見出し画像

漫画の話.7 伊藤潤二

ホラー漫画

漫画のジャンルのひとつに「ホラー漫画」がある。
子供の頃からたくさんの漫画を読んできたけど、ホラー漫画には最近まであまり手を出さなかった。理由は「怖いから」ではない。

感情の中で「喜び」「悲しみ」「怒り」は割と普遍的で、共感しやすいのに対し、「恐怖」は個人差が大きく、共感しにくいものだと思う。

例えば、暗闇。怖がる人もいれば、好きな人もいる。僕は嫌いじゃない。
お化けや幽霊。襲われたら嫌だけど、見れるものなら見てみたい。
高い所や凶器。怖いけど、ホラーではない。フィジカルな問題だから。

普遍的な「恐怖」を描こうとすると、「悪意」を持って自分に危害を加えようとする何かを描く話が多くなる。それに僕は、怖さよりも「不快感」を強く感じてしまう。無意味な暴力や「グロ」は好きじゃない。

伊藤潤二作品は「富江」や「うずまき」が有名だが、短編を多く描いている。ジャンルは「ホラー」に分類されるんだろうけど、泣ける話もあれば、笑える話もあって、褒め言葉にならないかも知れないけど、怖くない。
無意味な暴力やグロも多少はあるが、それ以上にユーモアと優しさ、奇抜なアイディアがある。よくそんな事を思いつくな~と感心する。
作者は、猫とお笑いが好きないい人なのだ。

息子が小学生の頃、僕の部屋の本棚にある「富江」を怖がっていた。
そのため、伊藤潤二作品は電子書籍で購入する事が多くなった。
中学生になったある日、「もう一回富江を読んでみたい」と言って借りに来た。そして「俺、富江を克服した。もう怖くない」との報告を受けた。
「富江」は、息子の成長を実感するアイテムだった。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?