【池田】『記憶と記録』を繋ぐ滞在〜Artist in School編〜
10月11日から17日まで、平原慎太郎さんたちの4回目の滞在。
今回、平原さんとOrganWorksのメンバーの池上さん•村井さん•小松さんは、池田町にある2つの小学校に訪れて滞在製作を行いました。
"Artist in School"とは、アーティスト(芸術家)が小学校等に一定期間滞在し製作を行い、学校内の余白教室をアトリエとして利用し、休み時間に子ども達、教職員、保護者、地域住民と交流を行うプログラムのことです。近年、子ども達とアーティストの交流をはかるプログラムが増えてきています。
今回、平原さんたちは今までの池田町での体験を自分たちのフィルターを通して子ども達に体験してもらおうと、千田泰広さんの作品《Brocken5》での撮影や広津での体験をプレイルームに美術館という形で起こすことにしました!
初めに訪れたのは、池田町立会染(あいそめ)小学校です。
会染小学校の特徴は、昭和58年から全校児童が肥後守(ひごのかみ)ナイフを使用して鉛筆を削っています。肥後守は地域と協力して保護者が行って得た資源回収の売上で購入し、毎年、1年生が入学するとプレゼント。使い方は6年生が1年生に教えています。学校には鉛筆削り器がありません。ここでも未来の世代に伝統が引き継がれています。(詳しく書かれている書籍はこちら→「学校と刃物 肥後守で鉛筆を削る小学校」)
会染小学校では3日間滞在しました。1日目と2日目は製作と実験でした。
それぞれ分担して製作を始めました。メンバーそれぞれが自分たちが感じたものを子ども達に楽しんでもらおうと形にしていきます。
休み時間や放課後に子供たちが覗きに来てくれました。日常では会えないアーティストの創作の場。創作過程が気になる子ども達は毎日来てくれていました。
子ども達に遊んでもらいながら製作を進めていきました。
2日間を経て、3日目に美術館オープン!
子ども達が待ちに待ったかのようにワクワクしながら美術館に駆け込んで来ました。無数の穴からの差し込んでくる光の空間、光に彩られるファイバー、紐で張り巡らされた空間、竹のコンタクト、大きな獅子舞を、子ども達が五感を使って楽しんでいました。
平原さんは「子ども達がどう身体を動かしてくれるか考えるのも振付だ。」と言っていたのが印象的でした。空間を創るのも振付家として大切な役割だと思いました。
3日間の会染小学校の滞在を経て、2校目は池田町立池田小学校へ。「自ら学び共に考える子」という学校教育目標を掲げています。
池田小学校は1日だけでしたが、子ども達の熱気で盛り上がりました。教育目標にもあるように、自ら空間に飛び込んで考え感じながら遊んでくれました。子ども達だけではなく、先生たちも一緒に楽しんで遊んでくれました。大人が楽しむ姿を見ることで子ども達も刺激を受けていたと思います。
4日間に渡って行った"Artist in School"
平原さんたちのフィルターを通して、子ども達は池田町にある文化を体験しました。平原さんたちが創り出した造形物には一つ一つ想いが込められていました。それが不思議と子ども達の感性に届いていたんじゃないかと思いました。
ある子が「(造形物を)ずっと置いてくれたらいいのに。」と言ってくれたのが、私は嬉しくなりました。この経験は子ども達が大人になっても忘れないと思うし、将来子どもたちがこの経験を生かして何かを創っていくのかもしれません。
次は平原さんたちの滞在の最終の記録、「広津」編です!!