見出し画像

21世紀に短波放送が必要になるとは思わなかった

短波放送をご存じだろうか。英語でもそのまま shortwave radio といい、SW などと略される。短波放送は、雑に説明すると、普通のFM放送とAM放送の間にあたる 3 MHz から 30 MHz くらいの周波数帯域の電波を使った放送で、電波が届く距離が非常に長い(エリアが極めて広い)という特徴がある。AM放送と同じ振幅変調なのでノイズには非常に弱いものの、世界の各国の放送局の放送を聞くことができる。

例えば NHK は、下記のように 6 MHz から 21 MHz の周波数帯で各国語での放送をおこなっており、様々な地域で各国語での放送を受信することができる。

その古典的な放送システムが、2022年にもなって、悲しいことに戦争によって再び脚光を浴びているようだ。

例えば、下記のように、BBC が情報統制がおこなわれているロシアに向けて短波放送をおこなっているという報道があった。

NHK も、ロシア国内での放送を停止せざるを得なくなったことを受けて、国外からの短波放送を強化すると表明した。

また、情報統制等がされていない場合でも、戦争や災害による放送設備や通信インフラの破壊や故障による情報途絶が起きた場合に、国外からでも放送できる短波は重要なインフラに成り得ると言えるだろう。

このように、短波ラジオは、2022年の現在においても、各種 SNS とともに一定の位置を占めているようだ。

そんなわけで望むと望まざるに関わらず重要度が再確認されている短波放送であるが、残念ながら受信器はあまり選択肢がない。特に、災害時のことも考えると発電器内蔵のものが嬉しいのだが、選択肢は非常に少ない。(少ないが、存在はする。例えば Amazon では数機種ほど見つかった。ただし、いずれも筆者は未体験のためコメントは控える。)

筆者の手元にあるのは、オーム電機から販売されていた RAD-V963N。これは発電器内蔵の短波ラジオなのだが、販売が終了しているようだ(OEM元と思われる製品も同じく終了している)。

この機種は、SW1 が 3.8~6.6 MHz、SW2 が 9.4~15.5 MHz であり、7 MHz 帯には非対応だ。また、FM も 90 MHz までで、残念ながらワイドFM(FM 補完放送)にも非対応。

オーム電機 RAD-V963N の操作パネル。FM、AM、SW1、SW2の切り替えがある。FMは76から90メガヘルツ、AMは530から1600キロヘルツ、SW1は1.2から6.6メガヘルツ、SW2は10.0から15.5メガヘルツの表示がある。
オーム電機 RAD-V963N の操作パネル

ただ、価格を考えると、思ったほど感度も悪くなく、また、音質も(特に良いとは言えないものの)そこそこ素直で聞くに堪えないほどではない。また、バッテリーはリチウム系ではなくニッケル水素であり事故が起きにくい点も良い。スマホの充電は現実的に不可能だろうが、災害時に国内外からの情報が得られるというという点でとても心強い一台である。メーカーにはぜひとも復活をお願いしたい。

オーム電機 RAD-V963N の手回しハンドル

なお、後継機(RAD-M799N)は残念ながら短波の受信機能が外されている。それでも、戦争はともかく、災害時には充分に役に立つと思われるので、これはこれで悪くは無いだろう(筆者は未体験)。

もし短波に非対応でよければ、SONY のものが評判がよいようだ(筆者は未体験)。

ぜひみなさんも、有事の際に慌てなくても良いように、必要な準備をしておかれることをオススメする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?