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自画自賛レビュー vol.3 「恥獄パンデミック 若妻美容師 弥穂の場合」

自画自賛レビューvol.1と2を書いてから、同二作のKindleでの既読がスパークしています。こりゃあ残りの子たちも書いてあげないと不公平!ということで3作目、紹介していきます。


レビューの切り口

1)基本情報。文量、登場人物数等
2)キーワード
3)敢えて他の作品で近いものをあげれば?(参考文献)
4)ヒロインのキャラ属性
5)抜けるシーン切り抜き
6)ここだけの話=制作秘話

自画自賛レビュー

さて、今回ご紹介するのは、永井が取り組んだ3発目の長編です。初めてKindleでリリースした作品でもあります。

1)基本情報。文量、登場人物数等

Kindle 換算で434ページ。文字数でいうと約25万字。
ヒロイン=園川弥穂(そのかわ みほ)
責め手:男 13名 
    女  3名
視点人物:ヒロイン
語り  :三人称

2)キーワード

・パンデミック
タイトルどおりですが、パンデミック、ですね。あの暗い時代の世相とか、不条理さとかを背景にしたプロットになってます。パンデミック状況だからこそ成立する展開です。

・夫婦の愛
夫の身を案じて投げ出した身体を弄ばれてしまう、という定番要素をふんだんに盛り込んでいます。最後は、その夫も毒牙にかかるわけですが……

・経済凌辱
これは本作に限らずですが、お金の事情で困窮した人の弱みにつけこむのは得意技なので(注 創作の話です!)、そういうのが好きな人はドハマりすると思います。

・スピンオフキャラ達
後半に出てくるラスボス悪党の筑摩省三ですが、アトリエTODO様で出している洗脳の教典シリーズにも出演させてもらっています。(成人指定になりそうなのでリンクは割愛します)

あと、その息子、筑摩時彦に至っては拙著最新刊「淫逆二都物語」にも準主役級で活躍しています。

・イラスト
イラストレーターのサトハルさんに表紙絵をお願いしました。きっちり内容を読みこんだうえで書いていただいたので、かなり作品の持つ空気感が伝わると思います。※BLメインで活動されている方です

3)敢えて他の作品で近いものをあげれば?(参考文献)

部分的な話にはなってしまいますが、夫の方も悪党の手に堕ちている、という展開でいうと、綺羅光先生の「美畜 地獄の招待状」にはかなり影響受けましたね。

ヒロインだけではなくて、ヒロインの大事な人も道連れで犠牲になる、っていうのは、永井の過去二作も同じですね。
優奈にとっての父、里穂にとっての弟、弥穂にとっての夫、という感じです。ワンパターンとか言わないでくださいね、個性なんで(笑) 

あとは、闇金関係の描写は、ウシジマくんのドラマ版とかで参考にしました。「金主」のイメージとかね。

4)ヒロインのキャラ属性
人妻(26歳)。美容師。控えめな性格で、直情的な夫に黙ってついていくタイプ。夫婦で念願かなって開業した美容室が不運にもパンデミックの直撃をくらい、無理な条件で借りていた店舗や借金が仇になって、夫を闇金業者と闇業者に攫われてしまいます。非人間的な労働環境から夫を救いだす、夫の反対も振り切って身体を売ります。
「抜ける不憫さ」は妄執文庫のトレードマークですが、里穂ちゃんはその中でも際立って、股間に訴えてくるヒロインです。

5)抜けるシーン切り抜き

一番押したいのはプロローグとエピローグなんですが、プロローグはkindleの試し読みで見れますし、さすがにエピローグを載せるわけにもいかないので、中盤のハイライトから。トレーニングマシンを使ったプレイです。

