陽気山脈リプレイ⑤~6,000M編
【ここまでのあらすじ】
SUSURUとDOGEZAは蛮族の文化。
どんどん狂気山脈に登っていきます!
※以下、シナリオ『狂気の峰へ』のネタバレが含まれます! 未踏破の方はご注意ください!
※なお、本キーパリングに関する文章は、KPのまくらさんが通ってきたRPを参考にさせていただいております。
○4日目(食料27/30)
KP「次は5000mを目指し2度目の未踏峰ナビゲートロールです。まずは皆さんで天候決定ロール行きましょうか」
【天候決定ロール】
テッペンCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 5 > 決定的成功/スペシャル
エーイチCCB<=75 【幸運】 (1D100<=75) > 48 > 成功
ゼッテェCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 62 > 成功
本日も快晴なり。紅一点の穂高は、しっかりとした足取りで進んでいた( 【ナビゲート】 (1D100<=80) > 14 > スペシャル成功)。
ゼッテェ「彼女は素敵だな!!」
エーイチ「ああ、可憐な方だ。とても蛮族の国出身とは思えない」
穂高「日本は蛮族ではないと思う……」
エーイチ「え、でもSATSUMAがすごいって」
穂高「いつの話をしてるのかしら……」
そんな穂高の後に続くように、テッペン(【ナビゲート】 (1D100<=80) > 42 > 成功)も、エーイチ(【ナビゲート】 (1D100<=85) > 37 > 成功)も、ゼッテェ(【ナビゲート】 (1D100<=85) > 11 > スペシャル成功)も、慎重にかつ正確に進んでいく。
だが、一行の行く手に暗雲が立ち込め始める。それはちょうど、コージーが先頭に立っていた時だった(【ナビゲート】 (1D100<=45) > 81 > 失敗)。
コージー「しまった、この道でよかったんだろうか」
エーイチ「DOGEZA……」
ゼッテェ「DOGEZA!!!!」
背後二人から嫌なプレッシャーを受けるコージーだったが、はたして予感は現実になった。彼らの鼻をついたのは、奇妙な悪臭。どうやらこのあたりで有毒ガスが発生しているようだ。
コージー 「ガスがでてるぞ! 火山性のガスかもしれない!」
テッペン(ガス?)
テッペンCCB<=30 【地質学】 (1D100<=30) > 18 > 成功
テッペン(おかしい。周囲の地質上、ここは火山じゃないはずだけど……)キョロキョロ
エーイチ「どうしたのテッペン君!!!! お腹痛い!!???」
テッペン「いや大丈夫です」
エーイチ「そっかぁ!」
登山隊は一旦足を止め、話し合うことにした。これ以上進むには、ガスの濃い場所を突っ切らねばならない。しかし、運が悪ければガスを吸引してしまうだろう。かといって迂回すれば、一日余計な行程を踏んでしまうことになるが……。
ゼッテェ「突っ切っていいと思うぞ!!!! 」
テッペン「うん。この先何があるかわからないし、食料は一日でも温存しておきたい」
エーイチ「二人がそう言うなら……」
KP「通過する場合、全員[CON × 5]ロール(※体力ロール)をしてください。失敗すると毒を受け、耐久力と正気度が1D4 減少します」
【[CON × 5]ロールロール】
テッペン【CON × 5】 (1D100<=75) > 51 > 成功
エーイチ 【CON × 5】 (1D100<=80) > 92 > 失敗→耐久力と正気度2減少
ゼッテェ 【CON × 5】 (1D100<=70) > 62 > 成功
K2【CON】 (1D100<=40) > 58 > 失敗→耐久力と正気度4減少
穂高【CON】 (1D100<=75) > 96 > 致命的失敗→耐久力と正気度4減少
コージー 【CON】 (1D100<=55) > 28 > 成功
コージー 「なーんだ、たいしたことねーじゃねぇか!」
どうにかガス地帯を抜けたところで、コージーが高らかに言う。だが、エーイチは青い顔をしていた。体を折り曲げ、咳き込んでいる。
ゼッテェ「大丈夫か!?」
