第1話 マロニエの記
パリ，シャルルドゴール空港に到着した
時計をフランス時間に調整する
時差はマイナス7時間
朝日本を出て役立つ13時間飛行
着くと日本で20時ごろのはずが
少し戻って13時半過ぎ
ドゴール空港内は意外に古い
前回25年前に来たときに比べて廊下の隅などあまり見えない場所の傷みがひどいが
オリンピック用に急遽直している印象だ
空港はすでにオリンピック用の飾り付けがされて五輪到来を期待させる
バゲージが少し空港で傷んでいたので破損証明をもらいに窓口に向かうも
なかなか受理されない
あとから来た白人グループの作業がはじまった
言葉の問題もあるがやはり人種差別だろうと思った
どうにか処理も終わり入国チェック
まあまあの時間並ぶことになった
どうやらヨーロッパチャンピオンカップのサッカーのために多くの応援の人が並んでいるようだ
入国審査そのものは顔をパスポートと照合されただけで、喋ることもなくほぼ０秒通過
こんなんだったら最初から書類チェックでいいのでは？どこの空港も同じだが、どこも入国審査までは随分待たされる
バスでパリ市内宿泊先へ移動
ところが市内へ向かう高速道路の渋滞で予定の1時間を大きく超える移動となった
普段でも市内向け高速は無料で渋滞するところに夕方渋滞とオリンピック工事のための通行制限でなかなか進めない
ようやく宿に入り一息ついた
夕食をとる時間がなさそうなことは最初からわかっていた
当初は空港でサンドイッチかなにかを買ってやり過ごすつもりでいたがバゲージトラブルの処理に時間を費やすことになったのでそれも叶わない
すでにスーパーマーケットは閉店の時間
日曜日パリのマーケットは６時くらいで閉まるところが多い
仕方なく食べられそうなお店を探してホテルまわりをぶらぶら
看板もメニューもフランス語はまったく読めない
なんとなくローマ字読みのできるチーズ表記のお店があった
ここならピザくらいなら食べることができそうだ
なにせ言葉がわからないので何とかの煮物とかソテーとかどんな食べ物が出てくるか予想もつかない
入って英語でピザは食べられるか聞いてみるとピザは扱ってないらしい
対応してくれた可愛らしい大学生くらいの女の子がそれならここに行ってみたら？と
スマホの地図を操ってくれた
「シモネタ」と発音されていたがまさか日本語ではあるまい
彼女のお勧めを信じよう
距離は２キロくらいある
あまり治安の良さそうなエリアでもないので
緊張しながらお店を探すと案外早く着いた
綴りで「simontta」
どうやら、シモネッターと読むらしい
あとで調べてみた
ヴィーナスの誕生のモデルの名前が
「シモネッタ・カッタネオ・ヴェスプッチ」だった
当時のフィレンツェいちの美女の名前だ
人名を店名にしているらしい
日本だと さすずめ「小野小町」とかだろうか
入り口でメニューを発見
読めない
しかし、マルゲリータっぽい文字の並びがある！しかもビールっぽい文字の列もあったので迷わず飛び込むことに
しかし、このお店は地元の人？に人気らしく他の店が空いてるいるのにほぼ満席だ
外の席と中の席とどちらがいいか？と聞かれた気がする
おしゃれな店外で食べてもみたいが
ほとんどの客が店内で食べているので郷に入っては郷に従えだ
座席は東京都内の喫茶店より狭い印象
背の高いフランスの人ではたぶん狭いだろう
しかし満席なのだからきっと美味しい店に違いない
しかも、地元の他のお店の店員さんがわざわざ教えてくれたのだから
よくわからないがマルゲリータとビールを注文
ビールは５つの種類があった
そのうちふたつは瓶ビールらしい
残りの三つはきっとジョッキかグラスのはず
とりあえず1番うえに表記されているものにした
これは普通の生ビールのよく冷えたやつ
おかわりは２番目のやつ
コロンボなんとかだがビールにレモンが浮かんでいる！？
あちゃー！と思ったものの
これが実にうまい
すこし白濁していて味はフルーティー
この味、オクトーバーフェストで飲む美味しいやつだ！味の記憶を引き出した
なんて書いてあるかわからないのでメニーの写真を残しておこう
きっと今後注文するときにその文字列が役立つに違いない
マルゲリータは普通に大きめのピザ
焼き加減も日本のものとかわりない
ただ日本のものよりチーズにコクがあるし塩分が強いのかもしれないが間違いなく美味い
左右の現地客を見るかぎりピザのお作法も特に変わったことはなさそうだ
ナイフとフォークの国だが、手づかみで頬張れるのはありがたかった
夕食の買い出しに出遅れたので今夜は食べられないかもと思っていたが入った店がよかった
腹一杯で夕暮れの街にでると
真正面は運河だ
夕暮れが川面に光っている
明日からも晴れればよいな
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