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【 レシピ 】万能ソースのルーツは中世にあった~サルサ・ヴェルデ

 イタリアの食の食の歴史は、2750年前の古代ギリシャ人の移住から始まり、それを受け継いで発展させた古代ローマ人。やがて古代ローマが崩壊するととても食に力をかけられない中世が続き、ようやくルネサンスの頃になってまた食に光が当てられるようになります。

その頃の料理書から現代に続く料理が現れてきます。今回のリチェッタ「サルサ・ヴェルデ」もそのひとつ。フィレンツェに行った料理人が必ず食べるというランプレドットのパニーノに使われている緑色のどろりとしたソースがそれです。

手持ちのリチェッタの中で一番古いサルサ・ヴェルデは1400年代半ばのマエストロ・マルティーノ・ダ・コモのもの。それ以前の本はラテン語で書かれていたので、おそらく「サルサ・ヴェルデ」という名前が使われた最初ではないかと思います。

そのリチェッタを訳してみると「サルサ ヴェルデ-パセリ、タイムをと少しのビエトラ、他の香草類、コショウ、しょうが、塩を用意する。すべてをよくすりつぶし、ワインビネガーで薄める。好みでニンニクを入れてもよい」とあります。重要ポイントは香りを出す香草類(この場合はタイム)と緑の色を出す野菜(この場合はビエトラ)、そして酸味を加えるワインビネガーで伸ばします。おそらくこのサルサは、クチーナ・リッカ(貴族料理)の料理人が生んだもので、時代が下ってくるにしたがって郷土料理の中に浸透していったものと思われます。

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西欧の神話にはオリーヴ、月桂樹、アーモンド、小麦などがシンボルとして描かれていて、どんなストーリーがあるのか。 リゾットの歴史と地方性やニョッキはどこから来たのか。 そして過去に書いたエッセイなどを掲載します。

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