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【DX企業紹介3】麺也オールウェイズ ~店舗損益の見える化から始めるデジタル店舗~

2040年問題を見据え、若者・女性にとって魅力的で良質な雇用の場の創出を目指す長崎県サービス産業経営体質強化事業は、県内企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を支援しています。今年度は株式会社日本総合研究所の協力の元、県内企業13社のDXを推進し、次世代に向けた「稼ぐ力」の強化を行っています。2022年3月14日~16日にはその成果を長崎県DXフォーラム(zoom)の中で発表することとなりました。

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企業紹介3社目はデジタル店舗を目指す麵也オールウェイズです。

成長するためのデジタル化

 本気でプロの卓球選手を目指していた高木氏がその夢を諦めかけた大学生のころに出会った久留米のラーメン。その出会いを機に、ラーメン屋でアルバイトをはじめ、アルバイト先の大将の生き様に魅了され、大学卒業と同時にラーメン屋に就職。ラーメンの地久留米市で、本当に旨いラーメンの魂を身体に叩き込み続け、9年間の修行を終えて2009年に開店した店が「麵也オールウェイズ」。

 店名の由来は、お客様に「いつまでも、ずっと」選ばれ、愛される店になるようにと願いが込められています。店名の通り、お客様に愛されて現在は万屋町本店、長与店、アミュプラザ店(2022年1月30日で閉店) 、ココウォーク店と長崎県内で4店舗を展開しており、2022年2月に5店舗目となる時津店を開店することになりました。この時津店を開業するにあたり、デジタル技術を導入して地球にも従業員にもやさしいデジタル店舗づくりに挑戦するに至り、長崎県サービス産業経営体質強化事業にエントリーされました。 

 挑戦の背景は2つありました。 1つはコロナ禍です。飲食店は通常、イートイン(店内飲食)を主として売上高を上げますが、コロナ禍ではイートイン需要が極端に減ったため、当社においてもECをはじめ、デリバリーやテイクアウト需要を獲得する方向に動きました。その際に問題になったのがリアル店舗とECの損益管理です。ECは売上等が全てデジタルデータ化されている一方、リアル店舗はアナログであり、データ化されていません。リアル店舗の損益をリアルタイムに把握するには限界があり、無理に実現しようものなら従業員の負荷を上げてしまいかねませんでした。

 もう1つは従業員の成長です。「創業当時からついてきてくれている従業員に対して店長を任すことまでは出来ているが、それ以上の経験をさせてあげることができていない。今後、デジタル化することで業務を効率化したり、付加価値ある別の仕事を作っていかないことには従業員の成長も店舗拡大も実現できない」と創業者の高木氏は語ります。現在、店長に店舗経営を任せ、店舗横断の管理は高木氏一人で担っていますが、経営のデジタル化をしていくことで高木氏が培ったノウハウも可視化され、店舗負担も減っていきます。

 そこで挑戦したのが、デジタル技術を活用した店舗づくりです。

導入したいのは“使える”デジタル技術

 デジタル技術の導入にあたり高木氏はラーメン店だけでなく、飲食店で導入されているデジタル技術を調査しました。その1つがモバイルオーダーです。モバイルオーダーはお客様自身のスマートフォンからQRコード等を読み取り、注文する仕組みであり、現在、東京等の首都圏で導入されている手法となります。自身のスマートフォンから注文ができるため、お店のメニュー表を触らずに済むことやスマートフォン上で決済できることから非接触注文とも呼ばれ、コロナ禍では好まれている注文方法となります。 ただし、実際に高木氏がモバイルオーダー導入店舗で使用した感想は「使えない」でした。東京のようなUberEats(ウーバーイーツ)のようなデリバリーサービスが盛んで、お客様もデジタルネイティブ世代と呼ばれる若者ばかりであれば有効かもしれませんが、長崎でこの技術を導入してもお客様を喜ばすことはできないと考えました。同じような考えで導入すべきデジタル技術を選別した結果、導入したのは株式会社リディッシュが提供する店舗経営を可視化する「Redish restaurant System(リディッシュレストランシステム)」(仮称)です。

 当システムは売上管理システムPOSや勤怠管理システム、食べログやGoogle My Businessのようなマーケティングデータ、天候情報からAIで推測する来客予測データ等の複数のデータを一元管理し店舗経営管理できるダッシュボードシステムになります。当システムにより「今どのくらいのお客様が来てどのくらいの売上が上がっているのか」「来月はどのくらいのお客様が来て、従業員は何人体制で組めば良いのか」等がデータを基に見える化できる仕組みになります。また、スマートマットを冷蔵庫に組み込み、重量センサによる在庫量の可視化を行い、自動発注に繋げる仕組みも導入しています。これらにより現場負担の軽減と、店舗損益のリアルタイム計測が可能となり、瞬時の経営判断を可能にさせます。

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出所:麺也オールウェイズへのヒアリングを基に日本総研作成

従業員に夢を与える店舗づくりを実現しながら目指す全国展開

 「まずはリアル店舗の見える化からスタートし、今後はECとの連携や複数店舗経営の可視化へ進めていき、全国展開を狙える基礎作りをしていきたいと思います。このような活動は従業員にも夢を抱かせることができるとともに、自分も従業員も成長することができると思っています。」と笑顔で語るのは、麵也オールウェイズ創業者の高木氏。

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笑顔で話す創業者 高木社長

 2月15日開業する時津店は上記のような知恵と工夫を凝らした店舗となります。“使える”デジタル技術にこだわった結果、「ロボットが動いている!」「モバイルオーダーがある!」といったような体験はありませんが、おいしいラーメンをお客様に届け続けるための工夫がデジタル技術を駆使して作られていますので是非、ご来店ください。

 麺也オールウェイズは3月15日に登壇予定です。時津店の開店に至るまでの物語を発表頂く予定ですので、ぜひご視聴ください! 

長崎県DXフォーラム(zoom)開催!

日時:2022年3月14日(月)~16日(水) 各17:00~18:00
参加費:無料
参加方法:オンライン(zoom)
登壇者:長崎県内のDX推進事業者10社程度(各回3~4名登壇予定)
ご参加対象者:DXに興味がある方、
中小企業のデジタル活用に興味がある方、
長崎の未来を盛り上げていきたい方

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文責:株式会社日本総合研究所 シニアマネジャー/上席主任研究員 大森充

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