見出し画像

陽気山脈リプレイ④~4,000M編

前回のお話はこちら。

【ここまでのあらすじ】
わんわんお、退散だお!

今回はいよいよ狂気山脈に登ります! やったぜ!
※以下、シナリオ『狂気の峰へ』のネタバレが含まれます! 未踏破の方はご注意ください!
※なお、本キーパリングに関する文章は、KPのまくらさんが通ってきたRPを参考にさせていただいております。








KP「ではこれより、狂気山脈を登っていきます。まずはプレイヤー三人による、天候決定ロールです。【幸運】の値で振り、全員成功で快晴無風、一人失敗で降雪、二人失敗で強風、全員失敗で猛吹雪となります。悪天候になればなるほど、技能ロールにマイナス補正がかかります。この際、一日消費して停滞(ビバーク)を選択することもできます」
KP「それが終われば、NPCも含めた全員で【未踏峰ナビゲートロール】を行います。全員成功すれば1,000Mずつ標高を上げられますが、失敗すればアクシデントが起きます。ファンブルの場合は2回です。アクシデントに対応できれば、ナビゲートは成功扱いとなります」
KP「なおここからは、1日が経過するごとに食糧を1日分ずつ減らしていきます。」

 つまり、運が悪ければ死ぬってことです。頑張ろう!


○1日目(食料30/30)


【天候決定ロール】
テッペン 【幸運】 (1D100<=70) > 13 > スペシャル
エーイチ 【幸運】 (1D100<=75) > 31 > 成功
ゼッテェ【幸運】 (1D100<=70) > 45 > 成功

 とうとう登山隊は、狂気山脈に足を踏み入れた。これから彼らは、山頂10,000Mを目指し進んでいくこととなる。
 まず目標とするのは5,000M地点。幸いにも、空は見事に晴れ渡っていた。

ゼッテェ「とてもいい天気だ!!!」
エーイチ「晴れ男しかいる気しないもんね」
K2「いい山日和だ」

KP「未踏峰ナビゲートとは、非常に神経を使う。誰も踏んだことのない道を進むということは、その道の安全を誰も保証してくれないということだ。どこにクレバスが口を開けているかわからない。斜面にかぶった雪も、いつ雪崩を起こすかわからない」

 まず一歩を踏み出したのは、穂高梓( 【ナビゲート】 (1D100<=80) > 13 > スペシャル)である。なるほど、ケヴィンの言葉に間違いはなく、彼女は涼しい顔をして雪道を進んでいった。

ゼッテェ「頼りになるな!!!」
穂高梓 「そう?」

 そして彼女に続くべく、生粋の登山家がストックを握り直す。山を愛するテッペンの緑の目に映るのは、果たして絶景か絶望か――。

テッペンCCB<=80 【ナビゲート】 (1D100<=80) > 96 > 致命的失敗

テッペン「ん?」

 地響きのような音を耳にした( 【聞き耳】 (1D100<=80) > 79 > 成功)テッペンは、振り返る。なんと彼めがけて、直径数十センチもの石が転がってきているではないか。ぶつかってしまえば、怪我どころでは済まないだろう。
 だがすんでのところで気づいたテッペンは、辛くも身をかわすことができた。砂と土混じりの歪な轍を残し、岩は勢いよく斜面を落ちていく。

エーイチ「テッペン君!!!!!???」
ゼッテェ「ラーーーーーーーーーーク!!!!!!!!!」※落石を目撃した場合は、大声で「落石!」や「ラーク!」と叫んで周囲の人に知らせるのが山行のマナーです。
エーイチ「もう飛行機並のデシベルじゃん」
ゼッテェ「間一髪だったな、テッペン君!!!」

 だが、まだ災難は終わらない。
 登山隊の眼前に、突如蜃気楼が浮かび上がったのだ。
 その蜃気楼が空間へ逆さまに映し出した光景は、人類の技術力では到底創造し得ない、奇怪な建築物からなる巨大な都市の姿だった。幾何学法則を不気味に歪ませた石造物の群れ。円筒形や立体、円錐や四角錐を組み合わせた塔、五角の星型を積み上げたようなテーブル上の建物。これら熱病が運んだ悪夢としか思えぬ建築物の姿が、視界の果てまで延々と続いていた。

