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陽気山脈リプレイ①導入編

皆さんは、クトゥルフの呼び声というTRPG(テーブルトークRPG。物語を動かしてくれるキーパーの指示に従って、プレイヤー達がタスクをこなしていくゲームのこと)をご存じでしょうか。

作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの書いた、不気味なホラー小説がある。人知を超えた宇宙的存在。神話にもなぞらえるようなその強大な生物をひとたび認識してしまえば、脆弱な人の正気は瞬く間に刈り取られ、破滅に陥ってしまう――。
そんな世界観に熱狂した他の作家がこぞって同じモチーフを自分の小説に練り込み、それらはやがて「クトゥルフ神話」と呼ばれるようになりました。で、それを下敷きにしたTRPGが、通称CoC(Call of Cthulhu)と呼ばれる「クトゥルフの呼び声」なのです。(なお、クトゥルフとはラヴクラフトが創作した神話生物の一つです。タコ頭のでっぷりしたモンスター)

CoCのシステムをざっくり説明すると、「ただの人間が恐ろしい神話生物の絡む事件から必死で生き残るため、あの手この手で逃げたり事件を解決する」のが目的となります。なのでゲームではいかに情報を集められるかが鍵となる場合が多く、「目星(現場にある情報に気づく能力)」や「図書館(適切な情報を収集する能力)」、「聞き耳(怪しい音にいち早く気づく能力)」などの技能が必要になってくるわけです。とはいえ、技能が成功するかどうかはダイス次第。運が悪ければ、どんな熟練の探索者でもロスト(ゲーム中に死ぬこと)します。

プレイヤーは自分の分身であるキャラクターを操り、恐怖や神話生物の物理的な暴力をかいくぐり生還を目指す――。この説明だけで、なんとも知的好奇心を刺激するゲームであることがわかりますね!

では早速、私の参加したシナリオとその行方についてご紹介させてください。

ラヴクラフトの代表作の一つ、『狂気の山脈にて』をベースに作られた傑作シナリオ『狂気の峰へ』を――。

※以下、シナリオ『狂気の峰へ』のネタバレが含まれます! 未踏破の方はご注意ください!








1.シナリオ『狂気の峰へ』概要

ニュージーランド航空の南極飛行観光旅客ジェット機が、謎の失踪を遂げた。 南極調査隊の必死の捜索の末、旅客機の無線信号が途絶えた座標の先には、 未知の巨大な山脈が立ちはだかっていた。 前人未踏のその山脈は、最高高度が海抜一万メートルを越える、 エベレストを超える新たなる世界最高峰であることが明らかになった。 誰が呼んだか、“狂気山脈” そのあまりに暴力的な山嶺に、今、無謀にも挑もうとするものがいる。 はたして、神々の頂の上で、登山家たちが出会うものとは――(シナリオ『狂気の峰へ』から引用。なんと無料で公開されています)

ジェット機の失踪! 未知の巨大山脈! エベレストよりおっきい!

この時点でワクワクが止まりませんね。もう今にも狂気山脈に挑みたくてたまりません。私近所の山ですら軽く遭難したのに。

ところがどんなTRPGでもそうなのですが、キーパーがいなければシナリオは回りません。しかし私はのぼりたい。断然のぼりたい。

いたずらにわがままに悩む私でしたが、神がいたので事なきをえました。

まくらさん「このシナリオ回したことがあるから、キーパーやってもいいよ」

ありがとうーーー!!!! 持つべきものは、シナリオ経験豊富な友人ですね! メンバーも集まり、早速キャラクターを作成する流れになりました。

しかし私は失念していたのです。

ここにいる全員、元落語研究会部員であることを――。


2.キャラクター作成~そして狂気は砕け散った~

TRPGのキャラクターを作成するにあたって、重要なことがあります。
それは、ロールプレイしやすいキャラを作ること。感情移入しやすいキャラであれば、そのキャラになりきりスムーズに進めることができるでしょう。(もちろんプレイスタイルによっては、該当しないこともあります)

