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殺菌済みカルピスの秘密

前回の投稿にて、「ハチミツには殺菌作用があるため、ヨーグルトに入れると乳酸菌は、数を減らすだろうけど大勢には影響しない」と書きました。

すると、またしても興味深いご意見を戴いたのです。

「カルピスには(殺菌)と記載されている商品がありますよ」とのこと。

カルピスといえば、ご存知の通り乳酸菌飲料ですから、「殺菌済み」と併記されていると、戸惑ってしまいますよね。

そういうわけで、今回は殺菌済みのカルピスについて考えてみました。

1)乳酸菌とは

すっかり、「善玉菌」というイメージが定着している乳酸菌ですが、実態はよく分かりませんよね。

実は乳酸菌にも色々と種類があり、糖を分解して乳酸を作る菌の総称です。

乳酸菌は腸の表面に定着することによって、いわゆる悪玉菌の働きを抑制したり、腸の運動を活性化したりすることで、お腹の調子を整えてくれます。

次に、「殺菌」とは何をしているのか調べてみると、カルピス社では加熱殺菌を実施しているとのこと。

乳酸菌は、おおよそ0度以下で不活性化し、50度以上で死滅します。

つまり、加熱処理をすれば、乳酸菌も間違いなく死滅するでしょう。

というわけで、カルピス(殺菌)の表示は、乳酸菌以外の菌ではなく、乳酸菌を含む菌を殺菌済みと考えるのが妥当です。

2)殺菌する理由

それでは、なぜ殺菌してしまうのかといえば、メリットがデメリットを上回るからですよね。

乳酸菌が増殖しつづけると、酸味が増して本来の味を保持できません。0度で保存すれば、乳酸菌は不活性化しますので、味は保てると思います。

とはいえ、生産した直後に凍結し、その状態を維持しつつ出荷しようとすれば、輸送コストが高額になり保存しておくのも大変です。

アイス系の食品としてならまだしも、ドリンクとしてはどう考えても不向きで、現実的ではありません。

殺菌するか否かで、間違いなく賞味期限に大きな差が生じるでしょう。

ちなみに、殺菌処理された乳酸菌の残骸は、数日で萎縮し腸に吸収され、免疫力の向上や整腸作用に効果があることが認められています。

つまり、「乳酸菌の生死に拘る必要はない」という事ですね。それなら、殺菌処理も納得です。

『いやいや、「生きたまま腸までお届け」を売りにしている製品があるのだから矛盾するだろう』とお考えになりました?

それは、生きたままの方がより効果が高い、もしくは、生きたままでないと効果を発揮しない種類の乳酸菌なのですよ。

決して「生きた乳酸菌」の方が好印象だからではないと思います。たぶん。

最後に、改めてハチミツとヨーグルトの相性を考えると・・・いや、野暮ですね。やめておきましょう。


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