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過去5年のNBA優勝チームのサラリー構成から、優勝チームの傾向を探ってみた

少し前の話になるが、2021年−2022年のNBAはゴールデンステート・ウォリアーズの優勝を幕を閉じた。振り返ってみても、今年のウォリアーズ優勝を予想できた人は多くはないのではないだろうか。シーズン開幕当初はいわゆるスーパースター寄せ集めチームと揶揄されるレイカーズやネッツ(昔でいう巨人軍)が優勝候補筆頭との声が多かったが、やはりバスケットボールはチームスポーツだからか、単純に強い個を集めてきてもそれが優勝には結びつかない、ということを改めて思わされたシーズンだった。
では、どんなチームが結局優勝するのだろうか?優勝を決定づける要因は、それこそGMの球団運営能力、ヘッドコーチのコーチング哲学からさらには試合中の要所でのコーチの采配、そして選手の気合・集中力等、様々な要素が結びついており、一言で語れないことは理解している。が、まずは「サラリー構成」という軸から、チームが優勝しているのか、過去5年をさかのぼってみていきたい。
(なお、データはESPNのリンク先ページから作成しております)

1. Golden State  Warriors (2021-2022)

今年2022年の優勝チームである。サラリー総額約$176.5MMのうち大半はスーパースターかつチームの長年の功労者、ステフィン・カリーに配分。それだけでなく同じく長年のチーム功労者であるクレイ・トンプソンとドレイモンド・グリーン、そして今年ウルブズから加入したアンドリュー・ウィギンズの4選手が大半を占め、その中核をイグダーラ、ルーニーなどのベテランで固める構図になっている。

2. Milwaukee Bucks (2020-2021)

つづいてバックス。こちらはスターター5人(ミドルトン、アンテトクンポ、ホリデー、ロペス、タッカー)のサラリーが高めで、その他控え選手が安め、というぱっと見でわかりやすい構図。その他少し意外だったのはMVPを獲ったアンテトクンポよりミドルトンの方がサラリーが高い、という点だろうか。

3. Los Angeles Lakers (2019-2020)

アンソニー・デイビスをペリカンズとのトレードで獲得した初年度、レブロン・ジェームズとの相性は抜群で前シーズンまでの低迷が嘘であったかのように一気にカンファレンス1位に駆け上がり、そのまま優勝をしたレイカーズ。こうしてサラリー構成を見てみると、レブロンとデイビス+その他、といった感じで歪に見えなくもないが、それでもダニー・グリーンやケンタヴィウス・コールドウェル・ポープ(KCP)など守備+3Pで光る選手を抱え、このサラリー構成以上に実態は非常にバランスのとれたチームだった。

4. Toronto Raptors (2018-2019)

2018年−2019年のトロント・ラプターズのサラリー構成は、スターター4名(カイル・ラウリー、マルク・ガソル、カワイ・レナード、サージ・イバカ)が高給取りで、その後キーとなる選手(バンブリートなど)が続くという構成になっている。が、特筆すべきはスターター、パスカル・シアカムの$1.5MMという破格の契約だろう。この頃シアカムはまだルーキー契約が残っていたため、その活躍に見合わない破格のサラリーで大活躍し、この年の優勝に大きく貢献していた。このシーズンで最もサラリーコスパの良い選手を挙げるとすれば間違いなくパスカル・シアカムであっただろう。

5. Golden State Warriors (2017-2018)

最後は2017年−2018年シリーズのウォリアーズ。中核選手5名に厚めのサラリー分配を行い、あとはベテランのショーン・リビングストンが少しサラリーが高めなだけで、あとはサラリーの低くで活きのいい若手と多数契約する、という構図になっている。

6.まとめ

高給の選手たちは、給与に見合った活躍を見せてくれた
優勝したチームは、いずれも高給の選手たちがプレイオフの最後まで健康体を維持しコートに出て活躍をしている。今年を振り返れば、バックスはクリス・ミドルトンが怪我で離脱する等の不運に見舞われ、プレイオフ途上で敗退していった。最後まで健康体を維持することが改めて重要だと思わされる。
給与の低い選手たちは、ベテランミニマム契約よりは若手中心で構成されている
たとえば2017年−2018年のウォリアーズ、2018年−2019年のラプターズでは、$1.5MM近辺の契約者は走れてスタミナのある若手が中心である。一方で既に走れずディフェンスで足がついていかない、ベテランミニマム契約で$1.5MM近辺の契約を結ぶチームは、近年の優勝チームではほとんどない(例外:2019年−2021年のレイカーズにおけるJRスミスやエイブリー・ブラッドリー。だが彼らはまったくプレイオフで試合に出ていなかったが)。やはり最後は体力・ディフェンス勝負になりがちなプレイオフでは、老獪で経験豊富だが足がついていかないおじいちゃんプレイヤーよりは怖いもの知らずで失うことのない、走れる血気盛んな若手のほうが活躍できるのだろうか、と思わされるロスター構成である。
極めて低コストで大活躍する若手が存在する
少し②ともかぶる内容になるが、例えば2018年−2019年のラプターズにおけるパスカル・シアカム、2019年−2020年にのレイカーズにおけるアレックス・カルーソはまさに良い事例だろう。

以上、サラリー構成から「優勝できるチームの特徴は?」との問いに迫ってみたが、またこれからも様々な別の角度から考察をしてみたい。

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