みかけているように見えます。

しかし、コロナはただの決定打というだけであって、元々の業界的な構造や考え方に問題がありました。

これから個人的な見解を述べさせていただきます。

棋士の修業時代

棋士の修業期間には棋力向上を中心に指導されます。

礼儀作法も指導されますが、これはファーストコンタクトのみの話で、実際にコミュニケーションを取る以降の話はほぼ皆無に等しいです。

まぁ、当たり障りのない関係のときに不快感を与えないように程度のことですね。

そのレベルでどうやって人付き合いという難題にチャレンジしていくというのでしょうか。

棋士はその気になれば、本当に社会との関わりを絶って引きこもれる職業です。

正直なところ、コミュニケーションを取ることが苦手な人も数多くいます。
そういう人でも、なりやすい職業ということもあります。

プロになるための修行期間はそれでよかったかもしれません。

棋士の使命

「棋士になる=社会に出る」ということなので、社会との関わりを絶つのは何かが違っていると思います。

棋士には、使命が二つあります。

①素晴らしい棋譜を残すこと

②囲碁を普及させること

日本棋院の定款にはこれが記載されていると、私の師匠から聞きました。
だいぶ前の話なので今は分かりませんが、定款に載っていなくてもこれが大事なことくらいは誰でも分かるでしょう。

一昔前は素晴らしい棋譜さえ残していれば、勝手に囲碁界が盛り上がっていました。

新聞で1日10手ずつ進行するような棋譜を、毎日楽しみに見ていたりするような時代です。

他の娯楽の数も少なく、ライバルも少なかったです。

アナログに、時間をかけて楽しむ。

すべてが囲碁に合っていた時代と言っても過言ではないでしょう。

時代の移り変わり

そして、月日は流れました。
現代で前と同じようなことをしていたら、アウトです。
当時とは真逆な社会になっています。

ゆっくりとした時間を楽しむ余裕もなく、スマホなどで隙間時間を争う時代です。

さらに文明の発達により趣味の多様化、エンターテイメントの充実。

昔の囲碁界の体質とは相性の悪さが抜群です。

棋士のマインド

手合い(対局)で勝つことが、棋士として勝負師としての使命。
100%とは言いませんが、体感的に90%くらいの割合いを占めていると感じます。

正直な話、手合いだけで十分に生活できるとしたら、レッスンをやらない人はたくさんいると思います。(あくまで個人的な体感)

このマインドは棋士が悪いというわけでなく、修業時代(主に10代)にそのような考え方を叩き込まれたことに問題があると思います。

当時はトーナメントプロが正義で、レッスンプロは落ちこぼれみたいな。

棋力もそうですが、10代に培った価値観というのはそう簡単には変えられません。本人の性格とまでは言いませんが、それに近いものがあると思っています。

これらの考え方は、前出した一昔前の囲碁普及が根本にあるのだと思います。

棋士のマインドと、時代の移り変わりのギャップが囲碁界衰退の理由でしょう。

日本棋院は棋士の集団という認識なので、ほぼ同義とさせていただきます。

業界人のマインド

棋士のマインドと時代のずれを書きましたが、棋士以外のところでも問題が大ありだと思います。

・囲碁サロン&碁会所の経営者
・アマチュアインストラクター
・囲碁ライター
・その他諸々の囲碁関係スタッフ

元院生や、学生時代に活躍した人など、棋力の高い人が中心に回っています。

これは囲碁という専門的な分野なので、誰でも簡単には仕事にできないというのが影響していると思います。

しかも、儲かりにくい業界なので囲碁が好きではないと続かない。
そもそも好きでないと囲碁を仕事にしようと思わない。

ここまで書いただけでも、もう指摘しなくても業界的にまずいのは分かりますよね。

私もサラリーマン的なことをしたあとの囲碁界復帰組です。

元院生で囲碁がそれなりに好きだし、社会に馴染みにくい性格だったりと、これまでの悪条件に当てはまっています。

同じ穴のムジナなので偉そうな考察をするのはお恥ずかしい限りなのですが・・・。

棋士と業界人の共通点

ここからが本題です。
囲碁界の問題点は大きく分けて二つだと思います。

①囲碁が好きだから、低収入でもOK
②個人主義者の集まり

解決策は

もう詰む寸前の囲碁界ですが、これを機に意識改革をすればまだ間に合うと思います。他の業界に比べたら羨ましがられるほどの囲碁人口が、まだまだいるのですから。

①棋士は危機感を持って、人との関わりをもっと深める

棋士は囲碁が好きすぎるので、あまり派手な生活はしません。
囲碁が生活の中心です。お金をそんなに使わなくても生活できる人が多数なのです。

なのでもうすでに今の生活に満足していたり、生活に余裕があることからそんなにしっかりと社会に出ていかなくてもと思ってる人も多いのではないでしょうか。

勝っている人なら本当に賞金は高いですからね。

棋士によって良かった時代を長く過ごしてきたなら、貯蓄もかなりあることでしょう。

業界的に危機感があるといっても、個人的な生活に危機感があるかというとそんなことはないという人も多数いると思います。

できれば、のんびり暮らしたい・・・。

生活がかかってないと、本当の意味での危機感が生まれにくいのは当たり前ですよね。

具体的な提案(棋士編)

