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米国政府高官の天下り先となりつつあるベンチャーキャピタル

ペンタゴン(米国国防総省)の元長官、Mark T. Esper氏を始め、過去5年で約50名の政府高官がベンチャーキャピタリストに転身した、との興味深い記事を見つけた。

ガザ情勢、ウクライナ情勢、そして台湾情勢を始め地政学リスクが高まる現下、防衛テック(Defense Tech)が米国のベンチャーキャピタル投資においても急速に注目を浴びつつある。こうした中、防衛テックを投資テーマとするベンチャーキャピタルにとっては、防衛テックの大口顧客となる米国国防総省や米国政府等とのコネクションは必須だ。政府高官OBが防衛テックのセールス&マーケティングを担ってくれれば投資先スタートアップはもちろん、ベンチャーキャピタルにとっても大きな付加価値となる。政府高官OBにとっても、元々スタートアップ界隈とは縁遠い政府・官庁コミュニティを橋渡しする役割となり、大きなやりがいのある仕事だろう。

防衛テックのような政府との関係構築が不可欠なセクターの場合、政府高官OBによるベンチャーキャピタリストやスタートアップへの転職事例は、米国に限らず日本でも今後増えてくる可能性がある。

そんな時代を妄想しつつ、仮に政府高官OBの採用に留意点があるとすれば、以下の点だと考えてみた。
ベンチャーキャピタリスト業務に真に情熱を持っているか:元政府高官の天下り先として崇め奉られながらキャリアを終えたいだけの人間ではないか。ましてやスタートアップともなればただ椅子に座って指示を出すだけの高齢者ではなく自ら手を動かし行動する人材が求められるが、きちんと自分の役割を理解しているか。
対政府での営業力やセールスチャネルを有しているか:前述のMark T. Esperクラスの人材であれば広く顔が効き、また政府や国防省における予算確保の方法や調達時の意思決定方法も熟知しているだろう。だが単に長年政府で働いていただけの「論理的な文章を書くことができます」的な人材も中にはいる可能性がある。きちんとバックグラウンドはチェックする必要がある。
高給を求めてきていないか:ある程度の政府高官となれば相応の給与も求めてくるだろう。先方が要求する給与と得られる果実(政府とのパイプ等)がマッチするかどうか、はきちんと熟考する必要がある。

AndurilやPalantir、Gecko Technologiesといった防衛テックスタートアップは2024年急速に注目を浴びるかも知れない。動向を追っていきたいと思う。


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