テッペン「!?」
エーイチ「あ!!?うわああ!!??」
ゼッテェ「すごいな!!!」
コージー「な、なんだありゃ!?」
穂高「……なんでこんなもの……?」

 なぜ、未踏の山脈にて、このような異色の文明の跡が浮かび上がったのか。わけがわからぬまま、蜃気楼はゆらめいて消えていった。

【全員〈正気度〉ロール(1/1D6)】
エーイチ1d100<=75 【SAN値チェック】 (1D100<=75) > 47 > 成功
テッペン1d100<=70 【SAN値チェック】 (1D100<=70) > 50 > 成功
ゼッテェ1d100<=70 【SAN値チェック】 (1D100<=70) > 10 > 成功
K2CCB<=90 【SANチェック】 (1D100<=90) > 76 > 成功
穂高梓 : CCB<=80 【SANチェック】 (1D100<=80) > 71 > 成功
コージー・オスコー : CCB<=30 【SANチェック】 (1D100<=30) > 1 > 決定的成功/スペシャル

K2「今のは……」
エーイチ「みんな、見たんですか?」
ゼッテェ「うん! これは、今までの山とは違うようだな!!!!」
エーイチ「犬が吠えた理由がわかったかもしれない……。テッペン君、大丈夫?」
テッペン「大丈夫です」
エーイチ「答えてくれた……嬉しい」

 不可解な現象に首を傾げながらも、歩みを止めることは許されないのだ。エーイチは、意気込みも新たに雪山を睨みつけた。

エーイチCCB<=85 【ナビゲート】 (1D100<=85) > 95 > 失敗

エーイチ「あ」

 先程のアクシデントで、神経が研ぎ澄まされていたのだろうか。エーイチはの耳は、不審な音を察知した(【聞き耳】 (1D100<=65) > 11 > スペシャル成功)。
 落石である。けれど、当たらなければどうということはないのだ。エーイチはうまく避けることができた。

エーイチ「ラ……」
ゼッテェ「ラーク!!!!!!!!!!」
エーイチ「なんで!!!!! そっちが叫ぶんだよ!!!!!!!」
ゼッテェ「叫べる時に叫びたいんだ!!!」
エーイチ「じゃあ今は適切だったけども!!!!!」
テッペン(声がおおきいのすごいな……)
穂高 「落石が続くわね」
ゼッテェ「それはそれとして、こっちの道だな!(【ナビゲート】 (1D100<=85) > 42 > 成功)」
エーイチ「いきなり頼もしい」

 だが、山脈はその身に挑むものをことごとく拒絶する。突然雪がちらつき始めた。かと思うと、あっという間に視界は白一色に染まったのである。こうなればもう地形はおろか、方向すらもわからない。

コージー 「うおっ、急に吹雪が!(【ナビゲート】 (1D100<=45) > 61 > 失敗)」
ゼッテェ「これでは進めないな!!!」
エーイチ「山の天気は変わりやすいとはいえ、こんなにとは」
K2「ビバークして様子を見よう」


○2日目(食料29/30)


【天候決定ロール】
テッペン 【幸運】 (1D100<=70) > 78 > 失敗
エーイチ 【幸運】 (1D100<=75) > 90 > 失敗
ゼッテェ 【幸運】 (1D100<=70) > 71 > 失敗
 翌日。テントから覗いた外は、真っ白な闇に包まれたままだった。

K2「天気が回復しないな……」
テッペン「今日も無理そうですね」
穂高 「仕方ないわね」
ゼッテェ「こういう時は休もう!!!」


○3日目(食料28/30)


【天候決定ロール】
テッペンCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 67 > 成功
エーイチ 【幸運】 (1D100<=75) > 72 > 成功
ゼッテェCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 57 > 成功

 登山者は、朝日のまばゆい光で目が覚める。外は、見事な快晴だった。

K2「これは良い天気だな」
ゼッテェ「最高の天気だ!!」
エーイチ「これなら行けそうだ。よかったですね、テッペン君!」

 さあ、目標地点の標高4,000Mまでもう少しである。ケヴィンの先導( 【ナビゲート】 (1D100<=99) > 58 > 成功)で、登山隊は残りの行程も登りきった。