棋士はもっと自分の教室を持つべきだと思います。

①大人の教室と子ども教室を週に1回ずつ開催。

②年に1回、地元の小学校で囲碁入門教室をボランティアで開催。

棋士全員が上記を達成すれば、囲碁界は立て直せると思います。

①は曜日を揃えれば同じ日にできますし、②は年に1回のことです。
とても簡単なことかと思います。

①についてですが、地元や少し大きな碁会所へ行けば喜んで場所を貸してくれると思います。

歩合制なら。

来てくれた生徒さんから碁会所の席料に上乗せして指導料をいただけばいいのです。
これなら棋士も碁会所側もノーリスクで教室を始められますし、お互いに生徒さんを増やそうと協力体制が構築されます。

これまでの風習で棋士が動いただけで○円です。
というのでは誰もお願いできなくなっています。
だって、お願いしても赤字になることが多いですから。

棋士が率先してブランド構築をしてくれないことには、碁会所側ではいかんともしがたいのが現状です。

自分で稼げない=棋士の価値を伝えられない人

上記にならないように取り組むのです。
棋士は魅力的な存在です。
本気を出せば、絶対に生徒さんは集まります。

碁会所とWin-Winの関係を構築していきましょう。
他人任せではもうどうにもなりません。

いろんなメリットがある

棋士がレッスンなどの囲碁普及活動をしていると、必ず棋士個人にファンがつきます。

自分のファンが応援してくれたらうれしいですよね。
自然に手合いを頑張ろうという気持ちになれるそうです。

これは何人もの棋士から聞いているので間違いないです。

収入も安定しますし、精神的にも落ち着けますね。

適度な囲碁普及は精神的にもよく、手合いにもプラスです。

②棋士以外の業界人

囲碁界のためにもっと動いて稼ぎましょう。

それは派手な生活をするために稼ぐわけではありません。
なので個人的に、生活に満足をしていても関係ありません。

使い道がないのであれば、できるだけ稼いで囲碁界のために使ってください。それが自分のためにもなります。

具体的な提案

こちらも棋士とやることは変わりません。

とにかく動くことです。時間が許す限り。

仕事への営業として

・棋士と交流
・碁会所と交流
・お客さんとの交流
・イベントの企画

さらに実際の行動として

上記の方法で教室を増やす
・イベント開催
・オンラインでの活動

・ブログやSNSの発信(ライター狙えます)

稼げない、稼げないと言う前にやることはたくさんあります。
ネットで調べてコツを学んでみるとか、少し稼いでる人の真似をしてみるとか。

向上心のある人ならすぐ行動できます。
ノーリスクでやれることは山ほどあります。

やるべきことをやっていたら間違いなく稼げるようになります。
これまで囲碁界でやってきた私が保証します。

他人任せにしていないで、自分の足で動いてみてはどうでしょうか。

業界人のみなさま。

最後に

一番考えてほしいのは、お金をもらうということは社会貢献です。

社会貢献とは社会がより良くなるための行動です。
社会の課題を解決する行動をしていれば、自然と達成されます。

囲碁というものに、社会は何を求めているか。

時代は間違いなく変わりました。
今の囲碁界が提供している社会貢献は縮小してきています。

勝負を大事にするのは当然ですが、勝負の世界の素晴らしさを伝えることも大事です。

現状を変えたくないという気持ちは分かりますが、もうそんなことは言ってる暇はありません。囲碁界を立て直したいという気持ちがあるなら、すぐに変わるしかありません。タイムリミットはもうすぐそこです。

囲碁界とかどうでもいい。
自分は生活できているし、これからも多分大丈夫。

これを言ってしまうと、もう今後の囲碁界は終わりです。
囲碁界に入ったばかりの若者や、これから囲碁界に入ってきたいとしている子どもたちには未来がありません。

これらのことはそれぞれの人生ですから、決して強制できるものではありません。

だからお願いです。

囲碁を好きだという気持ち
があるのであれば、是非とも前向きに取り組んでいただきたい。

そういう人が出てきたら全力で応援します。
これまでもそうやってきたつもりです。
そして、今後もそうします。

私は、世の中の大多数に「魅力のある囲碁」を伝えられていないのが悔しいです。

今後も自分なりに囲碁普及をやっていきますが、業界人の一致団結が必要です。

応援してくれる囲碁ファンはまだまだたくさんいます。

業界人と囲碁ファンが前向きに一致団結して、囲碁界全体でこの危機を乗り越えていきましょう。

みなさま、ご協力をよろしくお願いいたします。

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