下村が、黒いブランケットに包まれた大きな物体を抱えてリビングに戻ってきた。男達による円陣の真ん中で床に尻もちをついた状態の弥穂。そのすぐ傍らに、その物体が据えられた。
「皆さん、お待ちかね。これが本日のメインイベントです。このチャリティーイベントのために特別に用意しました。女を鳴かせる、電動木馬です!」
 麗奈が、物体を覆うブランケットを勢いよく引き剥がした。姿を現したのは、「ロデオガール」と呼ばれるエクササイズマシーンだった。乗馬のような運動で、全身、特に体幹を鍛えことができる器具だ。
 弥穂は、すぐにそのマシンの異様さに気が付いた。まず、通常このような器具は両脚で座席のクッション部分を挟むようにして座るわけだが、そうした場合のちょうど足首にあたる部分に、手錠のような拘束具が備えられている。足首を器具と固定され、自分の意志では、降りることができなくなる・・・。さらに目につくのは、器具前方のコントロールパネルの端から、「自撮り棒」のようなものが伸び、カメラがこちらに向けている。いずれも、何らか改造が施された結果のようだ。
 だが、何といっても際立っていたのは、クッション部分の中央付近から天に向かって垂直に伸びたバイブだった。バイブは男性器を極めてリアルに模した素材をしている。特殊なゴムでできたそれは、包皮といい亀頭といい、浅黒くくすんでいて、リアルな男性器の質感を再現している。
「い、いったい、な、なんなんですが、これは・・・」
「ふふふ、分かってる癖に。これにまたがって、腰をフリフリするのよ。ちなみに、このおチンチン、見覚えはないの?」
「・・・し、知りません」
「ウソおっしゃい。あなた、ずいぶん物欲しそうな眼付で見つめていたじゃない」
 マシンの上の雁首の襟巻の部分に小さな瘤が六つ張り出しているところから見るに、省三のペニスを模ったもののようだ。写真や動画に収めた省三のペニスをコンピューターで解析し、業者に頼んで3Dプリンタで作成したという。太さだけは、本物のそれのちょうど八十パーセントのサイズに圧縮しているらしい。仕上がりに満足できずに、何度もやり直しを求めた結果、費用がかさみ、完成までほとんど三百万円も費やしたのだと麗奈が言うと、ゲストの三人は腹を抱えて笑い、省三も苦笑いをしている。弥穂ただ一人だけが当惑し、目を泳がせている。
「さて、ゲームの内容ですが、もうだいたい想像は着きますよね。弥穂がこのマシンのうえで、何度恥をかくか、それを当ててもらいますわ」
「ああ、そんなの、いやよ・・・」
 弥穂のか細い声も、男達の歓声でかき消される。
「そら面白ろそうやなぁ。乗る前に、試しにちょい動かしてみてくれまへんか?」
鴻上のリクエストに応えて、下村がリモコン操作でマシンを動かす。座席の部分がクネクネと多種多様な動きをランダムに繰り出す。速度や、振動の幅まで細かく調整もできるし、オートパイロットモードもあるようだが、下村はほんの十数秒ほど動かした後、停止ボタンを押してしまった。
「こいつの本領は、本番でお見せしますよ。その代わり、こっちもご覧ください」
反対側の手に持っていた別のリモコンを操作すると、今度は省三の疑似ペニスが律動を始めた。弥穂は、その異様な動きに目を見開く。
バイブは、外観こそペニスに似せているが、動きは決して人間のそれではなかった。まず、
肉茎全体のうねりは、本物のペニスでは絶対に不可能なほど柔軟性に富み、複雑。まるで、尺取り虫のように歪曲したり、らせん状に首を振ったり、あるいは急に直線運動に戻ったりといったグロテスクな動きをする。
だが、何よりも弥穂を怯えさせたのはシリコン玉の瘤までそれ自体が、自律的に蠢動することだ。瘤は雁首に留まらず、茎銅から根元へ、あるいは亀頭の先へと移動する。すなわち、マッサージチェアのもみ玉のような要領で、瘤が「ペニス」の表面を縦横無尽に移動する。肉茎自体の律動と、瘤の蠢動が同時に進行するのだ。
「ああ、どうしても、これに乗らないといけないのですか・・・」

後編 性奴のためのチャリティー より抜粋

6)ここだけの話=制作秘話

弥穂ちゃんのモデルですが、永井が実際に通っていた美容室の美容師さんです。ほとんど会話もせず、黙々と、でも一生懸命に永井のクセ毛と向き合ってくれる大好きな美容師さんでした。目立つタイプの容姿ではなかったですが、鏡越しに見てると、いつまでも見つめていたくなるような、素敵な人でした。
本作は、第27回フランス書院文庫官能大賞の2次選考通過作品になります。受賞したら本をその美容師さんにプレゼントしようと思っていたのに、それが叶わず、泣きました。

なお、第27回フランス書院文庫官能大賞を制したのは、相内凪先生の「マスクをつけた未亡人」でした。おなじコロナ禍をテーマにしていても、目のつけどころが全然違ってて、面白いですね。

ちなみに恥獄パンデミックでも、
マスクに絡んだプレイは少しありますので、是非読み比べてみてください。

あとがき

自画自賛レビューも三本目ですが、だいぶ型が整ってきた感じがありますんね。特に反響はないですが、既読が思いきり伸びているので、読んでくれている方がおおいんだろうな、とは思っています。

なお、本作はパンデミックストーリーシリーズの第一部になっており、次回のレビューはその第二部、「カレとワタシとパンデミックと 派遣社員摩耶の場合」になります。ストーリ上の続編ではないですが、同じくパンデミック禍で運命を狂わされる女性の話です。

また、パンデミックストーリーズは他のプロットのアイデアも三つ、四つほどストックがあり、そのうち書いていきたいな、と思っています。世間はもうあの頃のことなど忘れたい時分かもしれませんが。。。

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