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『私、政治家になりますっ!』第3話「局アナ大福紗季登場」

面接ね。面接ですよ。

今日は晴天!青い空白い雲。私の前途を祝してくれるような天気。初めての党本部訪問っす!コロナ禍の育児の毎日で、ずっとノーメイク&スウェット生活だった私。メイクどころかコンタクトレンズ入れるのも本当に久しぶりだわ。ちょっと硬くなった感のあるファンデーション、鮮やかな色のチーク。やっぱりメイクって楽しいなあ。コロナのおかげで私の生活必要経費は確実に安くなったけどね。

『都民が一番』のオフィスは西新宿。一人で電車に乗るのなんて久しぶり。王子は旦那ちゃんに預けて面接にでかけます。昨夜、二人で作ったレジュメを見ながら大都会新宿を目指します。
電車…人多いな。なんか怖いぞ…人多くて。ここでコロナ感染して立候補できないって勘弁してほしいぞ。

都内はまさにキンキュージタイセンゲン。
満員電車が感染源。(ラップ調でお読みください)

都議になったらこういう事改革してゆくんだろうな。「満員電車をなくします!」言ってたなあ、『都民が一番』党首鯨腹さん。いつになったらなくなるのよ、満員電車。なーんて文句しか言ってない一都民だった私が都議になったら、そういうことを変えてゆくわけよ。鯨腹さん、私があなたをお手伝いします!
私の隣で汗だくになってスマホでモンストしてる君。隣のおばさん(私のことね)の肩に何度も当たって不機嫌な顔してるけど、私が都議になった暁には、コロナ感染の心配もなく、満員電車を撲滅します!投票しろよ、私に。しかし満員電車をなくすってどうしたらなくなるんだ?本数増やすのか?二階建て電車とかにしてさ。無理か?やっぱ時差通勤の拡大よね。…なーんて事考えてたら着きました。

とーほんぶう!党本部です。
そんなとこ取材でも行ったことない私の足はガクブルガクブル。まさに生まれたての子鹿だわ。この自慢のオミアシがガクブルしております。ここが『都民が一番」の党本部じゃ。と、いっても民自党みたいな自社ビル、もとい自党ビル(?)があるわけじゃなくて、あるビルのフロア2つが党本部っす。エレベータ降りると、早速、緑をイメージカラーにしている党だけあって、壁も緑なら、フロアも緑。観葉植物も緑で、看板も緑…ん?やり過ぎでないかい?ロハス感たっぷりのフロアで私が目指すのは選挙対策委員会っす。そこで面接なんっすよ。青魚先輩も「面接で何を訴えたら良いか相談に…」って言ってたけど、それが面接なんか、相談なんか、はっきりしてほしいわ、ッテ感じ。選対(選挙対策本部のことです)の誰を尋ねれば良いかも、ちっとも教えてくれなかったし。さまよえる私はガクブル脚で、昨夜、旦那ちゃんと作ったレジュメを手にフロアの案内図をみましたとさ。

案内板によりますと、右手奥の部屋が選挙対策本部らしいっす。いつもは違うことに使われてる部屋のなのか、「選挙対策本部」ってテプラが貼られてます。セコくないか?いや党の経費は都民のみなさんから頂いた、いや間違ったm(_ _)m。預かっている血税!一円たりとも無駄に使えないんだわ。うーん美しい。という訳で、元作文の女王だった私が都民の幸せのためにメンセツにやってまいりました。頭の中では林檎様の『歌舞伎町の女王』が流れておりますが、この選曲はあってますか?

はい、ここが選挙対策本部ですね。ドアに手作りの案内が貼ってあります。『選挙対策本部』、生徒会選挙じゃないよ、都議選よ!都議選。アイドル時代からオーディションは嫌ってほど受けてるんだから、もうどれだけのおじさんプロデューサーを杏ちゃんスマイルで転がしてきたことか、女性プロデューサーは苦手だったので、面接官がおじさんであることを神に祈りながら扉の前で一祈り。
「失礼します」深々と頭を下げて挨拶!第一印象が命、人の印象は5秒で決まる。頭は目線ごとしっかり下げて3秒数えます。で、さくっと頭を上げて、キリッとスマイル。こびすぎず、爽やかに。で、部屋の中を見ると、なーんにもない部屋に長机が数本。そこに事務っぽいおばさんが二人座っておられました。やばい、おばさんか…、しかし、すかさず
「本日、14時に面接と言われてやって参りました。長餅直紀です」
わ、14時って業界人すぎる!2時で良いだろ、2時で!いかん、アガっているのか?私?オーディションはアガっちゃいかん、適度に緊張した感じで、初々しく、いや目の前のおばさん、もとい女性に好かれるためには可愛すぎてもダメだ。爽やかに行かねばなーんて事を考えていると
「待ってたわよ、長餅さん。こっちこっち」と、パーティションの方へ声をかけられた。私の顔知ってるのか?そりゃそうか、身上書提出してるもんね。なるほど、こういうビルってどこまでが部屋でどこが壁かわからないのよねえ。自由レイアウトってやつっすか?
「こっちで面接しますから、こちらで座ってお待ち下さい」と、人当たりのよい優しそうな方が指し示す部屋に入ると、私が座るであろう横に!

なんじゃ!この美人は!
わっ東京テレビの女子アナ大福紗季じゃん!
この前の行を120ポイントのでかいフォントにしたいくらい驚いた。

「こちらも新人候補の大福さん。ご存じよね」
そりゃあんた知ってますよ。大福紗季といえばキー局の人気女子アナ。デビューしたときから大人気で、うちの旦那ちゃんが毎朝天気予報を鼻の下3倍の長さにして見てましたよ。それから10年くら経つのかな?押しも押されぬMCに成長。夜のニュース番組のメインを張るようなお方。えっ政治家に転向するの?まじで?やばいじゃん。アイドル崩れの私と天と地、ルブタンとUNIQLOくらい違うじゃん!ん?うまく言えてないか?久しぶりに芸能界ヒエラルヒーの壁を感じ、コンプレックスという親友に肩を抱かれた私でした。
どっよーん。