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食から読むギリシャ神話 〜豚と女神マイア 後編〜

前回は豚の女神マイアと古代ローマ人の食事情を探ってみましたが、今回はイタリアの豚料理をみてみましょう。
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さて、その豚さん。イタリア料理では最重要な肉なのに、日本では安価なというイメージがあって、長い間リストランテではなかなかメニューに入れることが出来なかった。でもね、イタリアでは古代ローマ時代から食肉と言えば豚肉。豚肉を知らずしてイタリア料理を語るなかれ。

豚は年齢によって区分がある。
MAIALINO DA LATTE (乳のみ仔豚) 生後6~8週間
MAIALINO(子豚)6~10か月ごろまで
MAIALE (豚) それ以降

乳飲み仔豚の肉はピンク色をしていて、ジューシーで、しかも皮まで食べられるごちそうだ。郷土料理ではほとんどが大人になった豚を使うが、乳飲み仔豚を食べたければサルデーニャ島に行くべきだろう。

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ポルチェッドゥ 上はミルトの枝

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サルデーニャ島の最高のごちそう「ポルチェッドゥ」は、仔豚の丸焼き。本来ならば穴を掘って、その中に薫り高いミルトの枝を敷き詰め、そこで丸焼きにしたという。さすがに今はオーブンで焼いているが、場所によっては開いて焚火で焼くところもある。

大人になった豚も、丸焼きの料理がある。こちらの名前は「ポルケッタ」。中部イタリアの収穫祭の最高のごちそうだ。豚の骨と脚を除いて開き、中にレバーなどと香草類を詰めて閉じて丸焼きしたもの。頭がついているのがグロテスクかもしれないが、最近よくあるように胴体だけではチト物足りない。収穫祭にこれが一体あるだけで、祭りはこの上なく盛り上がる。

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