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ベンチャーディールズ(24) ドラッグ・アロング・ライトとは /Venture Deals - Drag Along

以下、米国VC・Foundry GroupのBrad FeldやJason Medelsonが毎年2回提供しているオンラインコース(無料)、Venture Dealsの講義内容が素晴らしかったのでまとめてみました。

今回は「Drag Along」のセッションを和訳してみました(和訳することについてはBrad Feld氏と直接コンタクトし、許可を得ております)。他のセッションも順次アップしていく予定です。是非ご一読下さい。

なお、Venture Dealsについては、本でも出版されており、またこちらもベンチャーキャピタルを理解する上でとても勉強になるシリコンバレーVCのバイブルなので、是非ご一読ください。

(以下、講義和訳)

ドラッグ・アロング・ライトは、起業家にとって非常に恐ろしいものであり、資金調達時、ベンチャーキャピタリストとの交渉が必要になる条項です。
(クリント)ドラッグ・アロングとは何ですか?スタートアップ が注意すべきポイントは何でしょう?

(ジェイソン)ドラッグ・アロングとは 「あなたがすで会社を辞めている場合、残りの普通株主たちは、彼らの投票した割合に従って、あなたの株を投票することができる」という権利のことです。ちょっとわかりづらいですね。

もしあなたがあるスタートアップの株式を所有しており、そしてあなたは既にそのスタートアップを去っている状況だとしましょう。そこで、ある議案に対し株主による決議が行われ、その決議に対して賛成70%、反対30%の投票が行われたとします(但し、あなたの株式は含めません)。すると、あなたが保有している持分の株式のうち70%が賛成票に、30%が反対票に自動的に投票されてしまいます。なんだか怖くないですか?

ここでの論点は、会社がやりたいことを阻止する拒否権や、反対する権利を誰も持ち合っていないということです。

ドラッグ・アロング・ライトはCEOだけに付与されるものではありません。通常、創業者や大口株主に付与される場合もあります。もしこの権利を保持する株主が既に会社から去ったとしましょう。なお、その理由は自発的に去っただけなのか、それとも辞めさせられて今でも根に持っているのかはわかりません。いずれの理由にしても既に会社を去った人間たちに、会社としては会社の意思決定に関与できる権利を付与したくないでしょう(賛成・反対票を投じる権利を付与させたくないでしょう)。

なので、他の株主全てが良いまたは悪いと考える議案について、すでに辞めてしまった人たちの考えを従わせるべきだ、というのがドラッグ・アロング・ライトの考え方です。

(クリント)ドラッグ・アロング・ライトはベンチャーキャピタルが保有する優先株にも付与されますか?

(ジェイソン)いえ、ベンチャーキャピタリストは投資先の会社で働く社員というわけではないので、基本は付与されないです。ベンチャーキャピタルがこの権利を持つことは合法ではないんじゃないかと思います。我々キャピタリストはLP投資家に対して受託者責任を負っていますから。つまり、投資先企業の株主総会の賛成票・反対票の割合をそのまま受け入れることが、LP投資家の利益に反することだってあるはずです。その場合、我々キャピタリストはLP投資家の利益と相反する行動をとることになります。

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