エーイチ「きもちわるい……ガス吸っちゃった……」
穂高「げほげほ」
ゼッテェ「HODAKAも大丈夫か!?」
エーイチ「ほだかさん、もう少しでキャンプ地だから」
穂高「ええ、ありがとう」
K2「あとすこし、がんばろう」
胸を押さえながら、ケヴィンが雪山に目をやる。彼もガスを吸ってしまったようだ。しかしその能力に陰りが見えることはなく(【ナビゲート】 (1D100<=99) > 95 > 成功)、登山隊は無事に5,000M地点に到達した。
早速キャンプの準備である。とはいえガスを吸ってしまったエーイチと穂高とケヴィンは、それぞれ休息と薬で心身を癒やしていた(全員、医療技能などで耐久力回復)。
エーイチ「こんな険しい場所でもキャンプができるのはありがたいなぁ」
KP「……」
KP「あの毒ガス、なんでSAN値も減るんでしょうねぇ」
エーイチ「え?」
ゼッテェ「5000mだ!!!!!みんな頑張ったな!」
テッペン「コーヒーいるひと」
エーイチ「テッペン君のいれたコーヒー!!?????? はい!!!!!!!!」ジャパニーズ小学生挙手
ゼッテェ「飲みたいな!!!」
K2「僕もいただこうかな」
テッペン「最近のはインスタントでもおいしいですよね」
穂高「あら、じゃあお湯だけ沸かすわね」
エーイチ「ほだかさん、お体大丈夫? 代わりましょうか?」
穂高「おかげさまで大丈夫よ。ありがとう」
エーイチ「よかった、変なガスでしたよね」
コージー 「俺は自分で飲む、お湯だけくれ」
テッペン「どうぞ」
コージー「うん」素直に受け取る
それぞれにコーヒー(とお湯)が行き渡る。心まで温まるような湯気の中、うっとりとエーイチが言った。
エーイチ「これが……テッペン君のいれたコーヒー……? 現実かなぁ、ほんとにここ現実?」
K2「まちがいなく現実だよ」
ゼッテェ「エーイチ君よかったな!!!!」
エーイチ「よかった……現実だった……」
穂高「明日からもまだまだ現実よ」
エーイチ「よかった……この世界は温かな光で満ちている……」
テッペン「……」(この人怖い人では? と思い始めている)
ゼッテェ「君はあれだな!! テッペン君が絡むと、ちょっと様子がおかしいな!!!」
エーイチ「うわっ、ゼッテェさんに言われた!! ちょっと本気で態度を改めよう。ジャパニーズ・シンシントーイツ……!」
ゼッテェ「?」
K2「そろそろ休む時間だね」
テッペン「はい、寝ます。おやすみなさい」
エーイチ「おやすみなさい、テッペン君!!!!」
穂高(これはだめそうね……)
○5日目(食料26/30)
ゼッテェ「おはよう!!!」
朝からゼッテェの爆音がテントを揺らす。登山隊の面々も起き出し、朝食をとりはじめた。
ところが……。
エーイチ「あれ。K2さん、どうされました? 酷く顔色が悪いですね」
K2「いや、なんでもない。ちょっと夢見が悪かったんでな」
エーイチ「夢、ですか」
K2「ああ。第一次登山隊が、まるで山に喰われるかのように次々に死んでいく内容だった……」
ゼッテェ「……なんという夢だ」
絶句するゼッテェを前に、ケヴィンはゲホゲホと痰が絡んだような咳をする。しかし顔を上げると、何事もなかったかのように一同を見回した。
K2「さあ、行こうか」
ゼッテェ「リーダー、無理はよくないぞ!!」
テッペン「そうですよ。もう一泊しても……」
K2「山が待ってる」
エーイチ「……」
K2「それに、今日は”ショゴス乗越”へ挑むことになるんだ」
ショゴス乗越とは、狂気山脈前半の難所である。乗越とはいわゆる峠のことであり、ここでは山に複数ある隆起の山頂(ピーク)を指す。こういった山がいくつも重なり、山脈を形成しているのだ。
この乗越を越え他の小ピークを迂回(トラバース)する必要があるが、ここは高標高で遮るものが何もない分、常に爆風が吹き荒れている。
KP「ショゴス乗越を越えるためには、3度目の未踏峰ナビゲートロールになります。しかし、乗越を越えるまで猛烈な風で天気が荒れやすく、常に天候が1段下のものとなります。つまり全員幸運成功しても、降雪です。全員成功かつ1人以上スペシャルがあれば、快晴無風となります」
K2「今まで以上に厳しい行程が予想される。気を引き締めていこう」
