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日記的なもの 83「何かいる的な話」

 俺は自分の部屋で動画を撮らない。本来映るはずではないものが映ってしまうからだ。
 霊感は全く無いと思う。嫌な感じとか何かいるとか、そういうものは分からないのだけれどもね。

 たとえば、友人の部屋で五人ほどで雑魚寝していると、夜中に壁の向こうから話し声が聞こえてきたりする。
 壁の向こうは外だし、部屋は三階であるにもかかわらず、壁のすぐ向こうから聞こえてくる。
 翌朝、全員がその声を聞いていたことが分かる。

 たとえば、日中の公園のベンチで煙草をふかしていた時。
 背後から襟首を引っ張られて後ろに倒れそうになるがすぐに座り直して振り返る。が、誰もいない。

 たとえば、ファミレスに一人で入った時。
 店員が水を二つ持ってきたので一人であることを伝えるも、不思議な顔をされてしまう。

 たとえば、スーパーで買い物をしていてレジに行くと、入れた記憶のない商品がカゴの中に入ったいたり、逆に消えていたりする。

 そんなことが数年前まで頻繁に起こっていた。

 そこで一度、俺自身の寝姿をiPhoneで一晩撮り続けていれば何か映るんじゃなかろうかと考えて実行した。
 翌朝に確認したら、画面が真っ暗だった。
 インクをこぼしたかのような黒い画面がしばらく続いていた。そして最初の数分を観て、それ以上は見ることをやめた。
 もし仮に何かが本当に映っていたとしたら。
 いや、確実に何かが映っているのだろう。

 それを映像で確認してしまうと、何故だか危険な気がした。

 それ以来、俺は自分のことを動画て撮るのはやめている。

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