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シリコンバレー名ブログを読む⑤:スタートアップの始め方(前編)(How to start a startup ) by Paul Graham, Y Combinator

Y Combinatorの創始者、ポール・グレアムが2005年3月に記した記事の概要を以下まとめてみました。長いので前編、後編にわけてアップしたいと思います。

1. はじめに

成功するスタートアップを作る方法はハードだが至ってシンプルだ。「顧客が真に必要としている良いビジネスアイデアを実行すること」「良いチームメンバーを揃えること」「支出は出来る限り抑えること」。これら3つの要素が揃えば成功するはずだ。実行するのはハードだけれど、考え方自体はシンプルだ。

2. 良いビジネスアイデアとは

ビジネスアイデアに、とてつもなく素晴らしいアイデアなんていらいない。既に存在している技術やビジネスより優れているものを提供できれば十分だ

例えば、Googleは既存の検索エンジンより優れたエンジンを作ったことで成功した。検索エンジン事業を行う会社はGoogleが登場する前から存在していたが、Googleは次の点で新しかった;ウェブのインデックスを増やし、検索結果を順位付けして、自然とキーワードベースの広告を検索結果の画面に表示させるようにした。

3. アイデアと同じくらい実行力が重要

多くのスタートアップ創業者は、良いビジネスアイデアを思い浮かぶことが成功のキーとなる部分だと勘違いしている。だが、アイデアを思いついた後の実行力ももっと重要だ。いや、アイデアより実行力の方が重要かもしれない。実際、Microsoftは立ち上げ後、最初のアイデアからだいぶ違う事業内容に変貌を遂げた。

4. 顧客が求めているものを作るには

スタートアップが失敗する際、そこには多くの理由がある。資金が尽きた、資金調達ができなかった、などだ。だがそれは表面上の結果論であって、真の理由は、顧客が求める製品を作ることができなかったからだ。

では、どうすれば顧客が求めるものを作れるのか。バージョン1の製品(プロトタイプ、もしくはMimimum Vialbe Productのこと)をできるかぎり早くローンチし、顧客に見せてその反応を見ながらレベルアップを重ねていくのだ。

もう一つのやり方は、熟考したビジネスプランをもとにエンジニアを雇い、ローンチまでに2億ドルの資金と1年の期間をかけることだが、こちらはスタートアップのやり方としてはお勧めしない。なぜなら、最初のビジネスアイデアというのは確実に何かしらが間違っているからだ。なので大切なのは、素早くローンチして顧客に実際に製品を見てもらい、どこが間違っていたのか、を理解し改良を繰り返していくことが大切だ。

まずはユーザーの観察からはじめよう。

5. 良いチームメンバーとは

次に良いチームメンバーについて。「良い」とはその職種によって定義が異なる。例えば営業担当であれば、契約が取れるまで諦めない精神の持ち主、エンジニアであれば、夜明けの4時までコーディングをし続けてしまうような人物、広報担当者であればニューヨークタイムズに(自社の記事を載せてもらうために)コールドコールをかけてしまうような人物だ。デザイナーだったら、グラフィックの構成が2mmずれただけで違和感を覚えて身体的苦痛を感じてしまうような人物だ。

良いチームメンバーは大学のクラスを通じて見つけてみよう。また、決して自分一人だけで起業すべきではない。スタートアップは一人で全てを背負うには非常にハードだからだ。共同創業者、創業メンバーを2−4人程度見つけよう。また、メンバー構成についてはMBAホルダーのビジネス出身者のみの構成は危険だ。テクノロジーバックグラウンドの人物を必ず入れよう。なぜならビジネスバックグラウンドの人間は、テクノロジーを通して具体的に何が解決できるのか、手触り感もないし理解度もないからだ。

6. (おまけ)どの市場を狙うべきか

成功したスタートアップと聞くと、多くの人がGoogleやAppleなど、B2Cビジネスを展開する企業を思い浮かべる。だが、スタートアップが勝負できる領域はその他にだってたくさんある。最も成功確率の高いアプローチは、ニッチ市場を狙うことだろう。特に、大企業のIT部門などは、多額の予算をひどい品質のソフトウェアに投じているので、既存の製品より良くて価格競争力のある製品はいくらでも作れるチャンスがいくらでもある

一方で、大企業にものを売るとなると、競合は保守・メンテナンスサービス等も含めて充実したリソースを割くことができるオラクル等の大手IT企業になるので、いくら劣悪で高い製品を大企業が使っていようが、それをスタートアップのサービスにリプレイスすることはかなりチャレンジングだ。従って、スタートアップはまずは(大企業ほどリプレースのハードルが高くなく、またオラクル等の大手もそこまで注力していない)中小企業向けの課題解決を行うサービスから始めてみるのはいかがだろうか。

(続く)

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