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「晴れの日も雨の日も」#135 悪循環

先日、前の勤務先の同僚と一献傾けた。
5時半から4時間、ノンストップの濃厚会話だった。

私はその会社に移って右も左もわからない時、彼にいろいろ聞きながら仕事を進めた。私のそこでの勤務が曲がりなりにも何とか務まったのは、彼のおかげによるところが大きい。一方で、私のこれまでの知見経験を彼は重んじてもくれた。私達は何につけホットラインでいろんなことを乗り越えてきたと思っている。

彼は今、数名でチームを組んでプロジェクトに取り組んでいるという。話に登場する人物もだいたいわかる。ふんふん、とうなづきながら聞かせて頂いた。

このプロジェクト、なかなか容易ではない。
が、彼はこれに大きな期待と熱意をかけていることがひしひしと伝わってきた。
メンバーとのミーティングを進めるだけでなく、実りある結果を得るべく、自分で相当な準備をし、個別にメンバーに働きかけをし、コアとなるような仲間づくりもしながら取り組んでいる。

が、彼が一生懸命にやっているのに対し、他のメンバーは必ずしも同じように熱心に取り組んでいる感じではないようだ。温度感に差があり、彼としてはそういうところにいわば不満もあるし、どうしたもんだろうという困惑感もある。

私は基本的には傾聴するスタンスで会話に臨んでいた。自分の意見やアドバイスは横においていたのだが、終盤になってひとつだけフィードバックをした。
それは、悪循環に陥っているように見える、ということだ。

周りの動きが不十分だから彼が一生懸命になる。みんなから積極的な意見を出してもらうためには、もっとみんなの理解を深め、問題点をはっきりさせるような資料を作ろう、そういうきめ細かい、かゆいところに手が届くような努力が必要なのではないか、と彼は思い、頑張っている。
が、結果的には彼が頑張れば頑張るほど、メンバーは主体的に考えなくなる。「彼がやってくれるわ」と思っているかも知れない。「追えば逃げる」状態なのだ。

同じことをしていると同じ結果にしかならない。
最悪なのは、これではいかんと熱量をあげることだ。それは悪循環をさらに加速させることにしかならない懸念が強い。
ヒゲダンがsubtitleで歌っている景色に通底する。

割れたヒビを直そうとして 足しすぎた熱量で 引かれてしまったカーテン

official髭男ism  subtitle

これは実は何度も私が通ってきた道だ。オレは間違ってないという呪縛から抜けられず、同じ過ちを繰り返した。
いや、人のことは見えるのだ。自分のことはからっきしだが。

違う結果を生み出そうと思えば、自分のアプローチを変えるしか無い。
ぐるぐる回っている悪循環からまず自分が抜け出すこと。

この夜、私は彼に「しばらくほっといたらどうなると思う?」と聞いた。「それではちゃんとした成果が得られそうにない。そんな結果には何よりも自分自身が耐えられない」と彼は言った。
その気持もよくわかる。それをねじ曲げて「いや、ほっとけ」と言う気はない。

この問題を考えるには「AかBかの二択に囚われずに次元の違うCを考える」というアプローチが必要なのだろう。
大事なことは、彼と他のメンバーとの間にあるギャップ感をどうやったら埋められるか。そのためには認識の共有がまず出発点なのではないか。
みんなはどんなプロジェクト活動がしたいのだろう。
この活動に何を求めているのだろう。
コーチング的に言えばそういう問いから始まるのかも知れない。

私はコーチング研修で「指示から問いへ、そして問いの共有へ」という話をすることがある。この記事を彼も読んでいるかもしれない。こんなことが参考にでもなれば誠に幸甚だ。

拙宅近所あちこちにある八朔の木。そろそろ収穫時期だ。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之  

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<予告>
#136 コーチングをお届けしてみたい人
#137 I love me
#138 あなたへ#2

(つづく)


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