旅の話.8 ウルル
アリススプリングスから約450km離れた砂漠の中に、ウルル・カタジュタ国立公園とエアーズロックリゾートがある。
そこにはあの有名な“エアーズロック”がある。
昔、探険家のエアーズさんが発見したからエアーズロックと呼ばれるようになったが、それより遥か昔から、この地に住むアボリジニはその岩山をウルル(Uluru)と呼んでいた。現在ではウルルが正式名称になり、周辺一帯がウルル・カタジュタ国立公園になった。そして、エアーズロックリゾートと言う観光客の為の宿泊施設ができた。
“世界最大の一枚岩”と言われ、オーストラリアのシンボルマークのようなこの岩に登る事は、この旅のメインイベントのひとつに数えていた。
しかし、ダーウィンでの半年間で、先住民アボリジニの文化に触れたり学んだりした事で、ウルルは気軽に登ってもいい岩山ではないと知った。
アボリジニにとってここは神聖な場所で、本来は儀式の時に司祭だけが登るものなのだそうだ。しかし現在(1997年)はオーストラリア政府がアボリジニにレンタル料を支払い、観光名所として利用している。アボリジニの中には生活の為に仕方ないと思う人もいれば、反対派もいる。僕は敬意を持って、登らせていただいた。頂上からは、360度全てが地平線の雄大な景色を見ることが出来た。 ※2019年10月から完全に登岩禁止になったそうです。
エアーズロックリゾートは、リゾートらしく清潔で、高級感があり、物価が高い。基本的に高級ホテルが多いが、一応バックパッカーズもある。しかし部屋は大部屋に3段ベッドが大量に並んでいて狭い上に、1泊の料金も他の街の倍くらいした。長居は無用だ。
ウルルのすぐ近くに、マウント・オルガという小さなウルルを寄せ集めたような奇岩郡がある。こちらの正式名称はカタジュタと言って、そこには“風の谷”と呼ばれる場所がある。
宮崎駿が「風の谷のナウシカ」のイメージを得た場所と言われている。
僕にとって「風の谷のナウシカ」は特別な作品だ。出会った時の衝撃が大きく、その後の人格形成にかなり影響を受けたと思う。偶然訪れたこの地が、その作品のモデルと知ったこの衝撃は大きかった。そして、ここの他にもオーストラリアには、宮崎駿作品のアイディアの元になったといわれる場所やものが多くあると言う事を、この時はじめて知った。
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