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ベンチャー企業で生まれた最強のマネジメント・メソッドをあなたに〜書籍出版によせて

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はじめに

11月13日に自身初となる書籍「急成長を導くマネージャーの型〜地位・権力が通用しない時代の”イーブン”なマネジメント」を技術評論社さんより出版します。

書籍出版に寄せて、この書籍で伝えたいことを書きたいと思います。

ベンチャーのマネジメントは精神が揺さぶられる仕事

ベンチャー企業、大手企業における新規事業、その他新しいチャレンジを行う全てのプロジェクトを本書籍では「ベンチャー」呼びます。
創業者が生んだ新しい取組み「ベンチャー」を組織化し、仕組みを作り、急成長へと導くのはマネージャーの仕事です。

ベンチャーはリソースもなく、事業も弱く、正解もなく、そこでは物理的にも精神的にも非常にタフな仕事が求められます。
そのような環境でマネジメントを担うと、精神を揺さぶられるような苦労が絶えません。私自身も何度も挫けそうになりました。

例)
・成果が出ずチームの雰囲気が最悪になる
・評価に納得できないとメンバーから猛烈な反発を受ける
・メンバーの仕事に関わろうとするとすごく嫌な顔をされる

などなど、人のマイナスの感情に触れなければならないようなことが起こることは日常茶飯事です。
不安定な環境で、ブランドも信用も強くない組織では、メンバーはその組織にしがみつく理由もないわけで、遠慮なくその感情を剥き出しにします。
弱い組織のマネージャーが地位や権力を振りかざしたところで何の意味もありません。
剥き出しのメンバー感情に飲み込まれ、マネージャー自身が参ってしまうケースも多いです。
ベンチャーにおけるマネジメントは、まさに自分の精神が揺さぶられるタフな仕事と言えるでしょう。

マネジメントは感情ではなく、まず型で考える

ある事象に対して、いきなり感情移入して感覚的に対処するからうまく行かないのです。そして、解決できないままメンバーのマイナスの感情に触れ続け、自分の精神が疲弊するのです。

例えば前項で記載のある

【Q】成果が出ずにチームの雰囲気が最悪になる

これに対してみなさんどのように対処しますか?

【A】チームメンバーは頑張ってる、みんなのその努力を讃えたいので盛大に飲み会を開催しよう

これは、全く効果がないでしょう。飲み会はお酒の力も借りて盛り上がるかも知れませんが、問題は何も解決していません。翌日は相変わらず、雰囲気は最悪です。

ベンチャーのマネジメントには「型」があります。いきなり感情移入して、感覚的に判断してはいけません。
まずは事象に対して無感情に「型」による対処法を検討します。この例ですと、型で対処するなら「モメンタムの創出」という型を使います。

【A】チームの目標と、その達成に向けたアクションを明確にし、毎週そのアクションが進捗していることをマネージャーからチームメンバーに説明する

上記を行えば、チームメンバーは「目標に向かって着実に進んでいるんだ」という事実を知ることになり、「自分たちでもできる」という自己効力感を得ることになります。そしてチームに勢い=モメンタムが起こり、チームは前を向くようになります。

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チームに勢いが出ると、メンバーの努力や創意工夫が引き出されます。
それにより、高い目標に到達することができるのです。

このように、事象に対して「型」を適用します。

型の次に感情を加える。事象→型→感情。

型で対応方針を決めた後に、メンバーの顔を思い浮かべ、感情を加えます。

【A+感情】説明する時はチームメンバー1人1人の努力が伝わるよう、誰がどんな貢献をしたのかがわかるように説明しよう

という形です。

「成果が出ずにチームの雰囲気が最悪になる」という事象に出会った時、マネージャーにとっては人生初の難題だったとしても、広い目で見ればこの問題は1日数件はどこかのベンチャーで起こっているでしょう。型を知っていれば一瞬で対処法はわかるのです。

感情移入することは大事なのですが、最初に感情移入してしまうと、そのあとに「判断」することは非常に難しくなります。1人1人感情は違うわけで、その感情に対処するのがマネジメントだとすれば、それは感覚・センス・経験でしか行えないと言われても仕方ない領域になります。

大事なのはメカニズムです
。なぜ成果が出ないとチームの雰囲気が最悪になるのか?それは、チームメンバーは自分たちの不甲斐ない成果を目の当たりにし「自分たちは無力だ」と実感してしまうからです。であれば、成果に向かって着実に進んでいると実感すれば良いのです。そうすれば、「自分たちはやれるぞ」という自己効力感がチームに溢れ、チームから努力や創意工夫が生まれ、いずれ成果は出るでしょう。

型を学び、事象→型→感情の順番で対処することで、メンバーのマイナス感情に自分の気持ちを持っていかれず冷静に、正しく対処できます。

せっかくなのでもう少し型の紹介

ここまでで1800字、私のnoteにしてはまだ文字数が少ないので、他の例についても扱いたいと思います。

【Q】評価に納得できないと猛烈な反発を受ける

ブランドも信用力もないベンチャーでは、メンバーは強気です。その会社にしがみつく理由などないのですから、納得のいかないことに関してはその感情を隠すことなく反発します。
これに対してはみなさんどのように対処するでしょうか?