そう強く言い切るケヴィンに、他のメンバーがこれ以上かけられる言葉はなかった。彼は誇り高き登山家。山を登る意志にこそが、己そのものなのである。
【天候決定ロール】
エーイチCCB<=75 【幸運】 (1D100<=75) > 28 > 成功
ゼッテェCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 85 > 失敗
テッペンCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 83 > 失敗
が、ケヴィンの決意とは裏腹に外は猛吹雪であった。狂気山脈としても、体調不良者を我が身に登らせたくない。そう言いたいのだろうか。
テッペン「風が」
穂高「……この吹雪では」
エーイチ「なんぼなんでも無理ですよ」
K2「………そうだな」
ゼッテェ「今日は休むのもいい選択ではないかな!!」
そういう事情で、一同はもう一日休むことにした。人間、無理は禁物である。
○6日目(食料25/30)
【天候決定ロール】
エーイチCCB<=75 【幸運】 (1D100<=75) > 13 > スペシャル
テッペンCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 71 > 失敗
ゼッテェCCB<=70 【幸運】 (1D100<=70) > 24 > 成功
翌日、まだテントの外は雪が降っていた。穂高の後ろから様子を確認したケヴィンが、皆を振り返る。
K2「これくらい大丈夫だと思うが、君たちはどう思う?」
テッペン「この程度なら、なんとか」
ゼッテェ「なんということはないな!!!」
エーイチ「そうですね、同意見です」
K2「じゃあ行こうか」
登山隊は、恐るべきショゴス乗越に踏み出した。風はウェア越しに雪を叩きつけ、登山者達の体力を奪う。踏みしめる尾根はその両側がナイフのように鋭く切れ落ちており、ふとした気の緩みで滑落すると容易に想像できた。
過酷な道なき道を進む(穂高【ナビゲート】 (1D100<=70) > 39 > 成功)。だがどれほど注意を払っていたとしても、牙を向くのが雪山である。突然、テッペンの足がズボッと地面を踏み抜いた(テッペン【ナビゲート】 (1D100<=70) > 74 > 失敗)。
エーイチ「テッペン君、クレ……!」
ゼッテェ「クレバス!!!!!!」
いち早く異常に気づいたエーイチ(【目星】 (1D100<=65) > 38 > 成功)と、つられたゼッテェ( 【目星】 (1D100<=75) > 80 > 失敗)が山をも揺らす大声を上げる。テッペンは際どいところで足を引き抜いたが、パラパラと地面の裂け目に吸い込まれていく小石はあっという間に見えなくなった。
巨大なクレヴァスが、雪に隠れてその大きな口を開けていたのである。
テッペン「うわっ、すいません!」
ゼッテェ「危なかったな!!」
エーイチ「よかった……本当に気づけてよかった。テッペン君に何かあったら自分はもうどうしようかと」
ゼッテェ「やはり山は恐ろしいな!!」
K2「先に見つかって何よりだよ。気をつけて進んでいこう」
幸い装備の中にはしごがあったので、迂回することなく進むことができた。これを教訓とするように、一行は用心に用心を重ねながら進んでいく。
ゼッテェ「エーイチ君、さすがだな!!!!」(エーイチ【ナビゲート】 (1D100<=75) > 43 > 成功)
エーイチ「君も、たのもしい!(ゼッテェ【ナビゲート】 (1D100<=85) > 8 > スペシャル) さて、コージー君の様子は……」
エーイチ(『自分は一流のアルピニストだ!』って言ってたけど、見てて結構危なっかしいんだよな(※コージーのナビゲート技能は35です)。大丈夫かな……)
コージー「めっちゃ道わかる!!!」( 【ナビゲート】 (1D100<=35) > 4 > 決定的成功/スペシャル)
エーイチ「!!?????」
ゼッテェ「やるじゃないか!!!!!」
こうして、無事誰も欠けることなくショゴス山脈を乗り切った(K2【ナビゲート】 (1D100<=89) > 20 > 成功)。彼らは6,000M地点に到達したのである!
