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米国有名大学基金の足元の運用成績は主要上場株価指数より低かった

ハーバード大学、MIT、イェール大学、スタンフォード大学等の米国大手有名私立大学は巨大な学術機関であると同時に巨大な機関投資家でもある。上場株式や債券といった伝統的な資産のみならず、ベンチャーキャピタルを始めとするオルタナティブ資産に多額の資金を投資している。

そんな大学基金の6月30日時点での年率リターンがウォール・ストリートジャーナルに掲載されていた。記事によれば、下記の通りの成績である(デーア出所:Cambridge Associates)。

  1. 運用額10億ドル以上の大学基金のリターンの中央値:5.6%

  2. 運用額5億ドル未満の大学基金のリターンの中央値:8.8%

  3. 同期間のMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスのリターン:17.1%

  4. 同期間のS&P 500のリターン:19.6%

上記の1. のうち、個別の大学名を見てみると、イェール大学は1.8%、スタンフォード大学は4.4%の利益を計上した一方、新興企業の評価額の落ち込みにより、マサチューセッツ工科大学は2.9%、デューク大学は1%の損失を計上した。

少なくとも直近のパフォーマンスだけをみれば、プロ投資家である大学基金のリターンは、インデックス投資のリターンに負けている。この背景としては、NVIDIAやマイクロソフト等のテック企業において、Chat GPTを始めとするAIブームの後押しを受けたパフォーマンスが好調であり、上場株式指数の上昇を牽引したことが挙げられる。一方で大学基金が多くの資金を投資しているベンチャーキャピタルにおいてはスタートアップの評価額の切り下げが相次いだ結果、ファンドパフォーマンスも足元で低下した。この違いが両者の明暗を分けたと考える。

ただし、ベンチャーキャピタルなどのプライベートエクイティ投資は基本的には期間10年程度の息の長い投資である。足元の相場に一喜一憂せず、長期的に動向を見守りたい。

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