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個人的な2020年のテレビの話

2020年も終わりに差し掛かり、年末年始休みの期間にも入ってくるとき。

今年もたくさんテレビを見ました。バラエティメインで。

2020年のテレビを見た感じで、思ったことを振り返ろうかと。

そもそも、今年はコロナ拡大の影響で番組構成もだいぶ変わりましたわね。家でテレビをつける時間も増えたり、テレビも現場収録やロケができないことも多く、リモートや無観客、アクリル板などなど。

あまりこの辺について思うことは少ないのですが。ひとつ強いて言うなれば、平日昼間にバラエティやアニメ再放送などの娯楽番組を打ち出したらよかったのに、とかくらい。在宅や自粛で家に人がいることが多くなり、特に子どもが家にこもっていることが多かったのだから、、みたいな。

もしそうなれば私も効率的に業務をサボり、視聴率に貢献できただろう。

さて、本題。
個人的見解による今年のテレビみた所感を箇条書くとすれば、

■ゴールデン/プライムタイムの番組の面白さ
■女性タレントの輝き
■千鳥の活躍レベル

こんな感じ。あくまで自分が見ていた視界での話。好みはひとそれぞれだし。今思いつく範囲で書いてるだけなので。

それでは、それぞれについて思ったまま書いてみる。


ゴールデン/プライムタイムの番組の面白さ

なんか今年のテレビってゴールデンが面白くなかったですか?

番組構成や表現方法が変わったりといったような。ターゲットの視聴者層が変わり、バラエティ色が増したといったような感じで。

実際に、2020春以降の改変からは、これまでテレビのメインユーザだった5,60歳層向けの番組構成から、50歳までの特に若者層向けにターゲットに構成が変わったという傾向のご様子。

きっかけはおそらく「有吉の壁」のゴールデン進出が当たったこと。ここから、”面白いものを作れば認められる”といったイメージができ、ゴールデン内で弱くなりつつあったバラエティのテイストが、また強くなったように思える。

コロナ渦の影響もあり、若者も夜早い時間に家におり、テレビを見る人も増えた、ということも関係しているのかもしれない。

そこから次に現れたのは「千鳥のクセがすごいネタGP」だったと思う。元は、密を防ぐためといった名目で、ピンネタにフォーカスしたネタ番組だったが、それ以上にメインMCの千鳥のモニタリング力が抜群に光り、クセスゴなネタでも笑いどころを見逃さず、またかなり独特な解釈も楽しめる番組で、芸人サイドの熱意をそのままお茶の間に提供できる構成に感動した覚えが。のちに秋を迎えるころには、木曜9時という地でレギュラー放送開始となる。

だいたいこのころからは、ショート歌ネタにフォーカスした「爆笑!ターンテーブル」、漫才・コント両方のネタを同一コンビで披露する「お笑い二刀流」、登場する芸人の想いの詰まった様々なベストワンネタを披露する「ザ・ベストワン」、といったネタ番組系特番も大挙して押し寄せた。

第7世代というワードもまだまだトレンドだった今年。実力のある若手が多い中、その活躍を見せる場としても非常に機能していたのかなと思う。

あと、去年までは23時を過ぎないと見れなかったような番組構成のテイストが、ゴールデンでも企画の方向性をそこまで変えずに見れたような気も。

『テレビ千鳥』『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞』『勇者ああああ』といった番組は今年、深夜からゴールデンに昇格したが、まさにそんな感じ。近年の『ゴールデン昇格』に付きまとう風潮を逆手にとり、少しやり方は変えても大きな魅力のポイントは変わらず、面白いまま、といった印象。

『シンパイ賞』は、ゴールデン昇格にあたり、第7世代や話題の芸人といった部分にフォーカスを強めるといった、近年のゴールデン化傾向に沿ったものながら、若手世代と旧世代の『今』に目を向けた、時代特化したトークバラエティとなっていて面白い。

『勇者ああああ』は基本テーマは変えないながら、”一応ゴールデンなので”といったような、取って付けたタイプの味変が、今までのゴールデン昇格番組に対する世間の風潮をせせら笑うかのような演出で面白い。そもそもゲームを前置きに芸人のコアな部分を垣間見せる構成が変わっていないので、見る分には華やかさとメリハリが適度について個人的には楽しい(笑)
同じゲームバラエティでも有吉ぃぃeeeee!とは違った面白さで、番組開始当初からの注目度は薄れることはなかった。

