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【飯山】個性的な表現者たち(ワークショップ2日目)

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不思議なモヤモヤを持ち帰った1日目から一夜明け、再びなちゅらに集合しました。今日の目的は、参加者の互いの表現活動について知ること。
様々なジャンルの表現者が集まったこのワークショップ。他の参加者のやり方からも、学びを得ていきます。

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まずは、各自活動紹介のための準備をしつつ、他の参加者の準備の様子も覗いてみる、という時間をとってみました。
自分の全く知らない道具が次々と出てくる様子を、皆さん興味深そうに見ていらっしゃいました。
準備ができたら、一人一人活動を紹介していきます。
これを読んでいる皆さんにも、個性的な参加者の面々をご紹介しますね。

浦野文子さん

浦野さん1

綺麗な立ち姿が印象的な浦野さん。今回はなんと、茶道での参加です。
飯山在住で、なちゅらもよく利用されるという浦野さん。禅から表現を考えるという今回の企画趣旨を面白いと思い、参加してくださったそうです。
茶道のお手前は表現であるとする考え方が非常に興味深いですし、それを受け止められるこの企画の懐の深さ…すごいな…と感じました。

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↑実際にお手前を見せていただきました。夏らしい茶碗と、可愛らしい干菓子。そのチョイスにも浦野さんの私たちに対する心遣いが表れています。

水口美香さん

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高校卒業後、中国の美術学校で水墨画を学んだという水口さん。
どうやって水墨画の世界に足を踏み入れていったのか、お話ししてくださいました。中国では水墨画は現代アートのひとつとしても捉えられていて、形や道具も自由、色も使っていいものなのだそう。水墨画のイメージがガラッと変わるお話でした。
「今までは人に依頼されて絵を描くことが多かったので、この機会に自分の表現を探したい」とおっしゃられていたのが印象的でした。何でも、素材自体から見直したい、とか…?え、紙とかに描くんじゃないの…?発表会が楽しみです。

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↑水口さんの今までの作品たち。年賀状は毎年ご自身で絵を描かれるそう。
あと、長崎県にある長壽寺というお寺の天井画も描かれています。https://chouju1394.jp/ceiling-painting/

五十嵐優さん

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主に松本市で、俳優として活動されている五十嵐さん。
まずは、何かパフォーマンスをしろと言われたら俳優はどのような準備するのか、というところを見せていただきました。
空間の中にいる自分の身体ことや、空間の中にある全てのもの、そして自分の中にある色んな感情(不安、緊張でさえも)を「無きものにしない」と、ひとつひとつ丁寧に確認し、受け入れていきます。
空間全体がだんだんと五十嵐さんの手の中に入っていくような、そんな感覚になりました。
そしてその後、谷川俊太郎の「春に」という詩を朗読するというパフォーマンスをしてくださいました。

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↑素直な表情の変化が魅力的でした。

渡辺幸絵さん

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フルート歴30年という渡辺さん。現在もフルート奏者として活躍していらっしゃいます。通常は客層に合わせて演奏する曲を決めているそうですが、「本当は私はどんな曲が吹きたいのだろう」という問いが常に自分の中にあったそう。そんな中コロナ禍となり、どんどん自分の感性が曇っていく感覚があり、先に進むきっかけになったらと、この企画に参加してくださいました。
この場では自己紹介代わりにと、クラシック曲の一部と渡辺さんが作ったというオリジナル曲「くも、もくもく」の2曲を演奏してくださいました。
曲の背景を丁寧に解説してくださったおかげで、曲の中にある物語や情景が感じられ、またそれらを優しく掬い取り表現しようとしている渡辺さんの姿勢が感じられる素敵な演奏でした。

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↑さすが表現者同士、各発表ごとに対話が生まれていきます。

蔭山あんなさん

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蔭山さんは、多摩美術大学で演劇を学んでいる現役の学生さん。当然「演劇」というジャンルからの参加、かと思いきや、「自分にはジャンルがない」と冒頭で言い切る蔭山さん。あらゆるジャンルの間に存在して、「分類の暴力」に対して戦いを挑む作品づくりを続けてきた、と語ります。

蔭山さん2

スライドを使って今まで作った作品を見せてくださいました。
どの作品も、彼女独自の着眼点が光ります。
念仏踊りや祭りなど古くから伝わる儀式や行事に興味があって、それを元にした作品づくりに何度か取り組んでいる中、今回の企画にも興味を持ってくれました。
参加者の中では最年少の彼女。古くから伝わる「仏教」「禅宗」「修行」などの枠組みが、彼女の目にはどう映ったのでしょうか。

高嶋真由美さん

高嶋さん1

ピアノの先生として仕事をしながら、書道もピアノと同じくらいの年数続けてきたという高嶋さん。
ピアノ(クラシック音楽)も書道も、元になる作品(楽譜やお手本)があって、いかにそれを再現できるかという世界。そのためには辛い練習期間を乗り越えなければならないし、発表には常に緊張感がつきまとう。一方で、ピアノ教室の生徒さんと即興でセッションして素晴らしいものができることもある。「表現って一体何だろう」と考えている時にこのワークショップのことを知って、気がついたら応募していたそうです。

高嶋さん2

普段書いている様子を見せてくださいました。立って書くのが高嶋さんスタイル。集中が切れないそう。

田中ヒロオさん

(ご本人の希望により写真はカットさせていただきました)

今回小説というジャンルで参加の田中さん。
以前書いた作品を持ってきてくださいました。
独特なリズム感のある一編の詩に、イラスト。イラストはフリー素材を使っているとのことですが、
イラストのチョイスや配置にもこだわりが詰まっていそうで、田中さんの作品はこのイラスト込みで完成するのだろうなあと感じました。
小説を書くというのは、一人きりの作業。こうしてジャンルは違えど色んな方と交流できることが嬉しいと語っていたのが印象的でした。
禅だけでなく、周りの表現者からも影響を受けて、新たな道が拓けることを期待しています!

新井芙季さん

新井さん1

漫画を描いているという新井さん。新井さんも、以前に描いた作品を持ってきてくださいました。環境問題について発信しているうちに、その手段として漫画を書き始めたそう。

新井さん2

タブレットを使っていつも描いているそうで、写真はどうやって描いているかを実際に見せてくれているところです。
最後に影を入れていくのが一番好きな作業で、それ以外はつまんないという大胆発言も飛び出しました(笑)
今回も漫画を描きます、とのこと。過程を教えてもらったからこそ、どんな作品が出来るのかとても楽しみになりました。

田中恭子さん

田中さん1

カリグラフィーという耳慣れないジャンルでご参加くださった田中さん。
カリグラフィーとは、西洋における文字を美しく見せる手法のこと。ゴシック体、イタリック体など、普段画面上でよく見るような文字を手で描いていく技術だそうです。

ハーフアンシャル体


東洋の書道と違うのは、"デザイン"という概念があること。田中さんが見せてくださったのは文字が円を描きながら並んでいる作品。手元で紙を少しずつ回転させながら描いたそう。
紙にペンで描く、ということにこだわらず、立体物を作るつもりだと語ってくれた田中さん。文字の形はかっちりと決められているものではありますが、そこからどこまで自由に羽ばたくことができるのか。常識にとらわれてはいけない禅問答の世界とどこか通じるような気がしました。

これら9名の参加者の皆さんと柴さんで、昨日禅師からいただいた問いに取り組みます。
一体どんな発表となるのか。10月の記事をどうぞお楽しみに。
(文責:加藤)


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