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Venture Deals (19) 知財に関する留意点

過去の知財に関する講義に引き続き、Venture Dealsにおいて知財関連の講義を和訳しましたのでアップします。創業者間での知財トラブル、元従業員の知財トラブルが主な内容です。後者に関する最近の有名事例は、Google勤務エンジニアが自動運転技術を転職先のUberに流出させたという訴訟でしょう。おまけで米国の会社設立はどの州で行うべきか、についての話題が最後に出てきます。以下、講義和訳です。

(以下、本文)

1. あなたの会社の知財は誰のものか

(クリント)知的財産に関して、起業家が法的な観点から犯しがちな間違いは何ですか?

(ブラッド)まず、知的財産とは何か、そしてそれが実際にどのように機能するかという観点の両面から、いろいろな問題がカオス(Rat's Nest)になっているのが現状だと考えています。

多くの起業家は、知的財産というと特許のことがすぐに頭に浮かぶようですが、会社を始めた時の知的財産がどこに所属されているのか、については考えを及ばすことは少ないようです。

2人で一緒に会社を始めたものの、そのうちの1人が後に離脱するスタートアップはよくあります。 2人の起業家のうち1人は、もう一方の創業者が自分の知的財産を盗んだと言い出して訴訟になることがあります。または、企業家または、会社の立ち上げる前の段階から2人の起業家が協力していた場合、そのうち一方が会社を立ち上げると、もう一方は「その会社の事業アイデアは全て自分のものだ」と主張したりします。

こうした事態は時に係争を引き起こす可能性もありますが、実際にはそうならないことが多いです。あなたが会社を始めるとき、投資家はあなたが会社の知的財産の明確な所有者だということを確認するでしょう。また、あなたの会社の複数の共同事業パートナーがいるとき、あなた以外の人や会社は知的財産を持っていない、ということを同意させておくのが通常だからです。

起業家に対する私のアドバイスは、知的財産の所有権はできるだけシンプルに決めておきましょう、ということです。また、アイデアを持っているという事実は究極的には会社の事業とは何の関係もない、ということを認識しておくことです。「他の誰かが実行している事業は、今自分が頭の中で間がているアイデアなんだ」なんて誰かが言ったとしても、それは本質的には無価値でしょう?

2. 従業員を雇う際の留意点(知財の観点から)

(クリント)創業者間での問題についてはわかりました。従業員についてはどうでしょう?起業家はどこで間違いを犯しますか?

(ブラッド)アーリーステージの会社が新しい従業員を雇う際には、彼または彼女が本当にあなたの会社のために働いており、前に所属していた会社とは関わりがないことを確認すべきです。またはその人物がパートタイムで働いている場合、実は別の会社でフルタイムで働いている、なんてことがないことを確認しましょう。アーリーステージの会社は基本的に社内の誰とでもオープンに事業内容を語り合い、共有します。そうした会話のやりとりから機密情報が漏れる可能性があるのです。

前職や他者との関係性については、起業家自身も留意すべきです。あなたが大企業を辞めてスタートアップを立ち上げようとする場合、あなたは大企業で得たいかなる資産も、自分自身のスタートアップのために使用しないことを確認してください。自分のスタートアップの事業が何らかの形で以前勤務していた会社の事業と関係性があると思われたりしないよう留意して下さい(訴訟される可能性があります)。新しいビジネスはできるだけクリーンに、後ろめたいことがない状況で始めるべきです。

3. おまけ:米国ではデラウェア州での会社設立が一般的

(クリント)話は変わりますが、会社を始めるとき、どの州で法人を設立するかは重要ですか?

(ブラッド)重要です。最も一般的なのはデラウェア州で会社を設立することです。デラウェア州では、多くの異なる投資家・起業家・企業からの理解が得られ、非常に体系化された会社法が定められています。明確な会社法があることがわかりました。長期間にわたって実際の判例も蓄積されており長期間にわたってテストされています。非常にバランスが取れており、デラウェア州の会社法はフェアな内容になっています。

その他の州、特にテキサス州カリフォルニア州でもスタートアップ設立がよく見られます。もしあなたが例えばコロラド州に住んでいいる一方、投資家がカリフォルニア州にいる場合、会社法上の取り決めが明確かつ中立に定義されているデラウェア州にて法人化することが合理的な判断でしょう。あなたがもしアイオワ州に会社拠点を置こうとする場合、一般的にアイオワ州の会社法について投資家はよく知らないため、やはりデラウェア州にて登記することが合理的でしょう。

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