K2「さぁ、着いたね」
ゼッテェ「さすがリーダーだ!!!」

 登山隊は、未踏峰の最初の一歩を切り拓いたのである。キャンプ地を定め、ゆっくりと野営の準備を進める。束の間とはいえ、彼らはやっと一息つくことができたのだ。

ゼッテェ「キャンプだーーーー!!」
エーイチ「さあさあ、みんなでご飯を食べて英気を養いましょう。自分は塩ラーメン派です。日本人の血が流れてますから」
ゼッテェ「私はMISOが食べてみたい!!!」
穂高「私はそば派。」
テッペン「らーめんは初めて食べます」
エーイチ「初めて!!??? ありがとう神様!!!!! こちらラーメンと申します!!!!!!」爆速で差し出す
テッペン「ど、どうも…」
ゼッテェ「エーイチくんは元気だな!!!!」
エーイチ「ゼッテェさん、こっちに味噌ラーメンありますよ」
ゼッテェ「ありがとう!!!!!」
穂高「雪を集めてお湯を沸かしましょう。みんな、コーヒーでいいかしら?」
エーイチ「ありがとうございます」
テッペン「いただきます」
K2「らーめんとやら、僕も食べてみようかな」 
エーイチ「どぞどぞ、リーダー」
テッペン「ラーメン……みそ? がおすすめなんです??」
ゼッテェ「MISO!!!!」
テッペン「MISO……」
エーイチ「え、何テッペン君、味噌が気になるの!? ごめんゼッテェさん味噌ちょっと返してほんとごめん!」
ゼッテェ「MISO……」
エーイチ「ゼッテェさんにはあとでしょうゆラーメンあげるから」
ゼッテェ「SYOUYU!!!!!」
テッペン「いや、僕はなんでもいいです」

 一方、コージーは賑やかな輪から距離を置くようにして缶詰を食べていた。

エーイチ「コージー君、そばができたよ」
コージー 「は? そば?」
エーイチ「おそば、ゆがけた。おそば、できた」
コージー 「おそばってなんだよ」
エーイチ「じゃぱにーず、そうる、ふーど」
コージー「ふーん、変な色」
エーイチ「でも、びじんも、たべてる」

 エーイチの示した先では、穂高がそばをすすっていた。

ゼッテェ「知ってるぞ!! OOMOSOKAに食べるものだな!!!」
エーイチ「ゼッテェさんの12月31日、もそもそしてそうだね」
K2「これがらーめん、あたたかいな……。食べづらくないかい?」

 ケヴィンは、懸命にフォークで麺を持ち上げて口に運んでいた。その隣では、手づかみの勢いで食べるゼッテェが「これはうまい!!!」と叫んでいたが。

エーイチ「すするんですよ、ケヴィンさん。ずぞぞっていくんです」
テッペン「すす……る……?」
コージー 「何それ。マナー悪っ」
エーイチ「わるくないの。ところかわればマナーかわるの」
コージー 「ここは南極だが?」
エーイチ「じゃあもうマナーなんてあってないようなもんじゃん」
ゼッテェ「うまければなんでもいいじゃないか!!!!」
エーイチ「そうだ、すすれすすれ!」
K2「すするとやら……難しいな?」
穂高「ずずず」
エーイチ「ずぞぞっ」
テッペン「ぐほっ」(むせる)
エーイチ「テッペン君!!!! ごめんね!!!! すする文化は蛮族の文化だったね!!!!」
ゼッテェ「さっきと言ってることがちがうぞ!!??」
エーイチ「日本人、未だ文明開化してないとこあるから。未開の部分出ちゃったな」
穂高「そんなことはないと思うけど……」
ゼッテェ「エーイチくんは情緒がたまに乱れるんだな!!!」
穂高「どうぞ」(テッペンにお茶を差し出す)
テッペン「ずいまぜん……」
コージー「……やっぱ俺はいいや」
ゼッテェ「みんなで食うとうまいぞ!!!!」

蛮族文化”SUSURU”


