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【 レシピ 】 古代ローマ時代にプリンがあったって知っていましたか?

 ここ数カ月古代ローマの食を調べています。探っているとびっくりするようなものが出てくるのです。その一つが「プリン」!

出典は古代ローマ時代のアピキウスの料理書「De re coquinaria」
この本は10章に分かれていて、以下のように章ごとにテーマが決まっています。

第一章 勤勉なる料理人
第二章 挽肉
第三章 野菜類
第四章 種々の料理
第五章 豆類
第六章 鳥類
第七章 王の食材
第八章 四つ足動物
第九章 貝・甲殻類
第十章 魚介類

プリン載っているのは第七章。当時の名前は「Tiropatina (ティロパティナ)」。ミルク、卵、蜂蜜をよく混ぜて、弱火で煮固めるというものです。最後に古代ローマ時代の貴重品であったコショウをふりかけます。写真はイタリアの考古学者リコッティ博士が日本でセミナーリオをやった時のもの。もちろんおいしかったそうですよ。

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さて、このプリン、イタリアでは「クレームカラメル」という名前で知られていますが、実は名著「イタリア郷土料理集」にも、載っているのです。

名前は「Budino alle uova (ブディーノ アッレ ウオーヴァ)」はフリウリ-ヴェネツィア・ジューリア州の郷土料理となっています。実はこの州は古代ローマ時代、東方への遠征の拠点であり、その名前もフリウリは「ジュリアス・シーザーの広場」、ヴェネツィア・ジューリアは「ジュリアス・シーザーのヴェネツィア」が語源で、ここからもいかに古代ローマと縁が深いかがうかがい知れます。一つのドルチェに隠された、壮大な物語です。

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