その上で、今回のメンバーと各キャラをご覧ください。

【メンバー紹介】
まくら……好奇心と実行力の弾丸。今回キーパーを買って出てくれた聖人。元落研。 てら……キャラクターの性格に基づいたプレイングをする。口調は穏やかなのに時折肋骨えぐり折るようなこと言う。元落研。 まきむら……いつも明るい善人。だけど奇人。一番想像つかないロールプレイをする。元落研。 ながの……私。普通。元落研。


【キャラクター紹介】

○てらさん「山登るの楽しみでオラワクワクすっぞ!」
テッペン・マッターホルン》

絵・てら

29歳
性別 男
身長 187
体重 95
出身 スイス
職業 登山家
髪の色 砂
瞳の色 緑
肌の色 雪焼け
性格……山が大好き。ずっと山に居たい。都会は苦手。山岳ガイドや登山のインストラクターなどもしている。まじめで内向的。コミュ力低め。

堅実な登山家です。デザインが神がかってますね。かっこいい。てらさんは絵を描ける方なので、私は大喜びでした。


○ながの「作ってきた!!」
エーイチ・マイ・トッタルデ》

絵・ながの

32歳
性別 男
身長 180
体重 85
出身 イギリス
職業 写真家
髪の色 黒
瞳の色 黒
肌の色 日焼け
性格……イギリス人と日本人のハーフ。でも日本語はさっぱりどすえ。
たまたまつけたテレビに映ってたテッペン君にハートを鷲掴みにされ、その日のうちにプロの写真家になることを決意。脱サラして鍛えまくり、比類なき写真術と肉体を身につけた結果、ついにテッペン君の同行取材を許された。感無量。

対する私は、テッペン君の伝説的登頂をカメラに収める大役を担うキャラです。
テッペン君が無口そうなキャラなので、相対的に明るいキャラを作りました。


○まきむらさん「よろしくお願いしまーーす!!! 山登れるの楽しみや~~!」
ゼッテェ・タス・ケルッテバヨ》

Picrewにて作成

26歳
性別 男
身長 170
体重 67
出身 ラテンの国
職業 登山家
髪の色 黒
瞳の色 緑
肌の色 褐色
性格……ラテン系。陽気でポジティブ。声がでかい。義理人情に厚い熱血漢。困っている人がいたら必ず助ける。一度会ったらみんなブラザー!人類皆兄弟!
親友に誘われて登山を始め、数々の山に共に挑んできたが、狂気山脈第一次登山隊の時だけは故郷の祭りに参加するため一緒に参加できなかった。親友は絶対に生きてるし、一緒じゃないと絶対山を降りないんだぜ!
山を愛し人類を愛する熱い漢。

マジかよ、まきむら。


ながの「陽気山脈だよ、こんなの!!」
まきむら「親友還ってこないエピソードのため超絶暗いキャラにしかけてたんだけど、死亡フラグ立ちまくりだったからラテン系お祭りおじさんにしたよ!! 絶対みんなで生きて帰るよ!」
ながの「急ハンドルにも程がある」
てら「ゼッテェくん、ホラー映画における陽キャ黒人枠だ」

なお、まくらさんはTwitterのフォロワーと一緒に爆笑してました。キーパー!!


こうして、あらすじは変わりました。


旅客機の失踪、第一次登山隊の行方不明――不気味な謎が渦巻く巨大な山脈に挑むべく、屈強な男たちが集まった!
無口な孤高の登山家、その登山家を信奉するカメラマン、絶対仲間助けるマン。南極に現れし前人未踏の山脈を前にして、この時点で二名もの陽キャが確定した。 誰が呼んだか、“陽気山脈”。そのあまりに暴力的な朗らかさに、今、無謀にも挑もうとする山脈がいる。はたして、神々ですら二の足を踏むクソデカボイスの先にあるものとは――。

絵・ながの


てら「山が挑むんかい」


次回、いよいよ山に登ります。

次回はこちら。

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