 穏やかなひとときが過ぎていく。そんな中、テントの外に出ていたケヴィンがひょっこりと入り口から頭をのぞかせた。

K2「おい、外に出てみろ。すごい空だぞ」
ゼッテェ「なんだなんだ?」

 ケヴィンの言葉に、全員が外に出てみる。頭上に広がる光景に息を呑んだ。小さなダイヤモンドを散りばめたかのような満天の星空には、緑や赤からなる美しいオーロラがかかっていた。

ゼッテェ「オーロラ!!!!」
エーイチ「おお」
テッペン「!」
エーイチ「ふむ、素晴らしい一枚が撮れた(【写真術】 (1D100<=80) > 64 > 成功)」
ゼッテェ「いい写真だ!!!」
エーイチ「ありがとう! 帰ったらデータ送るよ」
ゼッテェ「データ嬉しい!!!」
K2「……こんな美しい夜空は初めてだよ」

 はしゃぐエーイチとゼッテェの横で、静かにケヴィンが言う。

K2「今、ここに居る私たちは幸運だ。そうは思わないか? 登山家たちにとっての栄誉は数あれど、やはり世界最高峰・人類初登頂、これに勝るものはない。エドモンド・ヒラリー、テンジン・ノルゲイ……あるいはジョージ・マロリーかもしれんが。彼らが初めてエベレストを登ったとき、その栄誉は二度と他のものには手に入らなくなってしまった。その筈だった。
 しかし、今になって、新たにエベレストを超える前人未踏の世界最高峰が発見された。こんなチャンス、後にも先にも、きっとこの一回きりだ。登山家にとって、こんな幸運なことがあろうか」
テッペン「山頂が楽しみですね……」
K2「ああ、楽しみだ」
ゼッテェ「この機会をとても幸運に思うよ!!!」
エーイチ「……」K2さんとテッペンくんの写真撮ってる

 だが、ここでコージーが軽い口調で漏らした。

コージー「いやあ、それもこれも、第一次アタック隊が失敗してくれたおかげっすね」

 空気が凍りつく。リーダーであるケヴィンが諫める前に、ゼッテェが飛び出していた。

ゼッテェ「君は……なんてことを言うんだ!!!!!!」
エーイチ「おさえておさえて、ゼッテェさん!! あなたが本気出したらコージー君、背骨からぽっきりいっちゃうから!!」
コージー「は? なに怖い顔してるんだよ?」
ゼッテェ「いくら仲間でも、そんなことを言うのは許せないぞ!!!! DOGEZAしろ!!」
エーイチ「あ、蛮族の文化出ちゃった!!」
コージー「何、DOGEZAって」
エーイチ「DOGEZAはね、HARAKIRIと同じくJAPANの代表的な謝罪方法の一つなんだ。体を反対側に折って、後頭部と踵をぴったりつけて自らの罪を叫ぶ。自らの背骨でもって償うってやつだね」
ゼッテェ「JAPANの知識を教えてくれてありがとう!!!」

クレイジー・トラディショナル・カルチャー”DOGEZA”

ゼッテェ「さあ君、第一次登山隊のみんなに謝るんだ!!!!!」
コージー「なんでそんな怖い方法で謝らなきゃいけねーんだよ。つーか、謝るようなことなんかしてねーし」
テッペン「コージーさんの言ったことは事実ではあるけど、第一次登山隊を侮辱するような言い方はよくない」
コージー「え、別に侮辱とかしてなくね? だって事実じゃないか。彼らが失敗したおかげで、俺達にチャンスが巡ってきた。違うか?」
K2「まぁまぁ。その話は、これ以上よそう」

 荒ぶるゼッテェ、悪びれないコージー、日本文化を語るエーイチに何かを諦めたケヴィンが、割り込んだ。
 
K2「もう寝よう。明日からもこの山は続く。みんな、頼むぞ」
ゼッテェ「明日絶対謝るんだぞ!!!!」
エーイチ「そうだ! テッペン君だってめちゃくちゃかっこよく諭してくれただろ! 羨ましい!」
コージー「うるせーなー、俺もう寝るわ」
エーイチ「DOGEZAは怖いぞ!!」
穂高「ほら、みんなも寝るわよ」
テッペン「おやすみなさい……」
ゼッテェ「お休み!!!」
エーイチ「おやすみなさい!!!」

KP「ひと悶着がありながらも、登山隊は眠りにつきました。次に目指すは、標高5,000Mです」


次回に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?