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#9 習い事のサプリメント化

子どもたちの習い事がただの趣味や学びの場を超え、「サプリメント化」していると感じることが多い。まるで栄養補給のために摂取するサプリメントのように、親が不足していると判断した内容を子どもたちに身につけさせる手段として、多様な習い事が用いられているように思う。

先日、スイミングで立ち話をしているお母さんの声が耳の中に入ってきた。「英語はしているから心配ないけれど、体操もさせといた方がいいかな。」とか「放っておいたら体動かさないから体操教室行かせてる。」みたいな内容が耳に引っかかった。

この背景には、激化する競争と、子どもたちに多様な能力を身につけさせたいという親の願望があるだろう。例えば、ピアノやバイオリンのレッスンはもはや音楽を楽しむだけではなく、感性を磨き、集中力を高める手段とされる。また、プログラミングや外国語の習得は、将来の職業選択において有利になるためのスキルとして重視されている。

もちろん、子どもたちは習い事を通じて多くのことを学ぶが、それが子どもたちの本当の興味や関心とは必ずしも一致しないだろう。習い事が単なる能力向上の手段となると、子どもたちの内面的な成長や自己実現の機会が潰されることにもなりかねない。

また、全ての家庭が同じように子どもに習い事をさせる余裕があるわけではない。経済的な格差が、教育機会の格差に直結することは、社会全体にとって大きな問題である。さらに、子どもたちに過度な期待をかけ、習い事を通じて成功を追求する姿勢は、子どもたちに過大なプレッシャーを与えるだろう。

習い事がサプリメント化する現代社会においては、子どもたちの心の健康と幸福を第一に考え、彼らが自分自身の道を見つけ、歩むことをサポートすることが、大事なんだろうと思う。

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