【BOCプロバイダーnote】いまさら聞けない!あいうべ体操ってなんですか!?
横浜市西区医師会訪問看護ステーションで看護師として働かせていただいております、松田望と申します。
今回のプロバイダーnoteでは、あいうべ体操で有名な今井先生の講演を試聴しての学びをお話ししたいと思います。
あいうべ体操をご存知ですか?
あいうべ体操とは、「鼻呼吸を日本の文化に!」をスローガンに、今井一彰先生が取り組んで来られた体操です。
まずは、あいうべ体操を知らない方のために、あいうべ体操の解説をしたいと思います。
口呼吸を鼻呼吸に戻す体操!
最近「口呼吸」という言葉を耳にする機会が増えました。
マスクをつける生活習慣に伴い、口呼吸の人が増えている印象があります。
私も、マスクをしている時に苦しくて、口が開いてしまっている事に気付きます。
本来人間は「鼻呼吸」をする動物ですが、様々な原因で口呼吸している人が増えています。この口呼吸を鼻呼吸に戻す体操が「あいうべ体操」です。
あいうべ体操は、呼吸を「正常な鼻呼吸」にするためのくちびる体操です。下記のイラストのように、「あー」「いー」「うー」「ベー」と大きく口(顔)や舌を動かしながら行います。起床時や食事の前後に行うと効果的で、特にむせやすい方は食前に行うとむせにくくなります。
攻めと守りの口腔ケア
皆さんも口腔ケアの勉強をされていると思いますが、例え話で、口腔ケアには「攻め」と「守り」の2種類で表現されることがあります。
例えば、誤嚥性肺炎の予防をするのが「守りの口腔ケア」、
口腔ケアで消化管を活性化し栄養の吸収をよくするのが「攻めの口腔ケア」です。
実は「攻めの口腔ケア」は楽な呼吸ともつながっています。
例えば、高齢者は口唇や舌の筋肉が落ちて口が開きやすくなる傾向にあります。
口が開いている時には、舌が喉の奥に落ちてしまっていることが多いのですが、舌根沈下といって酸素が十分に身体に行き渡らないことがあります。舌根沈下をすると「いびき」をかきますよね。睡眠時無呼吸症候群をイメージしていただくとわかりやすいと思います。
さあ、ご自身の舌の位置を確認して下さい!
舌先はどこにありますか?
舌先の位置は上顎(切歯乳頭)。さらに「舌全体が上顎(口蓋)にぴったり」が正解です!
あいうべ体操をやってみよう!
では皆さん、ゆっくりとあいうべ体操をやってみましょう!まずは10回!
今回は「あまびえバージョン」です!
では次に、舌を上顎にピッタリ付けて口で呼吸をしてみてください。
できますか?
さらに次は、舌を下げて(舌の先を下の歯のうらに付ける)で口で呼吸をしてみてください。
いかがでしょうか?
舌が上顎にぴったりついていると口で呼吸できませんよね。
鼻で呼吸をするかしないかは舌の位置が大切です。
舌の筋肉を鍛えることで、喉への落ち込みがなくなり、楽な呼吸につながります。
これは攻めの口腔ケアと表現できると思います。
息止めテスト実践!
講演のなかで、息止めテストの実践が行われました。
【息止めテストのやり方】
➀楽な呼吸を繰り返し、鼻から吸って鼻からはくを繰り返します。
➁5秒間で息を吐き切ります。
➂その後息を止めます。
何秒息を止めることができるかやってみてください!(苦しくなったら息をしてください!)
呼吸は酸素ではなく二酸化炭素が重要な役割をしています。
低二酸素血症になると血中の酸素の機能が低くなります。
体が活用できる酸素量は二酸化炭素が決めている!?
人間の赤血球は、通常95〜99%の酸素を含んでいます(酸素飽和度)。そして、その「赤血球に含まれている酸素をどれぐらい使えるか」は、実は体内の二酸化炭素の量で決まります。
私達人間は、二酸化炭素がある程度なくてはダメなんです。
この二酸化炭素の働きを「ボーア効果」と言います。
注:ボーア効果とは
血液内の二酸化炭素量の変化による赤血球内のpHの変化によりヘモグロビンの酸素解離曲線が移動すること。(wikipedia『三輪血液病学』より引用)
息止めテストでは、二酸化炭素をためる能力があるかどうかを知ることができます。
まずは全集中の鼻呼吸で、あいうべ体操を実践されてはいかがでしょうか。
本記事作成に際し、今井一彰先生からスライド掲載の許可をいただいております。
参考図書
今井一彰先生
鼻呼吸 歯医者さんの知りたいところがまるわかり。(クインテッセンス出版会社)
ベロトレ(かんき出版)
岡崎好秀先生
口の中はふしぎがいっぱい(株式会社松風)
ふしぎ・ふしぎ噛むことと健康 第6巻(松風歯科クラブ機関誌)
から抜粋しております。
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