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脳と神経を保護する硬膜

今回は以下の投稿の続きです。

触れるべきか否か、散々迷ったのですが、脳硬膜(脊髄硬膜)の存在に言及しておくことに決めました。

頭蓋骨の矯正の本質は、骨を動かすことではなく膜の緊張を取除く事にあると考えています。

それで、硬膜のお話ですが、同業者の方ならともかく、読んでも楽しくありません・・・。

ですが、実際に試してみようとお考えの方は、必須の知識ですから頑張って欲しいです。

1)脳は厳重に保護されている

表層には頭皮があり、腱膜、骨膜、頭蓋骨、さらには、脳硬膜、クモ膜などの下にようやく脳が存在します。厳重に保護されているわけですね。

ここで重要になるのが脳硬膜です。概要図ですが水色になっている部分の外枠がそうです。

脳と脊髄

脳全体を覆い、そのまま下方へと伸び、脊髄神経を保護しています。

ちなみに、頭部から下へいくと、脳硬膜から脊髄硬膜へと名称が変わりますが同じ膜です。血管も場所によって、名前が変わりますよね。

つまり、皆さんの背骨の内側には、脳(脊髄)硬膜に守られた脊髄神経が格納されていて、その膜は、途切れる事無く頭まで繋がっているという事です。

2)普段やっている事

それで、普段僕がやっているのは、脳(脊髄)硬膜に、緊張や制限がないか確認し、どこかに緊張があれば、その場所を特定していくのです。

上述しました通り、名称は変わっても繋がりのある膜ですから、腰の緊張は頭部まで伝わります。

問題がある個所を特定できれば、後は脳(脊髄)硬膜の緊張・制限を解放していくのですが、皆さんに「脳(脊髄)硬膜の緊張を探しましょう」とは言いません。

1年掛けて解剖学・生理学を学んだ学生が、さらに1年掛けてようやく形になります。

ですので、膜の緊張云々は気にしなくても大丈夫です。「骨を動かす目的は膜の緊張を取るため」という事だけ覚えておいてください。

「そんなに大雑把で良いの?」と疑問に感じた方もいらっしゃると思いますが、ご心配は無用。なぜなら、ここでは不眠・頭痛を対象としているためです。

対象を限定すると、高確率で緊張するであろう箇所のみを狙えます。もちろん、その部分だけでは、不眠や頭痛を根本的に改善する事は不十分です。

あくまでも「軽減したらいいな」くらいのスタンスで考えてください。過剰に期待されても困ります・・・。

3)これも脳(脊髄)硬膜

それでは、脳(脊髄)硬膜に緊張がでると、何が起こるのか具体的な例をご紹介します。

なんとなくでも、硬膜の概要、構造はイメージできたと思いますので、下の図をご覧ください。

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頭部の中心にも膜(flax cerebri)を確認できますよね。これも、脳(脊髄)硬膜の一部なのです。

察しの良い方ならお気づきでしょう。右脳と左脳を分けています。

左右の脳は、明確に別の組織で、それぞれが脳(脊髄)硬膜にしっかり保護されているのです。

さらに詳しく見ると、耳辺りの高さで、今度は左右に展開(tentorium cerebelli)している事がわかります。

これは、左右の脳と小脳を分けているのですが、もちろん脳(脊髄)硬膜の一部で、正式名称は小脳テントです。

それで、小脳は運動やバランス感覚に関与する働きをしています。

この部分の膜が緊張すると、なんとなくでも何が起こるのか予想できますよね。

ところで、皆さんは、目を閉じて片足だけで何秒くらい立っていられるでしょうか?膝は腰の高さまであげるものとします。

目を開けていれば、問題なくできても、目を閉じるとフラフラする方は少なくないはずです。

年齢にもよりますが、しっかり静止できる人は10人中3人程度ではないかと予想します。

実際に試すなら、周囲の安全を確保してから、出来ないことを前提に実行してくださいね。

それで、頭蓋骨を調整して、膜の緊張を取り除いたとします。すると、施術後には、大半の方が立てるようになっているのです。

「出来なくても生活には支障ないから」とお考えになりましたか?

若い頃ならその通りかもしれません。ところが、歳をとった時、バランス感覚を維持できているかどうかで、転倒を回避できる確率が変わります。仮に転倒して、入院するはめになったら本当に大変なのです。

4)赤ちゃんの頭は柔らかい

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さて、赤ちゃんの頃は、頭部の骨が柔らかく、軟骨の占める割合が多いことは以前お話しました。

この時期の過ごし方によっては、頭部の形が変わってしまうのです。具体的に言えば、右ばかり向いて眠る赤ちゃんがいますよね。そのまま放置するとどうなるか?

後頭部を中心に、頭蓋骨が歪んだまま、軟骨から骨に成長します。この記事を読んでくださっている方の中にも、心当たりのある方がいらっしゃるでしょう。

関節の歪みであれば、矯正できる可能性はありますが、骨自体に歪みがある場合は、どうにもなりません。

例えば、平地にテントを張る場合、それほど苦労はしませんよね。慣れれば誰にだってできます。

ところが、傾斜のある場所だとどうでしょう?僕は上手くやる自信がないです。ここで先程ご紹介した小脳テントを思いだしてください。

左右均等に整った頭蓋骨と歪みが生じた頭蓋骨だと、小脳テントの状態に差がでます。「歪みがあるけど運動は得意ですが?」という方もいらっしゃるでしょう。

ですが、歪みがなければ、もっと高い次元の運動能力を有していた可能性があります。とはいえ、検証不可能ですから、これ以上の言及は無意味ですね。

5)脳の成長を妨げる要因

お子様が発達障害、あるいは自閉症ではないか、と不安になられた方からご相談を受ける機会があるのですが、頭部になんらかの歪みがあるケースが多いです。

これは推測になりますが、脳(脊髄)硬膜の歪みや緊張が、脳や小脳の成長を妨げた結果ではないかと考えています。

実際に「周りの子供と比較してハイハイから、立ち上がり、歩き始めるまで成長が遅い」、あるいは「なかなか上手く話せない」等のご相談を受け、施術した結果、今は無事に幼稚園や小中学校に通っている子供がいます。

「たまたま成長が遅かっただけで、施術は無関係では?」とお考えになる方もいらっしゃいますよね。

その通りです。偶然の可能性も捨てきれません。残念な事に、これも検証不可能な案件なのです。

治験例が50件に届きませんので、症例が少な過ぎることも説得力に欠ける要因でしょう。

ここで言いたい事は「発達障害の可能性があるなら相談してね」ではなく、「頭部の歪みが発達の妨げになる可能性がありますよ」という事です。

以下の投稿はこの記事の続きです。お手すきの際に是非。


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