『テレビ千鳥』は恐ろしいことに、あまり深夜時代から変わっていない。細部を見れば、直接的表現に違いはあるものの、深夜でやってきた千鳥そのものの魅力がそのままゴールデン化された、といってもいいのではないかと思う。企画ひとつひとつのオチに行きつくまでの過程と、最終変化された結果、くだらなさの中にある奥深さが変わらず面白い。

上記は全て、今まで世帯視聴率を重視してきたテレビ界が、高齢者向けにゴールデン帯の番組を製作してきたのを、SNS口コミや個人視聴率を重視することによって、若者や高齢者以外の視聴者に向けた『本当に面白い、作りたい番組』のような打ち出し方が方針としてあるような気がする。

今年はそんな感じで、『ゴールデン超えないと面白い番組はない』なんて風潮は全くなくなかったように思える。


女性芸能人の輝き

俗に言う、女性タレントや、女性芸人といった括りの人たちがすごく面白かったなぁという気がしている。個人的には"第7世代"よりも"女性芸人"の方が今年はトレンドワードだった。近い話だと今年のTheWがすごい面白かったなーっていうところから。

特筆して思い浮かぶのは『3時のヒロイン』『フワちゃん』『ぼる塾』『ラランド』かなと。

一組目は3時のヒロインを挙げたが厳密に言うなれば、福田麻貴だ。ツッコミ力でいえば第7世代の中でも指折りの、ストレートを投げれるプレーヤーかと思う。

第7世代としてスポットを浴びた芸人に言えるのは『技巧派』のツッコミ。ぺこぱ松陰寺の『傷つけない肯定ツッコミ』、霜降り粗品の『例えツッコミ』、四千頭身後藤の『脱力系ツッコミ』といった、"技とセンス"といったツッコミの数々。

無論それが悪いわけでもなく、どれも基礎となるのは、"間・テンポ"と"言語の秀逸性"であることに変わりなく、出来上がっている。

しかし自分はその『基礎』が強いものを好む傾向にあるのも事実。テンポがとれてメリハリが効き、声を張り上げるような、いかにもなツッコミも好みである。ただ意外と最近、そういうのってない。

そこを明確に抑えているのが福田麻貴のような気がしたのだ。トリオのネタとしてだけでなく、単純明快でテンポのいいツッコミは何とでも相性がいい。ロケやモニタリングでも、誰とでも絡める万能タイプのように思える。何よりもこういうタイプのツッコミって決まったときの爽快感は一番いい。

基礎的な声張り上げ系ツッコミに見られる『うるささや圧力の強さ』についても、彼女のツッコミはバランスよく丸みを帯びている気がして、その点も魅力的な気がしている。

ただ、自分が一番好きなツッコミ芸人はくりぃむしちゅー上田である。例えツッコミの秀逸さが光る人をベストに置くことが事態を矛盾させてしまうことは、ここでは特に触れないでおきたい。


2人目はフワちゃんを挙げた。ここは若手カリスマクリエイターのような、お笑いプロデュース力を感じたから。2020年というよりはもう少し前からその姿を現していたような気がしたが、注目度と浸透という意味では今年で間違いないのかなと思う。

相手が誰であれストレートやデッドボールを投げ、距離感を作らず接近プレイの近距離戦を繰り広げられる力はすごく、単純明快度という意味では、先ほどの福田と比べても良くも悪くも上回ってしまうかもしれない。大御所やベテラン・中堅タレントへも臆せず、思ったまま世間イメージをぶつけるやりとりは爽快だ。

自分の強みを最大限活かせる形に持っていけるという、セルフプロデュース力も強く、礼儀や常識を知った上で、自分の判断でやりたいように攻勢を仕掛けてくる姿は戦略家の姿さえもある。若者らしい野望も備えているようで偉大なように見えてくるのも不思議だ。

