久々のトラスタで実感したV長崎の進化と久々の翁長くん

2010年9月1日

Vファーレン長崎ホームでの大宮アルディージャ戦、再開後初めてスタジアムで観戦した。
今シーズンのV長崎の試合を実際に見るのは開幕の栃木戦以来。V長崎も大宮も毎試合DAZNで継続的に見ている。特に今シーズンの大宮は翁長選手が移籍したので長崎の試合より入念に見ている。
直接対決でそれぞれの進化や課題が見えてきそうだし、なにより久しぶりに翁長くんのプレーを直接見られるということもあって待ちに待った日だった。

試合開始のコイントスで大宮はエンドを変えた。
オールVファーレンで前ちゃんが高木監督の特徴として時々エンドを変えてくると言っていた。理由は言わなかったけれど、氣分で動かれる監督ではない。おそらく後半のどこかでイバ選手を入れて、ちょうど手倉森監督がイバルボ選手を入れてくるのに対応するか、先手を打つか。そのためには自陣の近くにいる方が指示が出しやすい。エンドを変えたのはそんな理由があるのではと勝手に推測。

試合が始まってすぐちょっと驚いたのは、大宮がDAZNで見るよりずっと初々しいチームに見えたことだった。
確かに今シーズンの大宮の編成はユース出身の若い選手を中心に揺るぎないチームのスタイルを再構築しようというプランの1年目のようで、ある意味若いチームではあるのだ。ただ長崎にとっては一度も勝ったことがない屈強のチームで、大宮を倒すことは長崎のチーム、サポともに悲願なので並々ならない闘志で挑んでいるはず。スタメンを日本人選手で組んだのも緻密な高木監督の組み立てへの対応だと思った。前半は0で抑えるというメッセージかな。カイオでなく加藤、納得!

大宮に関してはまだ選手の特徴が把握できないのでなんとも言えないが、高木監督にしてもコンディションの良い選手を配置していると思う。河本選手と三門選手がいる!勝手な安心感。

試合は後半畑くんのゴールで動いた。その後、河面選手のレッドで一人少なくなった大宮はその時点で高木監督の最初のプランを修正せざるを得なくなったのだろう。
前節のPKを取られたプレーや今回のレッド、大宮の中では試合経験も豊富で信頼されている選手なのにあのプレーしか選択肢がなかったのかなあ。選択肢はあっても個人技が追いつかなかったのかなあ。
イバ選手が投入されてもなかなかイバ選手へ決定的なパスが届かない。届いた時には長崎は守備の布陣が整っている。イバ選手の活かし方の一つに素早いカウンターがあると思うのだが…。イバ選手を入れた時点でカウンターを使えのメッセージではなかったのかなあ。

とにかくこの試合は選手の迫力で長崎が勝っていた試合だったと思う。
ボールを取られた瞬間ネガトラの素早さ。確実にボールを取り返してからのつなぎ方。数プレー先のイメージが共有されているんだなあと。あとでDAZNで見たらそれらのシーン、シーンで小さな三角形ができている。素早いボール取得は瞬間瞬間のポジショニングの良さとそれの連携からきてるんだなあと一目でわかる感じだった。それらのプレーに対して長崎の選手たちは確かな自信を持ち始めているので、あわてないし余裕すらみえた。
この洗練度はいつどんなにして身についたの?去年の手倉森監督のやり方ではそれはあまり見られなかった。
手倉森監督はそんな綿密な監督ではない。
きっとコーチ陣が連携して毎日ハードワークしているのだろう。
高木監督時代からそれを続けていている三好GKコーチや吉満フィジカルコーチ、それに日本代表のフィジカルコーチで知られている早川コーチ、情報分析の貝崎コーチ、それに今シーズンからの原崎ヘッドコーチと吉田コーチ、通訳さんもセラピストさんも一緒にがっちりしたチームを作って手倉森監督を支えているんだろう。長崎のコーチ陣はユースコーチからというのではなくいろんなチームのコーチを経験した一匹狼の集まり。それがチームになるとすごい力を発揮するんだろうなあ。

あ〜〜〜、もう、練習が見たい!
試合よりもなによりも練習が見たい!

最後になったが、翁長選手のこと。
試合前の大宮での高木監督のインタビューで古巣対決をどう感じるかという質問があった。
監督は長くいたチームで自分の故郷でもある。まったく気にしていないことはないが、僕よりも(昨季まで長崎の翁長)聖の方が気にしていると思う」と答えている。確かにいつもDAZNで見る彼より少しセンシティブな感じだった。仕方ないよね。ここでプロとしてスタートして3年間過ごしてきたところだものね。サッカー選手としての故郷だからなあ。
プレーもイッペイシノヅカ選手の右サイドが攻撃に上がるのでバランスをとって低い位置で守備に重きを置いている感じだった。ついこの前までのチームメイトたちと本気の闘いをするのはどんな気持ちなのだろう?おそらく試合中はそんなこと感じる余裕はないだろう。それくらい長崎のプレッシャーは早かったし強かったと思う。
試合終了後の整列のあと彼の足は自然に長崎の選手の方に向かっていた。もとチームメイトたちが彼をグータッチでたたえてくれる。玉田選手もわざわざ彼に向かってタッチして讃えていた。
イバルボ選手は包み込むように強くハグして讃えてくれた。そのシーンを目の前で見た瞬間、胸にこみ上げるものがあった。
ロッカーに戻った後ももう一度出入り口まで出てきて、山頭カメラマンと言葉を交わした後、コール裏やスタンドに向かって声援に応えるように手を挙げて去っていった。
移籍が決まったときもメッセージ文を残すだけでファンサポーターへの挨拶もできないままだったので、これが彼からの感謝とお別れの挨拶だったのかもしれない。いつもの風景だったら試合後ゴール裏に挨拶に行き、自分の口でメッセージを伝えられたのに、スタジアム内のファンサポーターは温かい拍手で彼をねぎらい背中を押すことができたのに、残念でならない。
試合後の大宮のインタビュー記事では「負け惜しみに聞こえるかもしれないが、今回の負けから学べたものがある。それを活かして勝っていくつもりなので、応援してください」というようメッセージを発していた。
この長崎戦を彼がどう昇華して変わっていくのか、
翁長聖を見続ける楽しみが増えた。
11連戦を怪我なく走りきって欲しい。


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