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「晴れの日も雨の日も」#25 聞くということ

「聞く」というのはコーチングの基本・出発点です。
「意識しなくても音そのものは勝手に耳に入ってくる」という理解からか、「聞く」ことは「話す」ほど注目されません。「聞く」ぐらいフツーにできるよね、というイメージがあるのでしょう。でも、
あなたは本当にちゃんと人の話を聞けていますか?
実はこれ、結構簡単ではないのです。

人がしゃべっているのを遮って自分の話をしたがる人。
人の話と全然関係なく自分がしたい話だけをする人。
「わかった?」と相手の理解を確認しているようで、
下手に質問したら「そんなこともわからんのか」
という顔をする人(「返事は”はい”か”Yes”だぞ」
というオーラ満載)。
こちらの話に「わかったわかった」と言いながら、
実は右の耳から左の耳へ。。。。
こんな人周りにいませんか?これ、みんな聞いてない人です。

相手の話をちゃんと聞く、というのは「この人はどんな話がしたいんだろう」と相手の話に興味関心を持つことがまず原点です。これは相手を認めることとほぼ同義です。そして人は、自分の存在をちゃんと認めてくれる人とは、いい関係を作ろうとします。
こうやって相手と良好な信頼関係を築きましょうというのが、コーチングで学んだとっても重要なことです。

なんでオレの言うことが聞けないんだ、とか、何回言ってもオレの話が下に浸透してない、というのは、「オレ」様が一方通行の話をしてるだけ
相手をちゃんと認めて相手が聞けるように話をしていないのです。
相手を認めていない≒尊重していない≒適切な信頼関係が不十分という状況にほぼ近い。相手はあなたの立場・権力の前に、黙って聞いているような顔をしているだけなのです。
「オレはちゃんと部下の話を聞いている」というアナタ。
本当に部下は胸襟を開いてホンネをあなたに言っていますか?
部下の話には、あなたは無意識にしても、バイアスがかかっていませんか?むしろ、立場を背負っている分だけ、必ずバイアスが入っていると覚悟しておいた方がいいぐらいかもしれませんよ。

かくいうコーチを名乗る不肖ワタクシ。若いころは自分がしゃべるのに一生懸命でした。20歳頃に「どんなやつとでも話ができる」と開眼したような気になって、自信過剰もいいところ。今から考えたらとんでもない話です。
それでも何とか立派なメーカーに拾って頂きました。あちこちで頭を打ち、人と交わっていろんな学びを得る中で、経年と共に、少しは聞くことも大事だと思い始めました。
で、50歳過ぎの頃、新任の中間管理職を下に持った時。最初は「オレのノウハウを学べ」流の関わり方だったのですが、どうも良くないと思いはじめ、「長井がしゃべらない週刊行動計画ミーティング」を始めることにしました。
今週は何をどうすべきか、オレは指示しない。君が自分で考えてしゃべってみろという趣旨です。
が、正直結果はイマイチ。私は「言ってない」ようで、自分の中に先に答えがあったからです。彼の話に対してNoオーラを出しており、うまく彼の自主性・創造力を引き出せなかったのです。
コーチングに触れる前にコーチングのマネゴトみたいなことを自ら考え付いたまではよかったのですが、根本のところが、全然わかってないなー、ということだったのです。

このあとインドネシアに赴任しました。ここでは全くのシロート状態からスタート。まわりのことを「見る」「聞く」がまさに生命線です。
まず日本人駐在員。日本ではむしろ無口に見えたメンバーも実はよくしゃべるのです。慣れない異国で、外国語でコミュニケーションを取って実務を進める彼らには相当のストレスもあったのです。
ローカルメンバーも自分たちの苦労や頑張っていることを一生懸命しゃべっていました。

そうか。やっぱりみんなしゃべりたいんだなあ

肌身で理解しました。
「聞く」ことへの私の関心が飛躍的に高まったところで4年の任期が明けて帰国。
今度は慣れ親しんだ旧職場を離れ、新天地の今の会社で一からスタート。再び「よく見るよく聞く」の繰り返しです。こうして気付いた「聞く」の重要性をさらに一歩進めた結果がコーチングを学ぶことにつながりました。

この学びを通じて、自分の対人能力の引き出しが確実に増えた手ごたえを感じています。が、まだまだ油断をすると「オモロイ事言ってやろう」病が顔を出すので、今年も引き続きよく留意しながら精進を続けて参りたいと思っております。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 
                           長井 克之

仕事のご連絡・その他ご相談等はこちらに→ nagairb21@jcom.zaq.ne.jp

<予告>
#26 チャンスの女神
#27 いつまでも少年の心で(誕生日前夜)
#28 男らしいって何だろう?
#29 正しいから距離を置く
#30 サラメシ探検隊

(続く)


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