【A】辞められては困るので、評価を訂正し、評価を上げよう

相手の猛烈な反発に感情を持っていかれた結果でしょうが、これは絶対にしてはいけません。「君だけの特別な対応だから内緒にしといてね」とメンバーに伝えようが、こういったものはいずれ周囲にバレるものです。
「評価」は給与に紐づきます、給与はその人の人生に大きな影響を与えます。メンバーの人生に大きな影響がある「評価」について、反発すれば変更するということは、いかにその会社は「評価」という重要な判断を適当にこなしているのか?とメンバーから問われかねません。
特別に評価を上げるというような対処をし、そのことが社内に広がれば、会社の信頼は地に落ちます。メンバーは社長やマネージャーのことが信じられない状態になり、最悪の場合、大量の離職を招きます。

「評価」は納得解です。絶対的な正解はありません。だからこそ、納得の行くようなプロセスが重要です。評価プロセスの型には様々なものがありますが、中でも重要なのは「事実の記録」の型です。

【A】普段から評価に関連する事実を収集し、事実を元に評価をする

評価に関わる出来事について常日頃からメモを残しておきます。自分が思い出すトリガーになる程度の簡単な記載で構いません。そのメモを活用して評価を行い、評価結果を伝えます。

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事実に基づかない、身に覚えのない評価だからメンバーは納得できず猛反発をするのです。事実に基づく評価であれば納得度はかなり高まり、「猛烈な反発」は受けないでしょう。
普段から事実を記録し、事実に基づいた評価を行いましょう。

そして、ここに感情を加えるならば

【A+感情】評価結果を丁寧に文章に落とし込み、次の期への期待とアドバイスを心を込めて伝える

ここまでやれば完璧だと思います。

もう1つの例もやってしまいましょう

ここまでで2800字、ということで例の3つ目もやってしまいましょう。

【Q】メンバーの仕事に関わろうとするとすごく嫌な顔をされる

これに対してはみなさんどのように対処するでしょうか?

【A】嫌な顔をされるのであまり関わらずに見守ろう

相手に嫌な顔をされれば距離を置く、相手が求めれば密に関わる、このようなことを繰り返していると、マネージャーの動き方や時間のかけどころが、「チーム目標達成のための優先度」ではなく「自分の心地良さ」に基づいた非効率なものになります。結果、マネージャーはチーム達成を実現できないでしょう。「関与」の型を使います。

【A】業務の重要度とメンバースキルを加味して関与の方針を決める

これが正しい対処となります。下の図を見てください。

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メンバーとの距離感を検討するにあたって、メンバーが嫌な顔をしようが嬉しい顔をしようが、それは一切関係ありません。業務の重要度とスキルで関わり方を4象限に分け、それに基づきメンバーへの関与方針を無感情に型で決めます。

関与方針を決めた後に、しっかりと感情を入れ込みます。
たとえば上の図の「共同ワーク」では、マイクロにメンバーに関与することになります。その際に感情を入れて対応する場合は、以下のように感情を入れ込みます。

【A+感情】スキルとして足りない面をはっきりと伝え、成功して欲しいから●●の面でサポートしたいと伝える

うまく言いくるめよう、ではなく、メンバーが足りないところを誠実にはっきりと伝え、自分はその足りない部分を補える存在であることを説明し、メンバーの成功を願う気持ちをまっすぐ目を見て伝えます。

このように、メンバーの顔色を伺って感情的に判断するのではなく、事象→型→感情で対応します。

マネージャーなんかやりたくないという人へ

マネージャーが「地位」や「権力」を意味した時代では、マネージャーになることのインセンティブがあったのかも知れません。

これからの時代はあらゆるプロジェクトが自組織に閉じず、外部の会社や個人とコラボレーションしながら進みます。

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「自分はこの会社で●●という役職だから言うこと聞け」なんて通用しません。そんなことを言うマネージャーがいるプロジェクトには誰も集まらないでしょう。誰も集まらなければプロジェクトは成功しません。マネージャーの地位や権力など、もはや存在しないも同然の時代になるのです。

「地位や権力を得られるわけでもないのに人のお世話ばかりして損な仕事だ」

と思うかも知れません。ですが、地位や権力に頼らないマネジメントスキルは、これからの時代を生きるための最強の武器になります。

これからは個の時代です。今会社に勤めていてマネージャー職にある方も、いずれは個人で何かを始める時が来るかも知れません。今の時代は会社に属しながらでもたくさんの個人的なチャレンジができる、本当に良い時代です。

個人で何かプロジェクトを始める時、1人でできることなどたかが知れています。誰かを巻き込んで行うから、そのプロジェクトは進捗し意味のある取り組みになります。そして、誰かを巻き込む時はマネジメントスキルが必須になります。

地位や権力に基づいたマネジメント方法では個の時代において誰も巻き込めません。
メンバーやパートナーと対等な立場「イーブン」な関係でマネジメントをする必要がありますが、これは本当に難しい。それを実現するためには、地位や権力ではなく「技術」が必要なのです。

その技術を皆さんにお伝えできればと思います。

ベンチャー企業で生まれた最強のメソッドをあなたに

大きな成功を収めるベンチャーはいつだって地位や権力なんて振りかざさず、マネージャーとメンバーはイーブンな関係であることを前提に「技術」でマネジメントを行ってきました。

地位や権力を活かしてマネジメントする時、メンバーの才能は発揮されません。マネージャーはメンバーより「上」の立ち位置であり、メンバーの意見を聞く必要はありません、というマネジメントは、短期的な小さな成功を収めたい時にぜひご活用ください。

社会にインパクトを残すベンチャーは「メンバーの才能」が全てです。成功を収めるベンチャーはいつだって1人の才能ががらりと流れを変えてきました。イーブンな関係は、ベンチャーに一番必要なこと「メンバーの才能を開花させる」ための最良の関係なのです。

今回の書籍では、ベンチャー企業で生まれた「イーブンな関係でマネジメントをする際に必要な型」という技術をみなさんにお伝えします。

あるプロジェクトを急成長させたい経営者・マネージャーの方に、個の時代を伸び伸びと生き抜いて行きたい全てのビジネスパーソンに、お役に立てる一冊になればと思っております。

初の書籍ですが魂込めて執筆致しました。発売までもう少し。どうぞお楽しみに!


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