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【阿南】新野物語三都市ツアー〜本番編〜

■1日目 阿南公演

7月30日。
5日間の稽古を経て、本番の日がやってきました。
阿南公演の会場となるのが瑞光院です。

↑瑞光院本堂。こちらで上演しました。

町の小高くなった位置にあり、本堂の前からは綺麗に新野の平野が見えます。
劇中にあるお松の台詞「ここはほれ、平ら(ていら)が多いで田も畑(はた)もたんとある。」、そのままの景色です。

この日も暑くなりそうな天気予報だったのですが、
会場入りして本堂の扉を開け放つと風が気持ち良い…!
自然の恵みをいただきながら公演準備を進めます。

瑞光院は平成6年にあった火災によって大部分が焼失しその後再建されたため、建物自体が新しく、また、法事の際などに皆で食事できるような広間があり、簡単な厨房もあります。
老若男女が来るためか、数種類の高さの椅子もストックされており、正直そのへんの小さな劇場よりも使い易いのでは…!などと思ったり(笑)
「非常時には避難所としても良いんですよ」と信夫さん。
また、NOA阿南のホストである「新野だら実行委員会」はここを「新野だら」というイベントで何度かパフォーマンスの上演を行っていて、当公演もご住職に快く受け入れていただきました。
町のお寺が、仏様やご先祖様が祀られている場所というだけでなく、人々の憩いの場所であり、祭りの会場であり、避難所であり、文化施設でもあることの豊かさを感じました。

↑本堂からの景色

リハーサルの声が気持ち良く新野の空に響きます。

順調に準備は進み、無事に定刻開演。
ホストの金田さんご一家のお知り合いや、盆踊り保存会の会長さん、阿南町議会議員の方などにもお越しいただき、また、回覧板で見たと言って新野外からわざわざ来てくださった方もいらっしゃいました。

まずは、山田百次さんによる津軽弁講座です。
津軽弁とは、寒いからとにかく口を動かしたくない人々の言葉であるという前提から始まり、(なのでめちゃくちゃ省略されている)
劇中に登場する津軽弁の解説、
さらに上級編として、同じ音で色んな単語が表現されるというお話し。
「土」「筒」「地図」「チーズ」……私には全く聞き分けることができませんでした…。
津軽のお母さんたちと会話ができる日は遠そうです。
客席からも笑い声が漏れる、楽しい時間となりました。

山田さんが舞台上から去り、本編が始まります。

皆様集中してご覧になっていました。
また、物語の良いところで風が吹き、天井から吊るされた装飾たちがカタカタと優しい音を立てて、良い効果音となっていました。
自然にも味方された上演でした。

アフタートークでは、
山田さんとホストの金田さんから、作品ができた経緯を伝えると共に、新野の魅力や盆踊りの面白さについて改めてお話しいただきました。
金田さんは「500年続いてきた伝統(盆踊り)を、次の500年にどう繋げていくか。今それが問われていて、『新野物語』はそのための大きな力になると思う」と熱く語ってくださいました。

お客さんからは
「これからも盆踊りの正しい形を伝えていってほしい」
「子供たちに見せたい」
という声をいただき、

また、アンケートでも、
・新野の盆踊りの意味を知ることができた
・盆踊りに行ってみたくなった
という声や、
・津軽弁にふれられて楽しかった
・お寺というロケーションでこの作品を見られてよかった
などという声が聞かれました。

綺麗に掃除をして、一日目は終了です!

■2日目 売木公演

この日も良い天気!
「うるぎHalo!」さんに入りまずは、
お客様を迎える準備をしていきます。

土間をぐるりと取り囲む形の客席となりました。
リハーサルをしながら見えにくい席がないように調整していきます。
そして、あっという間に開場時間に。

昼と夜の2公演、80名弱のお客様にご来場いただきました。

アフタートークは、山田さんと小原さんとお二人で。
小原さんの目線から『新野物語』制作の過程をお聞きしました。
初対面でいきなり本読みをしたこと、売木村に移住してきてしばらく演劇はできないな…と思っていたところに今回の話があって本当に嬉しかったことなど。
また、今回の上演と偶然ほとんど同じタイミングで「うるぎHalo!」をオープンさせた、小原さんと同じ売木村の地域おこし協力隊の赤土(しゃくど)かよさんにもご登場いただきました。

「地域の新しいコミュニティスペースをつくりたい」という思いがあった赤土さん。「こんなに人が集まって、岡田屋の中にいるということが感激です」と喜びの声を聞かせてくださいました。

また、売木の盆踊りについて音頭取りの伊東さんから「新野の盆踊りと踊りはほとんど同じ」だけど「振りが片手のみ、テンポが新野よりゆっくり」「踊りの種類が少ない」「全体的に新野の方が華やか」などの違いがあると教えていただいたり、
村長の清水さんからは、小原さんと赤土さん、二人の協力隊が繋がって一つのイベントを実現させたことの喜びなどをお話しいただき、充実した時間となりました。

 ご来場ありがとうございました!

阿南公演、売木公演に共通して聞かれたのが、
生で演劇が見られたこと、地元で見られたことがよかったという声でした。
中々地方では演劇公演が行われづらい中、生の演劇に触れる機会がつくれたこと、
そのことに新鮮に喜んでくださる地元の皆さんのお顔が見られたことに充実感を覚える2日間となりました。

生の演劇の良さ、新野の盆踊りの素晴らしさがもっともっと広がっていくことを願って…
再演のご要望、お待ちしております!(笑)
(※飯田公演はコロナ感染レベル上昇によるいいだ人形劇フェスタの中止に伴い、中止となりました。)
(文・加藤亜弓)(写真全て・写真家 金田誠)


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