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英語教育を考える(その⑦)

どうも、あさまんがです。かなり気温も高くなり、過ごしやすい季節になりましたね!

春は出会いと別れの季節とよく言われますが、環境も人間関係も変化するこの時期、僕はよく困ることがあります。

それは、「初対面の人に名前を聞くタイミング」です。

意外と難しいですよね。最初に聞き逃すと、ある程度仲良くなってから聞くのも気まずいですし…笑

そこで今回は、「人間関係と英語」をテーマにしていこうかと思います。

日本の「敬語」

敬語で話していると、相手にどのような印象を与えるでしょうか。真面目な人だな~とか、まだそこまで親しくないのかな~とか、そんなところでしょうか。

ちなみに、この文章もほとんど(かなりくだけた)敬語で書いています。それは、インターネットを通じて様々な人がこの記事を読むことになると想定したとき、読者の方が変に「馴れ馴れしさ」を感じないようにするためです。

そんな感じで、敬語を使うだけで、相手に与える印象は常体(~だ、~である)と大きく変わります。

また、敬語には大きく分けて3種類あります。

尊敬語:相手の行為を上げて、敬意を示す(○○さんが「いらっしゃる」など)

謙譲語:自分の行為を下げて、相対的に敬意を示す(すぐに「参ります」など)

丁寧語:語尾に付けて、受け手に敬意を示す(ここが私の家「です」など)

それぞれ細かい説明は割愛します。

敬語を使う場面では、基本的に相手への敬意を示し、失礼のないように対応することが大切ですよね。

またこれは完全な持論ですが、「敬意を示すための敬語」は、(たとえ厳密には間違ってしまっていても)それを使うだけで相手に「ああ、この人は自分に敬意を示そうとしてくれている」という印象を与えると思います。

英語に「敬語」は存在しない?

中学校でこれを言われて「マジかよ英語圏凄いな」と思いました。

確かに、話の相手が大統領でも先生でも友達でも、「お腹が空いた」時は

I am hungry.

こう言いますしね。敬語でなかなか空腹を伝える機会はありませんが、強いて空腹であることを伝えたければ、奥ゆかしく「察し」の文化に沿って

「今の旬のお野菜は○○であると伺っております」

「○○さんは、お好きな食べ物などおありでしょうか?」

とか言うんでしょうか。流石に回りくどいか。

確かに、英語は遠回しな表現は言いたいことが伝わりづらくなることが多いし、実際に動詞を変化させて敬意を示すことはなかなかありません。

でも、敬意を示し、礼を重んじる場面は英語圏でも当然あります。そんな時、どう表現するのが良いんでしょうか。

ポイントは距離感

ここからの説明は、時吉秀弥氏が2019年に著した、「英文法の鬼100則」という本に準じたものです。気になった方は最後にAmazonのリンクを乗せておきますので、チェックしてみてください。

さて、実は英語には「敬語」という表現こそないものの、「丁寧な言い方」はしっかりと存在しています。その代表的なものが、

Would you ~ ?

Could you ~ ?

の表現です。それぞれ will と can の過去系になっています。

学校で習ったのを覚えてる方も多いかもしれませんね。なぜ過去系にすると丁寧な言い方になるのでしょうか?

「英文法の鬼100則」の244、245ページによれば、

「断定を避けることで推量を含ませ、その表現に丁寧さを加える」そうです。確かに、canもwillも推量の意味はありますし、断定をするよりもしない方が丁寧な印象を与えることができるのも合点がいきます。

過去系にすることの効果について、時吉氏は66ページにおいて『過去系は「現実から離れている」』と述べています。推量を加えたうえで、現実から遠い印象を与える表現に変えることで、より遠回しにな婉曲表現にすることが可能になる訳です。

これが、英語と日本語との「敬意を示す」方法の違いです。

動かす対象の違い

これはどういうことかというと、日本語では「立ち位置」を動かして敬意を示します。相手の立ち位置を尊敬語で上げたり、謙譲語で自分の立ち位置を下げて相対的には尊敬語と同じことをするわけです。

一方、英語では「時間/意思」を動かします。現在のこと(目の前の相手に話すのはもちろん「今」ですよね)にもかかわらず過去系を使ったり、推量を用いて言い切りを避け、丁寧な印象を与えます。

これは結構興味深いことだと思います。言語の違いが、敬意を示す方法にも影響を及ぼしているということですからね!

中学校と高校、どちらでこれを伝えるか

では、この敬意を示す表現を教育に組み込む際、(小学校も含むことがありますが)中学校と高校、どちらがより生徒の感動を生み出せるのでしょうか。

中学校なら、これから敬語に出会うたびに「あ!あの時学校で話していたことはこういうことか!」となる可能性を高めることができます。

高校なら、ある程度敬語についての知識があれば既知情報と比べた学習ができるんじゃないかと思います。

出会うものへの感動なのか、出会ったものへの感動なのか。

どちらを取るのか、甲乙つけがたいですね…笑

まとめ

今回話したことをまとめてみます。

1.英語に敬語のような表現はない

2.敬語の代わりに、推量と過去系によって丁寧な言い方にする

3.何を動かして敬意を示すのかが違う

4.伝えるタイミングによって、感動のしかたも変わる

こんな感じです。

母国語独自の表現と、外国語のそれに応じた表現を比べると、思いもよらない時に感動することがあります。

そんな機会を提供できるような教育ができれば、英語学習を楽しむことができるのではないかと思う今日この頃です。

話は変わってしまいますが、これまでの「英語教育を考える」シリーズは、下からお読みいただけます!

また、今回の説明に準拠した本はこちらです。

日本の敬語という文化や、英語における表敬の表現について何か考えや感想を持った方は、コメントに書き込んでみてほしいです!

今回も読んでいただきありがとうございました!それでは、次回もお楽しみに!

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