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病院の大部屋

大部屋に入院した。
6人部屋です。
仕切られたスペースの中に、ベットと棚がついた机と椅子。
その棚の背後にロッカーが組み込まれていて、テレビも内蔵されている。
テレビはイアフォンでしか音を聞けなくなっている。
DVDも付いている。
音が出る物は無い。
カーテンだけなのだが、これが全くプライバシーが守られていて、どんな人なのか顔もわからない。
大部屋だと他の人との会話などもあるのかなと思っていましたが、全然そんな事は無い。
カーテンで仕切られていて、会話も無い。
知り合いになるとか、話をするとかを希望しているわけでは無いのだが、とても静かだ。
病院だからそれはそうだ。

私も自分の手術が終わるまでは、余裕もなく自分を見つめるだけだったが、無事終わると退屈が始まり他の人たちや環境に目がいく。
まず気づいたのが、病院内が清潔である事。
コロナの事もあってか、あちこちで消毒している。
ベットや備品をこまめに消毒している。
トイレも臭くない。
古い病院の様だがキチンとしている様子だ。
何処とは言えないが、大腸科は大便のにおいがどこか漂っている。
この病院は臭くない。
この病院はいい病院だと思った。
スタッフにも色々な種別がある。
医者、薬剤師、看護師(女)、看護師(男)、看護師補助、寝巻きなどを運ぶ業者の人、食事の配膳係、掃除のスタッフ、事務員。
この人たちは全て制服が違う。
そしてひっきりなしに病室にやってくる。
そこでの会話は、大部屋なのでそこは筒抜けです。
聞くとは無しに話を聞いているうちにその人たちの事情が分かってきます。
私の右手の方は、腸閉塞の疑いがありもう1ヶ月も入院している。
絶えず見回りに来ている医者や看護師の指示に対して従わず「いや大丈夫だ」とか「これはいい、いらない」と3割ぐらいは自分の意見を通している。
医者が「CTだと腸閉塞なんだよね。いつも〇〇さんはは大丈夫と言ってくれて、〇〇さんと話すと安心しちゃうんだけど」いやいやいや、そこはCTの結果を通すべきでしょう、と思ってしまうやりとりが聞けるほどその場を支配している。
「牢名主」と命名した。
大部屋を牢屋に例えるのもなんので「老名主」に変更します。
左手の方は、深刻な感じで、手術で取りきれなかったので放射線か薬物治療を検討している。
みんな痔の患者なのかと思っていたのでですが、様々の様です。
でも明るい受け答えが聞こえます。
30代くらいにみえます。マスクをしていますが、濃いヒゲがマスク周辺からはみ出ています。
凄い標準語で、テレビマンみたいな話し方をします。「〇〇チャン」と実際には言わないのですが言っている様な印象です。
若い女性看護師に労いの声をかけて、話しを弾ませているかと思えば、気に入らない質問には返答しません。
印象から名づけると「髭モジャテレビマン」
向かいの人は3日目に退院しました。
彼は私同様痔の様です。
退院後の注意点などの説明が聞こえました。
彼の退院後にすぐ別の男性が入院してきました。
彼の事情も筒抜けです。
血液サラサラの薬を飲んでいて、もし転倒して頭を打ち内出血したらおしまいだと言っています。
私の義父もそうでした。
サラサラの血液に薬でなって、脳内出血で意識を失いました。
50を過ぎたら血圧は140は必要だ。
130以下が良いなんて出鱈目だ。
と血圧を測りながら言っています。
看護士は、人それぞれですから、と流していました。
血圧に関して、テレビはウソを言っている。
と言う彼の意見には私も同感です。
彼の印象は、髪の毛はベートーヴェンみたいなウエーブのかかった長髪で、髪の長い大学生が活動家になってそのまま老人になったような印象です。
彼の口癖は「これはえらい事になった」そのあと舌打ちをします。
バリトンのいい声で、ずーとぼやいています。
老人活動家の様に見えましたので「ボヤキ左翼」と名付けました。
しかし彼が本当に左翼か否かその主義は分かりませんので、新聞記者かカメラマンの様にも見えましたから「ボヤキ報道カメラマン」と命名します。
何処かが痛いらしいのですがある注射を打つと治るそうです。
しかしその注射は凄く高い注射で、役所がそんな高い注射は打たないで欲しいと思っているはずだ、だから転院を進めてきたのだ。
と主張しています。
「これはえらい事になった」あの注射さえ打てば痛みはスート消えるのに、ここではその注射を打ってくれない。
代わりにこんな点滴をつけられて身動きできない。
煩わしい。
これをとって欲しい。
トイレにもいけない。
まあ、痛くは無くなったんだけどね。
痛くないんかい。
彼はその後大騒動を起こします。

向かいの右隣は謎の人です。
ほとんどカーテンから出てこないのと、看護師さんとの受け答えもほとんどしません。
若い人の様に思いました。
それは、シャカシャカ音が聞こえるからです。
電車とかで大音量をイヤホンで聴いている人の音漏れがシャカシャカ聞こえますよね。
あれと同じ音が聞こえて、リズムをとるように膝を叩いている様な音がパンパン聞こえるからです。
ところが若者ではなく自分と同じぐらいの年配でした。
「ロック親父」と命名しました。

この様に、大部屋はやはりプライバシーがあるようでないような、そんな感じです。

さて、個室がいいのか大部屋がいいのかなのですが、私はスターや政治家でない限り大部屋で良いと思いました。
自分は病気ですから、人の目を気にするような余裕もありませんし、コロナで家族の面会も出来ません。
大部屋でもカーテンの中ではプライバシーが守られています。
人の気配があるのも良いです。
一つ問題があるとすればイビキです。
自分は妻からイビキがうるさいと言われいます。
初日の入院説明でもイビキをするか確認されました。
はい、しますと回答すると
ひどいようならイビキ枕を支給します。
と言われました。
それはなんですかと尋ねると、イビキを感知するとビリビリして起こす枕だそうです。
それでもイビキがひどい時は別室に移動されるそうです。
個室になるのでしょうか?
費用が気になります。

そしてやはりイビキは問題になりました。
詳しくは、「イビキ」に顛末を書きました。
ご興味のある方はご覧ください。

なぜこのような大部屋について熱く語るのか経緯をお知りになりたい方は、「入院手続きとPCR検査」からご覧いただくとわかると思います。
ご興味のある方はご覧ください。


全容が知りたい場合は、「痔になったのか」から始まる長いお話をご覧ください。

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