エーイチ「一時はどうなることかと」
ゼッテェ「みんなのおかげだ!!!!」
徐々に日が暮れてくる。高度を上げれば上げるほど日の入りは早くなり、厳しい寒さが登山者達を襲う。彼らは急いで野営の準備を完了させた。
雪はいつの間にか止み、夕焼けの余韻を残す空に山脈が照らされている。どんな色も吸い込んでしまいそうなほどに黒々とした、圧倒的な山。そう、ここから先は雪がなくなる。登山隊は漆黒の山肌を登っていくのだ。
テッペン「きれいだな・・・」
ゼッテェ「すごいな!!!!!」
テントの中では、穂高が岩陰に残る雪を集め、コーヒーを入れるための湯を用意していた。その少し横では、ゼッテェがコージーの肩をバンバンと叩いている。
ゼッテェ「しかし君のナビゲートは素晴らしかったな!!! 今日のところは見直したよ!!!!」
コージー 「ふん、俺は一流だからな」
エーイチ「……一流はちゃんと謝れる人間のことをいうんだよ」
コージー 「は? なんか謝ることあった?」
二人のやり取りに、一瞬テントの空気が張り詰めた。また昨日のような口論が繰り広げられるかと危惧されたのである。
エーイチは、おもむろに右手を持ち上げると――。
エーイチ「わしゃわしゃ~」
コージー「やめろ~~!!」
コージーの頭を、撫で回した。
ゼッテェ「いいね!!!!! 私もやろう!!!!!!」わしゃわしゃわしゃ
コージー「やめろ~~~~~~!!!!」
テッペン(実家の犬を思い出すな……)
屈強な男に囲まれ、わやくちゃにされるコージー。その姿に、テッペンは故郷の犬を連想した。
ひとしきりコージーをわすわすして満足したエーイチは、真面目な顔をしてケヴィンに体を向ける。
エーイチ「そういえば、K2さんは第一次登山隊の人々をご存じだったんですか?」
K2「ああ。知ってる者たちも何人かいたよ」
ゼッテェ「どのあたりで行方が途絶えたのかも知っているのか?」
K2「いや、僕はそこまでは知らない」
ゼッテェ「そうか……」
エーイチ「ルートは同じなんです。きっと手がかりが見つかりますよ、ゼッテェさん」
ゼッテェ「ああ、絶対助けられるとしんじているよ! ありがとう!」
エーイチ「K2さんも悪い咳もされていましたし、今日はゆっくり休まれてください」
K2「ああ、そうさせてもらおう」
穂高「そうしましょう。そろそろ空気も薄くなり始めるころ。」
ゼッテェ「おやすみ!!!」
テッペン「おやすみなさい」
登山隊は、明日自分たちが登る黒々とした山脈を胸のうちに描きながら眠りについた。その眠りは深く、誰にも脅かされぬ聖域――
――の、はずだった。
彼らは、ある夢を見た。
次回に続く
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