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俺はパッタイが食べたい

 長崎には、タイ料理屋さんが存在しない。インド料理屋さんはある。ベトナム料理屋さんもある。無論、中華料理屋さんもある。しかし、タイ料理屋さんは、存在しない。なぜだ、なぜなんだ長崎。タイ料理、特にパッタイが好きな自分にとって、これは一大事である。「タイ料理屋さんがない」ことは、長崎で暮らす上で、唯一の、しかし、致命的な問題であった。

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 そんなある日、「佐世保にタイ料理屋が存在する」ことを聞きつけた。どうしてもパッタイが食べたくなり、友人にお願いし車で佐世保へ。長崎と佐世保は、結構遠い。電車でも車でも、約1時間半はかかる。長崎で市をまたいで移動するのは、関東で県をまたいで移動するのと感覚が似ている。事実、長崎から佐世保へ移動する時間があれば、東京から群馬の高崎まで移動できる。文化もまちの雰囲気も大きく変わる。そんなわけで、長崎から佐世保への移動は、ちょっとした小旅行のようなものなのだ。パッタイを求めて、旅に出るのだ。

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 佐世保近郊の小高い丘の上にあるお店で、久しぶりのパッタイを噛み締めた。店内の雰囲気は良く、眺めも素晴らしい。平日にも関わらず、多くのお客さんで賑わっていた。それも納得、とても美味しかったのである。そして、さすが佐世保、制服を着た米軍の方々もランチに来ていた。

 食後に佐世保市街を車で巡った。長崎よりも、飲食店の国際色・多様性が豊かな気がした。タイ料理、メキシコ料理、インド料理、台湾料理、などなど。米軍基地がありアメリカの方が多く暮らしているので、もしかすると、そのニーズが反映されているのかもしれない。

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 久しぶりのパッタイ、最高だった。いつか長崎にタイ料理屋さんができることを心待ちにしつつ、しばらくは定期的に佐世保に通いそうである。俺はパッタイが食べたい。

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