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『改宗記念祭』オンライン

 去る10月25日、日本在住インド人仏教徒の主宰による『改宗記念祭/DHAMMA CHAKRA PRAVARTAN DIN』がZOOMにて開催されました。

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 コロナ禍の中、春に行なわれた『アンベードカル博士生誕祭』に続いてのオンライン行事となりましたが、改宗仏教徒にとっては、祖父母の代まで受けてきたカースト差別を弾き返した記念日です。各自の思いがZOOMを通し充分に伝わって来ました。まずは、ちっちゃな女の子たちによるダンスの披露。今やボリウッド映画などで日本でもお馴染みとなりました〝インド人の踊り好き〟は、まさに「三つ子の魂百まで」なのです。

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 大人たちによる熱いスピーチのあと、思い出のフォトも紹介されました。もちろんコロナ前の集合写真ですが、改めて感じたのは、いつも彼らと一緒にいたことでした。今の私があるのは「お釈迦様の国から来た仲間たち」のおかげです。

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 終盤、B.A.I.A.E.(アンベードカル博士国際教育協会)から壮大な計画が発表されました。インドに身分を越えた教育センターを作る!と。このプランは佐々井秀嶺師も全面的に承認しています。

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 さて、当日の私の法話を以下に略述しましょう(原語はヒンディー)。

如来等正覚、並びに菩薩聖者アンベードカル博士に帰依し奉る。
本日の『改宗記念祭』、心から慶賀に堪えません。また先月、カースト差別の犠牲になったマニーシャ・ヴァールミキさんの御冥福を心からお祈り申し上げます。
皆さんご承知のとおり、今年はコロナ禍の世界的蔓延を受け、四月のアンベードカル博士生誕祭はSkypeを通じオンラインで開催されました。今も何かと不自由を感じることがあると思いますが、ここで仏教の歴史を振り返ってみましょう。
シャーキャ・ムニ・ブッダ(釈迦牟尼仏)は身分を越えてすべての人々に寄り添い、教えを説かれました。ですが紀元前五世紀頃、コーサラ国のヴィルーダカ(毘瑠璃)王の侵略により、シャーキャ族の都城カピラヴァストゥ(迦毘羅衛)は灰燼に帰しました。十三世紀初頭にはスルターン朝のバフティヤール・ハルジーによって、あまたの仏教寺院が破壊され、多くの僧尼が殺害されました。
その後、ヒンドゥー教の台頭により、仏教そのものがインド社会の〝地下に埋められて〟しまいました。しかし仏教は、地下水の如く静かに流れ続け、そして「偉大なる井戸掘り職人」アンベードカル博士によって、乾いた大地を再び潤し始めたのです。そのおかげで、皆さんはパーンチャ・シーラ(五戒)を知ることが出来ました。第一番目は、不殺生戒ですね。
「パナーティパーダー」とは、命あるものを傷つける、という意味。「ヴェーラマニ」は、そのことから離れる、と。「シッカー」は、訓練する。「パダン」は、歩んでいく。「サマーディヤミ」は、受け止める。
自分が暴力への衝動から離れようとする生き方を心に刻む、といったところでしょう。これは仏教徒だけでなく、すべての人々と社会が実践すべきだと思います。
ところがこの九月、インドでは、マニーシャ・ヴァールミキさんが集団暴行を受け、その尊い命を奪われました。

マニーシャさん‥‥いえ、身内に〝さん〟はいりませんね。マニーシャは、私たちの娘も同然だからです。綺麗事ではなく、すべての人間は「家族」であるはずです。生まれや職業に貴賎はなく、肌の色の違いに美醜などありません。マニーシャに暴行した者たちが、ヒンドゥー教のカースト制度を言い訳にするなら、そのカーストを定めたのは〝神〟ではなく、神の仮面を被った邪まな人間だと、私は断言します。
ジャイ・ビーム!

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 同日にインドで開催された『改宗記念祭』にて説法獅子吼する佐々井秀嶺師。《仏教系TVチャンネル「AWAAZ INDIA」から画面キャプチャ》

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