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黒パグの桃

2006年の12月に妻とペットフォレストにふらりと立ち寄りました。
夕方でした。
客も少なく、犬のショーケースを見ていると、店員さんがショーケースから犬を出して見せてくれました。
お勧めのフレンチブルドックをショーケースから出して、私たちに勧めるのですが、
寝ていたフレンチは、元気がなくとても汚れていて臭かったので、抱き上げることは断りました。
続いて奥から抱いて来たのが黒パグの女の子です。
そのときの私たちは、パグと言えばフォーンと思っていましたので、真っ黒なその子には気が向きませんでした。
黒パグの女の子は、体も小さく痩せていて風邪もひいているのか鼻水を出していました。
鼻提灯を店員の女性が指で拭って、少しでも見栄えの良いように抱き上げて角度を変えて見せようとする感じがわかりました。
そのときの女性店員の仕草は、売れ残った貧弱な黒パグをどうにか気に入ってもらえるように必死に体裁を整えているように感じました。
黒パグのその子は、そんな店員の気持ちを察する事もなく、鼻水を垂らしながら寝ぼけた様子でした。
私は、その時この子を私が買わなければきっと誰も買わないに違いないと思いました。
切なくなり、愛しくなりこの子を迎え入れることを瞬間で決めました。
検査をしてから、引き渡します、となりその日に家に連れて帰ることは出来ませんでした。
後日お迎えに行くことになり、その日は帰りました。

数日してペットフォレストから電話がかかってきました。
検査の結果、虫がわいていることがわかりました。
どうします?
と聞かれました。
どうするとは、どうゆう意味ですかと尋ねましたら、虫がいる犬はいらないと言うお客様が多いので、と言われました。
私は、びっくりして、そんなこと気になりません。
虫下しで虫を出してしまえばいい話ですよね、と確認し、そんなことで一度家に迎え入れる事を決めた事を変えたりしませんので、虫下しの処置をお願いしますと言いました。

犬の名前を家族でいろいろ話し合いました。
桃(もも)としました。
後日血統書が送られてきて、そこに記された犬舎での名前が、アンジェリカピーチでしたので、桃とピーチで偶然ですが同じだと家族みなで笑いました。

数日して、迎えに行く日が決まり、妻と一緒にペットフォレストに行きました。
手続きをして、保険をかけて所定の動物病院に通院することを言われて代金を払いました。
黒パグの女の子は段ボールのケースに入れられて手渡されました。
段ボールケースを妻が抱え、私は車を運転し自宅に向かいました。
段ボールの蓋を中からぐいぐい押して開けようとします。
妻が箱の蓋を開けるとそこからぐいっと頭を出してくりくりの大きな目で見上げてきました。

桃~00


家には、ケージを用意しており、ベットとトイレを入れていました。
犬の買い方の本も買って読んでいました。
まず、一晩は環境が変わって犬も神経質になっているからあまり触ったりしない事、と本に書いてありましたので、ケージに入れて、犬の体にはあまり触らないようにしました。
家に帰って気づいたのですがすごく臭い。
次の日、ケージの中で飛び回る黒パグは、うんこまみれでした。
下痢をしています。

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予防注射をするまで外に出してはいけないと言われていたので、お風呂もまだ駄目なのだと思っていましたが、うんこまみれだったのでこれは洗うしかないとお風呂場に連れて行きシャワーと犬用シャンプーでゴシゴシと洗いました。
風呂上がりの桃ちゃんは、つやつやの黒光りした黒パグちゃんでした。
全く臭くありません。
すごく臭かったのは、体中に糞尿がついていたからだとわかりました。
清潔に洗えば臭くないことがわかり安心しました。

黒パグのももちゃんとの出会いの話でした。

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