余談だけど、コロナ渦に入り動画投稿というメディアはほぼ一般的なものになったといえる。いわば、やりたければ誰でもメディアに載れる・公の場に自分の姿を披露できる場となった。誰かにプロデュースしてもらう芸能メディアが機能を弱める中、セルフプロデュースや企画発案が長けていれば、知名度や事務所や職業に関係なく誰でも話題になれる時代となり、Youtubeやインスタグラム、tiktokからも非芸能人の人気者が誕生している。

フワちゃん自体は最初は通常の芸人ルートをたどろうとしていたはずだが、なかなかうまくいかず、『やりたいようにやる』ことができるプロデュース方法を見つけて実践・成功したことが非常に魅力的に見える。

時に見える社会への意見や、知的な見解などの聡明さが垣間見えることも自身の笑いを深めているような気もする。テレビとSNS(Web)を介した現代のデビュー/ブレイク方法の代表格な気がして注目度は高かった。


最後は『ぼる塾』と『ラランド』である。

ここは、女性芸人に向けられたイメージに切り込んだ人たちとも言えるかもしれない。テレビを介して見られる、悪しき「芸人とはこういうものだ」といった俗論への一石。

ぼる塾は現在3人でテレビ活躍するユニットであるが、本来は4人組となっている。あと一名の酒寄さんは現在育休中ということで、その活躍を見守っている状態。

あんりの超ストレートなガヤのようなツッコミには心躍る。きりやの独自ワールド展開の異様な味付けはネタよりも平場で光を見せる。そしてそれらを踏まえた上で、田辺さんの調子の良さがその日のぼる塾の出来を占うかのような役回り。全部まとめてひとつにすると非常にまとまった世界。

その中で特徴的なのが、ぼる塾の挙げているNG項目。ざっくり言うと「体を張る過激なことはNG」ということ。

自分の中では人気女性芸人の中には体を張るパワータイプが多いイメージが大きかった。昨今で言うと、イッテQ!系統の森三中・いとうあさこ・おかずクラブ・ガンバレルーヤ、元めちゃイケ系統のオアシズやたんぽぽといった感じで、結構パワープレイで爆笑をさらうタイプも多い。あとはモリマンとか伝説化している気がするコンビもいる。もちろん舞台がパワー系なだけで、それをやり切った先にあるリアクションやワードセンスや掛け合いの秀逸性あってのこと。

もちろん、体を張らないタイプで人気が出ている芸人も多くいるが、なかなか全面的にNGだと公言するのは、出じろを狭めることにもなるので、職種的には非常に珍しくも思ってしまった。

でも、このあり方って現代においては当然のことで、自分たちのやりたい路線があるって意味ではすごくカッコいいことともいえる。ちょっと違うかもしれないが、一般企業でついついお客様都合に敏感になるがあまり、休日作業を断れない人たちもNG宣言をしっかりしていいのではと思わせる。

ラランドのサーヤもそういう意味では、女性芸人に対するイメージを変えつつある、変革を訴える姿が印象的。

アメトーークの『若手女芸人』回で、女性芸人のつけられがちなイメージについて、そもそも基準の考え方が古いときっぱりと発言したり、パワータイプのガンバレルーヤよしこと対峙しそれぞれのタイプの在り方について真向からぶつかる画については、固定観念的に俗世間が思い描く風潮を弾き飛ばす目的ながら、やりとりそのものは笑いに繋がるすばらしいものであった。

『多様性のあるお笑い』を見る側から作っていかないといけない、なんていう想いにまでなる、現代でやっと表せるようになった良作だと思った。

サーヤは本職が会社員で、お笑い芸人を並行して取り組んでいるプレーヤーであるからこそ、持っていた視点でもあり、切り込みやすいポジションにいたのかなと思って、非常に印象深い点であった。ここまで考えられたキャスティングであったのなら、よく考えられた番組作りだと感動する。

センスと意志を真向から表現した笑いが非常に見ごたえあると思った。

特徴立てたところとしては上記の内容だが、芸人だけに限った話ではなく、女性タレント・バラドルというジャンルにおいても今年は非常に目覚ましい戦いがあった年だったと思われる。

今年はみちょぱの活躍を筆頭に、ゆきぽよ、藤田ニコルといったカリスマギャルのパネラー才能、田中みな実や松本まりかといった女性が憧れる『あざとさ』というブランドの邁進、指原莉乃やファーストサマーウイカ、SHELLYなど昨年以前からのトークの腕を持つ強者など、数え出すとキリがない。

