脳卒中後の拘縮に対して副子(シーネ,添え木)が効果的であった一例

案外患者に喜ばれたので記載しておく.

以前,私がいた病院ではリハビリテーションカンファレンスというものを定期的にやっていて,そこでこんなリハビリをしてこんな成果が出ました,出ませんでした.とか,こんなリハビリを予定しています,とかやっていた.
正直右も左もわからない状態で行ったので勉強になることばかりであった.
また,バイトでリハビリ前の健康チェックみたいなことをしてリハビリテーションをしている人を見て回るという仕事をしていたりしていた.

特に前者の病院は大変進んでいてCYBERDYNE社のHALという機械もあったり,
(https://www.cyberdyne.jp/products/HAL/)
脳梗塞後の嚥下困難の人に対して喉に電気刺激を与える機械を用いて嚥下ができるようになった人がいた.
本当にリハビリという面では進んでいたし,あんなにリハビリの先生方が休日問わず頑張り,医師も定期的にリハビリテーションカンファレンスに参加し,最先端の技術を使ってリハビリしている急性期病院はなかなかないと思う.
ドクターヘリの発着もかなり多くて忙しかったのに.

そんなこんなで多少詳しくなり,たまに外来の患者に簡単にリハビリの指導をしていた.
もちろん,リハビリテーション科でもないので,知っている範囲で.
今回の方は脳卒中後にリハビリをしっかりしていたし,一時はちゃんと動いたが,段々と拘縮してきた方だ.
週に数回理学療法士と作業療法士に来てもらい,とても懸命に自主トレーニングに励み,奥様も献身的に支えてくださっている.

その方の手を触って触ってみると,一つの関節ずつだと伸びる.
まだこの程度なら,と副子(シーネ,添木)を勧めた.

一週間後,患者が来た.
「一気に伸びるようになりました!」
患者は手掌側の各指の先から第三関節の少し手首側まで割り箸を副子にしていた.
運動時以外は大体付けているらしい.
完全とは言えないが,ほぼほぼ伸びるようになったらしい.
あとはボトックスしかないかと思っていた.

患者には割り箸の手掌に当たるところはえぐれる可能性があるからゴム頭を付けるよう指示した.
まさか割り箸を使ってくるとは思わなかったが奏効して良かった.

拘縮の程度の軽い患者を持っている場合,試してみても良いかもしれない.
副子の種類や当て方は色々なパターンがあるので,これも一つの例として参考になれば幸いである,
手掌がえぐれそうなくらい拘縮している人には不向きなので注意されたい.

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