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紙媒体に関する考察(その1)

今回は、写真も含めた「紙媒体」について考察していきたいと思います。
その2があるかどうかはわかりませんが(笑)。

まず手始めに、富士フイルムの「チェキ」が好調、というニュースについて考察していきたいと思います。

だいたいの記事が「エモい」「アナログ感が魅力」「スマホに慣れた若者には不便さが逆に新鮮」という論調になっていますが、本当にそうでしょうか?私はそこに根本的に疑問があります。

チェキの使用シーンを、地下アイドルのライブ現場としましょう(笑)。初めてライブに来たお客さんと2ショット写真を撮って、手書きのサインを入れて渡す、とします。

(1)スマホの場合
①挨拶(笑)
②スマホで2ショット写真を撮る
③アプリを起動し、手書き文字を入れる
④LINE(または別のSNS)のアドレスを交換する
⑤LINEに写真を添付する

(2)チェキの場合
①挨拶(笑)
②チェキで2ショット写真を撮る
③チェキが印刷されて乾くまで会話する(1分くらい)
④乾いたらペンで手書き文字を入れる
⑤写真を渡す

どうでしょう。
大きく違うのはスマホの場合の「④アドレス交換」と、チェキの場合の「③乾くまで会話」です。
これ、実際やったことある人は分かると思いますが、アドレス交換してる時って、お互いにスマホを操作し続けないといけないんですよね。LINEの場合は片方がQRコードを画面に出して、もう片方がカメラで撮影して登録、が一般的だと思いますが、双方スマホ操作に専念することになります。X(旧Twitter)だともっと煩雑で、フォローしてもらって、フォロワーの中から特定の人を見つけ出して、っていう作業になるので、相当画面とにらめっこになります。

片やチェキはどうでしょう。乾くまでの時間は「何もしなくていい」ので、適当な時間会話をすることができます。先ほどのスマホの場合は、この中では会話をしている時間がありません。アドレス交換してる間に1分くらいは経ってしまいますから、会話しようとすると別で時間を取らなければいけません。実は「スマホの方がタイパが悪い」「チェキの方がタイパに優れている」という事実に、私たちはもう少し注目しないといけないのです。

あと、先ほどは地下アイドル現場のシーンなので、アドレス交換・フォローすることは専用のアカウントを持っているのでおそらく問題にはならないのですが、そうではないイベント会場とか、よくある結婚式2次会とかではどうでしょうか。専用アカウントなど無いので、主催者・運営側の人の個人のアカウントを使う事になりますが、「写真を送るためによく知らない人と繋がらないといけない」ということは、心理的ハードルになります。マーケティング用語でいうところのペインですね。

なので、チェキ好調の背景の1要因は、DXの話でよく出る「電子検認より紙検認の方が楽だった」「セキュリティが面倒」に近い話なんじゃないかと思ってます。エモさとかアナログ回帰とかそういう観点ではなく、現実的な利便性の要因です。

次回以降(あれば)、紙媒体というもののもっと本質的な価値、そしてそれに勝るものを作るにはどうしたらよいのか、について切り込めれば、と思います。


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