見出し画像

【DX企業紹介13】プレミア・ニュー長崎 ~業務効率化とレベニューマネジメント強化に向けたホテルシステムDX~

人口減少、高齢化、気候変動、パンデミック、AIの台頭など人々を取り巻く環境が大きくかつ急激に変化する現代において、どの企業もDX(デジタル・トランスフォーメーション)は喫緊の課題となっています。
そんな中長崎県では、2021年度から「サービス産業経営体質強化事業」を実施しています。これはDXに挑戦する県内企業に外部専門家を派遣して伴走支援する事業で、事業2年目となる今年度は株式会社日本総合研究所の協力の元、県内企業14社のDXを推進しています。
2023年3月23日には代表企業に登壇いただき、2年間にわたるDX挑戦の成果を長崎県DXフォーラム(zoom)の中で発表することとなりました。

▼▽▼長崎県DXフォーラム応募フォームはこちら▼▽▼

フォーラム開催までに、昨年度に引き続き各企業がどのような「DXへの挑戦」をしているかご紹介していきます!


企業紹介13社目は、長崎の顔としてホスピタリティ溢れるおもてなしを提供し続けるホテルニュー長崎を運営するプレミアニュー長崎です。

コロナ禍をきっかけに明らかになった「宿泊部門強化」の重要性

 
 宿泊業界は新型コロナウイルスによる影響を最も大きく受けた業界の一つです。ニュー長崎はこれまで結婚式や大型の宴会などの料飲部門を収益の柱としていましたが、2020年以降は大人数で集まる宴会が軒並み無くなり、壊滅的な被害を受けました。もちろん観光客の減少による宿泊者の減少も売上減少に影響していますが、それ以上に大きく影響したのが料飲部門の売上減少だったのです。またそもそもコロナ前からの課題として、料飲部門は宿泊部門と比べて利益率が低く、料飲部門に頼った収益構造上ホテル全体の利益率向上ができていない点がありました。
 一方で、長崎県内の観光業にとっての追い風もあります。2021年MICE施設「出島メッセ」の開業、2022年長崎新幹線の開通、リバウンドの観光需要増加など、アフターコロナは長崎県内の観光客増加に向けたホットトピックが盛りだくさんです。
 コロナを単なるピンチとしてではなく経営の転換期と捉え、DXによって「大型宴会を柱とした収益構造からの脱却」「ホテル全体の利益率向上」を目指すこととなりました。

ホテルニュー長崎の会議・宴会場(鳳凰閣)


取り組んだのは、ホテル管理システム(Property Management System)の刷新

 ホテル全体の業務効率化とレベニューマネジメントを同時に行うため、ホテル管理システムの入替を行いました。ホテル管理システムとは、ホテルの宿泊プランの販売、予約管理、会計時の精算、顧客情報管理、宴会予約管理、購買発注、売上管理など、付帯施設を含むホテル業務全般のデータを一元的に管理するシステムです。
 これまでも類似のシステムを導入していたのですが、現場の業務内容と既存システムがうまくかみ合わず結局手作業が残るといった状況でした。
 今回はシステム導入前に、「何の業務をシステム化すべきか?」を明確にして入れるべきシステムを決定したことと、「システム化できない業務は辞めるかシステム化できるよう業務のやり方を変える」と決めたことで、現場へのスムーズな導入を促すことができました。

新たなシステムを導入した結果、事務業務の効率化とホテルの稼働率向上に成功

 導入した結果、様々な部門で良い効果が得られました。

 一番効果が高いと感じているのは購買発注業務です。
 これまでは
①レストランの料理人がメニューを決め、発注したいものを決める
②料理人から購買担当者に口頭で伝える
③購買担当者が紙の発注書を記載し、FAXで送信する
④翌営業日に先方が受注し、商品手配を進める
という流れで、紙ベースでのやりとりが多く業務負担が多いうえ受注までのタイムラグが大きくなってしまっていました。
システム導入後は、①~④をすべてペーパーレスで管理し、かつ即日受注できるようになりました。現在ではレストランの料理人が直接システム上の発注業務を行えるようになり、社内従業員のデジタルツールに対する苦手意識の改善にもつながりました!

また、ホテル客室の予約管理も大きな効果が出ています。客室の予約状況は日々刻々と変化していきます。システムの導入によって、自社HP、楽天トラベル、じゃらんなどすべての販売チャネルの情報(空き状況、プラン販売価格など)を瞬時に一元的に管理できるようになり、日ごとの売れ行きを確認しながら販売価格の修正を行えるようになりました。その結果、他の近隣ホテルと比べて早い時期から稼働率を回復させることができました!

従業員・お客様・地域に愛されるホテルであり続けるために

 「ニュー長崎は、これまでも近隣施設よりもいち早く全室禁煙にするなど、短期的には収益の減少が見込まれる取組であっても長期的な視点に立って『お客様にとって魅力あるホテルはどうあるべきか』を考えながら進んできました。これからも、お客様と地域を第一に取り組み続けていきます。」と宿泊部長の林さんは語ります。

標準化・自動化できる業務はロボットやシステムに託し、人間しかできない、お客様一人ひとりに寄り添ったおもてなしの業務に従業員が100%注力できるようなホテルを目指すことが、結果的に従業員の満足度もお客様の満足度も高めることに繋がります。
 これからも長崎の明るい未来を見据えてDXに挑戦し続けるニュー長崎をぜひ応援ください!

長崎県DXフォーラム(zoom)開催!

日時:2023年3月23日(木)18:30~19:30
参加費:無料
参加方法:オンライン(zoom)
登壇者:長崎県内のDX推進事業者3社程度
ご参加対象者:DXに興味がある方、
中小企業のデジタル活用に興味がある方、
長崎の未来を盛り上げていきたい方

▼▽▼応募フォームはこちら▼▽▼
▼▽▼イベント詳細はこちら▼▽▼

文責:株式会社日本総合研究所 コンサルタント 湯浅夢奈


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?