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はなれ瞽女おりん~全く知らなかった昭和史

ともかく出演者それぞれの存在感の凄さよ!

ある方のTwitterで『純愛物の決定版』という紹介を見てU-NEXTにあったので早速観てみました。
素晴らしいというか、価値ある映画ですね。

まず最初「瞽女」が読めなかったっす(T_T)
めくら芸能者の話(「めくら」が放送禁止用語であることは重々承知しておりますが、この映画に関して言えばそのワードを控えること自体が失礼なことのように感じるほど、頻発して出てきます)なんですけど、瞽女が一箇所に集まって暮らしてること、そして彼女たちの生活の実態、工夫、待遇…篠田正浩監督の現実を見る目、彼女たちへの優しさ、敬意があふれる映画でした。誰もが息を呑む「針に糸を通す工夫」を知るだけでも、この映画を見る価値があります。

彼女たちが列をなして雪道を歩く姿も素晴らしい上に、幼少期のおりんの脛の白さがまた白い雪がたじろくほど白く美しい。「北陸の美しい四季…」とWikipediaには書かれていますが、コントラストの激しい現代映像を見慣れた僕には心の翻訳が必要でした。が、それでもおりんの白い脛が美しいのですから、さすが宮川一夫撮影監督といったところではないでしょうか?
(第1回日本アカデミー賞で最優秀技術賞を獲得したとのこと)

演出的にはもう一つ、ある場面でお堂の中に吹雪が吹き込み激しく揺れる和蝋燭の炎がフリーズする場面があるんですが、これがまたものすごく効果的。<時間がとまる>といってしまえば簡単ですが、あの驚き!
僕は配信で見たので「あれ?ネット環境止まったか?」とWi-Fi状況を疑ったので驚きが半減してしまったのが残念。

ま、あとは当たり前なんですけど出演者の存在感が凄すぎます。
上げればキリがないですが、後半の後半ショートリリーフくらいの役割で出てくる若き樹木希林!
なんじゃありゃ!
登場もハケ際も素晴らしすぎる!

そしてもちろん篠田正浩監督の愛を一身に受け、その身を持って答える岩下志麻の凄さは筆舌尽くしがたい!
川で沐浴する姿はまさに阿弥陀様のお姿!

ラストシーンは、その日の夜寝るまで心に突き刺さる衝撃。
「彼女が生きた意味はあったのか?」
恐ろしい現実を突きつけられました。篠田監督の差別への怒りが十二分にでたラストシーンだと思います

追記
映画初出演の小林薫演じる憲兵軍曹が、おりんと一緒に旅する謎の男(原田芳雄)の戦争批判を口述筆記させるのを止めさせ、筆記者自身も自ら忖度して筆を上げる件、今この時代に大事なことを伝えてくれていると感じました。