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2023年、PEのファンドレイズにかかった時間は13.8ヶ月(中央値)、VCは12.8ヶ月

Pitchbookが公表したQ3 2023 Global Private Market Fundraising Report(リンク先から誰でもダウンロード可能です)の中で以下のようなグラフがあった。

https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report

2023年に組成したプライベートエクイティファンドについて、募集を開始してファイナルクローズを行うまでの期間は中央値が13.9ヶ月であったとのこと。この13.9ヶ月という数字は2012年移行のデータでは最も長い。足元ファンドレイズに要する期間が長期化しているようだ。

https://pitchbook.com/news/articles/private-capital-sluggish-fundraising-timelines

この長期間の原因は複合的な要因が考えられる。推測するに考えられるのは大きく以下の2つが考えられるだろう。
1.ファンドサイズが大きくなり、その分組成に時間を要したため 
2.2022年以降プライベートエクイティ市場に流れる資金が減少しており、投資家探しに時間がかかっているため

1.については、下記の通り2023年に入ってもCVC Capital PartnersやClaytonをはじめとする大手バイアウトファンドにおける3兆円規模の組成が継続している。当然ながら規模が大きくなれば、既存の前号ファンドに資金を入れていたLP投資家以外に新たな投資家を開拓・勧誘する必要が出てくる。その分、ファンドレイズにかかる時間は長期化する。

https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report

ご参考だが、2023年第3四半期のVCの大型調達は下記の通り。

https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report

2.については、引き続きファンドレイズの環境は数年前対比で低迷している(下グラフご参照)。LP投資家のプライベートエクイティ市場への資金流入が細っている中、ファンドマネージャーにとって限られた資金の奪い合いが生じる。これもファンドレイズの長期化の一因と思われる。

https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report

なお、VCの資金調達環境に絞ってみても状況は大体同じで、投資家からの資金の流入は限られている(下グラフご参照)。

https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report

特に、初号ファンドを立ち上げるファンドマネージャーにとっては引き続き逆風が続いており、新米ファンドマネージャーのファンドレイズについては引き続き復調の兆しが見えていない。

https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report


https://pitchbook.com/news/reports/q3-2023-global-private-market-fundraising-report

FRBが実質的に利下げ終了を宣言した中、株式市場そしてIPOマーケットが復活しそうな明るい兆しを見せている足元の市況にプライベートマーケットも大きく影響を受ける。こうした明るい兆しをもとに2024年のプライベートエクイティのファンドレイズの増加を期待したい。


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