旅の話.19 アデレード④
1週間を過ごしたカンガルー島から、アデレードへ戻る。
フェリーにはなぜか、マイコさんも乗っていた。
さらにルーイも一緒だ。彼とは一度同室になった事がある、スキンヘッドのスペイン人だ。なぜマイコさんと一緒にいるのかは、わからない。3人でやや微妙な空気感の、さらに悪天候で荒れた、1時間の船旅だった。
ルーイは自分の車を持っていた。ケープジャービスに停めてあったその車に乗って、マイコさんはルーイと一緒に行くのかと思っていたら、僕と同じアデレード行きのバスに乗り込んできた。その車内で、色々あった事を知った。
写真家の助手は、1週間早く切り上げたそうだ。
理由は、撮影の為に1週間キャンプ生活をしてたら、口説いてきたから。
ルーイも、一緒にホワイトポインター(ホオジロザメ)を見に行こうと誘ってもらったけど、キャンプ旅になるので、同じパターンになる可能性が高い。写真家は50代だけど、ルーイは20代だ。苦渋の決断で断ったと。
“海外で日本人女性はモテる”と、よく聞くが、確かに旅の途中で出会った日本人女性の中には、外国人男性好きや、優柔不断で人に頼り、雰囲気に流されやすい人も多いと思った。そんなんでよくここまで来れたなと、思った人も多い。そんな女性は、外国人男性からモテるらしい。
しかし、彼女はしっかりした考えを持った、意志の強い女性だった。
その為、今回のような悔しい経験をもう何度もしているそうだ。
アデレードには、正午に着いた。
それぞれの宿に荷物を置きに行き、一緒に昼食をとる事にした。
そして、郵便局や銀行に同行し、彼女が修理に出していたカメラを受け取りにカメラ屋へ。2ヶ月経ってまだ出来ていないと知って、怒りを通り越して呆れて絶句していた。部品がまだ届かないとか、次の週末までにはとか、聞こえた。彼女は、この後の予定を組み直さないといけない。これもオーストラリアだ。この雑さは、いやだ。
夕方、マイコさんとは宿の前で別れた。
部屋に戻ると、デ・ニーロおやじがまだ居た。
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