地方で事業をはじめたい人が知っておくべき金融機関との付き合い方

3月末で金融機関の担当者が変更になった。
開業から4年、今回の変更で担当者が変わるのは3回目だ。先日、既存の担当者から新たな担当者への引き継ぎをいただき、新たなスタートを切った。

幸いにも、これまでの担当者はとても良い方で、私たちのような零細事業者に対しても大きな理解を示していただき接していただけてきた。(新しい担当者の方もとても良い方で安心しました)

金融機関は不正防止(と私は認識している)の観点から2〜3年毎に一度担当者が変更となる。私が銀行に勤めていた時(もう10年前!)からの慣習は今でも業界のスタンダードのようだ。

そこで一つ気になる話が。
担当者との話によると今回の異動では支店への追加人員はなかった、とのこと。つまり、営業の担当者が3名→2名になるとのこと。ちょっとした人員削減とは破壊力の違うインパクトがある。だって営業担当の業務量がこれまでの1.5倍になるってことですよ。正直、僕が残る側の担当者だったら絶望していますね。背後にあるのは経営方針と人材不足。詳細は不明だけど今後も多くの金融機関でもこの流れは加速していくでしょう。

これの現実を受けて、近々こんな未来が来るのではないか、と。
・金融機関の担当者に気軽に事業について相談できない
・財務状態の悪い事業者は取引の優先順位が低くなる
・これまで以上に窓口業務のサービス提供が減る
・民間金融機関では創業融資は受けられない

融資機能はほぼすべてが本部へ集中することに加えて、一部の特殊な融資を除いては審査はAIが判断。これまで以上に定性的な要素が評価されにくくなり、決算書・確定申告を元にしたスコアリングが芳しくない事業者については融資申し込みの前で「総合的な判断で融資の取引ができない」と判断されてしまう、なんてことも。
さらに金融機関からすると手間がかかりリスクの高い創業融資は受付できなくなり、すべて公的金融機関へ…となってしまう未来もあるかもしれない。
地域で先行事例が少ない事業だと判断基準を見出しにくく審査が難しくなる。だからこそ金融機関の担当者とのコミュニケーションや目指す未来の共有が必要不可欠だと思うのだけど、それを許さない状況がすぐそこまで来ている気がする。定性的な要素しか持ち合わせず、担当者の寛大な理解のおかげで事業を進めてきた僕にとっては絶望的な状況だ。

こんなに厳しい状況の中、地方で挑戦をする零細事業者が少しでも良い環境で金融支援を受けるためにやるべきことはたくさんある、が、端的にまとめると「金融機関に相談できる状態を作る」こと。具体的には、

・業況(決算)をよくする
・事業に不明瞭(怪しい)部分をなくす
・地域の成長に寄与する事業にする

当たり前だよね、と言われてしまうかもしれませんがやるべきことはシンプル。特に収益性や利益に注力するあまり「地域の成長に寄与する事業にする」の要素を考慮しない方も多いのかな、と。個人的にはかなり大事な要素だと思っています。
一朝一夕ではどうにもならないこともあるが、その日に向けて準備をすることはできる。これから訪れるであろう未来にむけて、できることを淡々と。

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