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Tiger Global Managementの足元のファンドパフォーマンスについて

2021年に340件以上の投資を行いユニコーンステータスとなった未上場スタートアップのほぼ全てを投資対象として「安くて、速くて、好条件のカネ」(「ベンチャー・キャピタリスト」のTiger Globalに関する記述より)多額のマネーを投下してきたTiger Globalが2021年10月に立ち上げた15号ファンドにおけるファンドの評価額が、2022年12月末時点で前年対比20%減少したこと、及び主要投資先のパフォーマンスがInformationの記事の中に記載されていた。

尚、他のファンドの10号、11号、12号ファンドについても軒並み足元では評価額を平均33%切り下げているとのこと。

15号ファンドは既に110億米ドルを投資実行済であり、OpenSeaやByteDance等、ブロックチェーン、AI等の技術をベースとした事業を展開するテクノロジー企業に投資を行っている。これまでに投資した250件のうち、170件について評価額を切り下げているとのこと。

上記のグラフを見ると、レイターステージ〜PreIPOステージに差し掛かった企業(ByteDance等)は上場相場下落の影響を受けてか、軒並み評価を下げている一方、Moloco(米国のモバイル広告向けアドテック、TigerはシリーズCに参加)やSpinny(インドの中古車売買プラットフォーム、TigerはシリーズDで参加)、Xendit(インドネシアの中小企業向けペイメントサービス、TigerはシリーズDで参加)と、レイターステージに入るか入らないかのステージの企業群は評価額を上げている。Crunchbaseにおいては、評価を上げた3社について、Tigerが出資して以降次のラウンドが発生していない中、また、類似業種の上場株式も軒並み評価を下げている中(2021年対比)、どのように評価額の上昇がなされたのかは不明である。

ここから何が言えるか、といえば、クロスオーバー投資を行うファンドやレイターステージにフォーカスを充てたファンドはパフォーマンスの観点で当面苦戦を強いられるだろう。とりわけ、Tiger Globaの15号ファンドのように株式相場が最もホットであった2021年に立ち上げたファンド、IPOによるExitも今後1、2年は難しくなりそうな気配の中、かといって次のプライベート市場における資金調達も大幅な評価額の上昇は見込めず、少し苦しい時期が続くだろう。2、3年先には株式市場をはじめとした市況が回復してくれることを望みたい。

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