私が一級建築士を取得するまで 2年目-製図編-

前回より間があいてしまいましたが続編です。
1次試験である学科試験に合格し、2次試験の製図試験に着手した4年前の私。
1級建築士の製図試験とは、問題用紙の読み込みから設計図面と要点記述の完成までを6時間30分で終わらせなければならない、スピードとクオリティーの両方が求められる過酷な試験です。
6時間半っていうのがまた絶妙な時間設定で、大半の受験生は時間ギリギリまでかかってしまうものなのです。
仕事と両立しての勉強自体大変という事は事前に聞いていたものの、待ち受けていたのは…

配置計画の考え方すら分からない。

そう、私は構造設計専門であったため建築構造に関する事なら多少の理解はあっても、建築計画全般に関してはほぼ素人同然。
学科で培った知識はあっても、それを実際の計画に反映させるだけの経験はなかったんです。
資格学校も高いお金を貰っているだけあって、確立された設計プロセスと担当講師によるそれなりのフォローはあるのですが…
当方の講師は残念ながら
「書いて書いて書きまくって、とにかく体に覚えさせなさい!」
というタイプの方でした。
何が分かっていないのかも分からない状態だったため、とりあえず最初は資格学校が出す想定問題の解答例をトレースして、次に解答例をあまり見ないようにしてトレースして…といった事を繰り返しました。
するとどうでしょう、一度解いた問題と全く同じであれば書き出せるものの、
少しでも問題が変わると全く太刀打ち出来ませんでした。
次々に出される学校の想定問題は、いくら考えても自分なりのプランをまとめ上げるところまで到達できず、結局解答例をちょっとだけプラン変えて提出する有様。
周りの同級生の出来を見ても、建築計画の考え方が身についていないため
「この人の図面は線がキレイだなー」とか
「この人の図面は細かいとこまで書き込んでいるな」とか、表面的な事にしか目がいってませんでした。
某政治家ではありませんが、人間、想定できないものは想定できないのです。

模試はそこそこだったものの…

毎年、製図試験の約2.5か月前に試験テーマが試験元より公表されるのですが、この年の製図課題は
「子ども・子育て支援センター (保育所、児童館・子育て支援施設)」
でした。(当時の本試験問題はこちら↓)
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-2016-2nd-mondai.pdf
資格学校はこのテーマに沿って想定課題を作成し、試験の1か月前くらいに模試を実施するのが通例です。
私がこの時模試を受けた結果は確か合格ラインに乗ってたような記憶があるのですが、いざ10月になり本試験を受けてみると…
配置計画がうまくまとまらない。
単純明快な動線計画が作れない。廊下の幅が狭い。
要求室の配置にしか目がいかず、地味に大事なトイレや倉庫が配置できない。
といった感じで半ば絶望しつつ、試験中諦めないようにはしていたものの、駐車場や植栽等の外構を書く時間がほとんど確保できず試験終了。
終わった後は放心状態だったのですが、直後に資格学校に戻って自分の作図を復元する必要があったため、少しだけ気持ちを奮い立たせて最後の復元作業に取り掛かりました。

もう資格学校なんて通うもんか

試験終了から1、2週間ほどで学校に呼び出され、講師による復元図の採点結果を聞いてみると…
「貴方はランクⅠだと思われます、良かったですね」
えっ、ストレート合格ですか!?と喜んだのもつかの間、いざ結果が届いてみるとランクⅣでした。
試験元から通知されるランクというのは、Ⅰが一番良くて合格、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの順に悪くなりⅠ以外は全部不合格となります。
講師の目は節穴だったんだなぁと怒り、悲しみ、憤りに満ちた私は、次年度から資格学校に通う事だけは止めようと決意したのでした。

またまた続きます。

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