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ベンチャーディールズ(35) 配当/ Venture Deals - Dividend

以下、米国VC・Foundry GroupのBrad FeldやJason Medelsonが毎年2回提供しているオンラインコース(無料)、Venture Dealsの講義内容が素晴らしかったのでまとめてみました。
今回は「Dividend」のセッションを和訳しました。なお、和訳することについてはBrad Feld氏と直接コンタクトし、許可を得ております。他のセッションも順次アップしていく予定です。是非ご一読下さい。なお、Venture Dealsはベンチャーキャピタルを理解する上でとても勉強になるシリコンバレーVCのバイブルのような本なので、是非ご一読ください。

(以下、講義和訳)

(ブラッド)配当とは、投資家(株主)が拠出した資金のうち、一定の割合について、一定の期間にわたって株主に還元を行うことを指します。配当は通常、全株主に対して企業が支払いを行います。

タームシート上で規定される配当は、投資した資金に付与される金利のような形で記載され、「年間投資額のうち、8%を投資家が支払われます」といった言葉をよく目にします。ほとんどのスタートアップでは、配当は非累積と呼ばれるもので、配当金額はこの8%の金額で固定されます。一方で累積配当というものは、年を追うごとに金額が増加していくものです。

たとえば、年間の平均投資額が2,000,000ドルで年間ベースで10%の配当の場合、配当金額は200,000ドルになります。非累積配当の場合、 200,000でドルのみが支払対象ですが、累積配当の場合、もし配当が支払われない場合、毎年追加で200,000ドルが発生していきます。 3年後、その2,000,000ドルの投資に対する配当は600,000ドルになる可能性があります。

スタートアップ投資でこの配当取引が滅多に見られない理由として、ほとんどのベンチャーキャピタリストが実際には配当を受けることを想定しておらず、重要な条項とみなしていないからです。特にベンチャー投資よりはるかに大規模なプライベートエクイティ取引では実際に配当取引が見られますが、ベンチャーキャピタル関連の取引ではめったに発生しません。

(クリント)滅多に使用されないのなら、なぜそれがタームシートにあるのですか?

(ブラッド)40年前に作成されたのと同じ形式のタームシートがこれまでずっと使われ続けているからでしょう。タームシートの内容は本質的に、タームシート上で歴史的な使われてきた用語の蓄積です。

とあるニッチなケースでは、タームシートに非累積配当を設定することに価値があることがわかります。これは、次のようなケースです。

とある投資家Aが高額でスタートアップに投資し、その後、その会社が、投資金額より低い価格水準で買収されたとします。起業家を含め投資家は、この買収で一定のリターンを得ることができますが、最後に投資したAだけは十分なリターンを得ることができません。そんなときに投資家Aは配当の権利を行使することで、少しばかりのリターンを追加で得ることができるようになります。

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