一昔前は一番の活躍どころが「MC横のアシスタント」のイメージもあったが、今ではMCやキーパーソンとして番組作りされることも少なく無い。代表的なのが『まっちゃんねる』で話題になった『女子メンタル』の企画。名立たる強豪をねじ伏せ勝利した峰岸みなみに称賛が集まったり、バラエティ界を牽引する女性タレントたちの『作りこみ』による笑いの策がバチバチと火花を散らせる様子は非常に印象深いものだった。

今年はその他にも、『有吉と採点したがる女たち』『女が女に怒る夜』『あざとくて何が悪いの?』を代表に、楽しんだ番組や企画が多くありました。

余談も多くなったが、2点目のテーマとしての思ったところはここまで。


千鳥の活躍レベル

最後はここ。今年の芸人活躍指数第一位だと個人的に思う。

自分的には「解釈の天才」と感じている。観察力と対応力、コメントの中に実力およびセンスが光り、広く活躍していた。

自身がメインのロケ番組として、『テレビ千鳥』や『千鳥の路地裏探訪』『いろはに千鳥』といった活躍が目立つ。普通の場所に対しての見方や捉え方がみるみる変わり、また、『曲がり角の先に潜む危険を演出する下り』に代表される笑いの場としての利用法、一般人との関わりをも独自の視点で笑いのパターンに変える能力はすごい。

さらにモニタリングやパネラーとしてのセンスもすごく光ったように思える。『相席食堂』や『千鳥のクセがすごいネタGP』に代表される番組でのモニタリングでは、どんなVTRでも笑いどころを逃さず視聴者へ伝え、ヘタすると独自の解釈や見解から、意図していない角度からの目線で、『笑いどころを新しく作る』という展開も見せてくれる。

『相席食堂』ではもはやロケ職人の採点バラエティとして、演者と演出それぞれに対し、説得力を持たせるコメントが素晴らしく面白い。『クセスゴ』では、最も上位にいるツッコミとして君臨し、好き勝手に展開されるクセスゴなネタを優しく包む存在として番組を成り立たせている。

個人的には、クセスゴのネタは舞台とスタジオの千鳥ツッコミで成立できる構図にできているのがすごいと思う。徹底してボケに徹しただけのネタでも、オンエアでは千鳥がツッコミ役を担っており、完成形に持っていける。ちなみに、一番その構図を有効利用しているのは、チョコレートプラネットと狩野英孝のような気がする。

視点の鋭さと幅広さ、コメントの奥深さに説得力を持たせることで、言ってることや見解に間違いがないように思わされるセンスもすごい。

また、クセスゴ以外にも直接若手と絡むような『クイズ!THE違和感』の立ち位置もすごくいい。第7世代がノブを中心に後押ししてもらえる環境から、のびのびと大喜利回答を行えたり、宮下草薙の宮下に対するイジりなど、メンバーの印象づけも素晴らしく、いいまとめ役になっている。

そういう意味ではAbemaTVの『チャンスの時間』を見ていないというのはすごくもったいないのかもしれない。ちょっと視野を広げてみます。

メインでもサブでも、モニターでもプレーヤーでも、独自のセンスを活かした一筋縄ではいかない笑い作りは面白いし、なによりカッコいい。

一番の活躍頭として、たくさんテレビで見たなあと思わずにいられない。


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2020年のテレビを見てきた中での自分なりの思ったことを、だらだらと書くだけになりましたが、こんなところが特徴だったかと思います。

テレビなんてみんな見れるもんなんだから、感想なんて人それぞれでいいと思います。なんか通ぶって『これを面白いと思うべき』なんてものはない。

最近のM-1でも『漫才論争』ってのがありましたが、いい意味で考えると、テレビ見て意見言い合えるっていうのは、それだけ盛り上がってるともとれますし、ヒートアップしたい人はヒートアップするのもいいかと思います。それだけ、お笑いについて考えるという人がいるのは、考えようによっちゃ悪くもないです。個人的にはそういうやりとりを静観するのは嫌いではありません。

最強なのは『なんでも楽しめること』。

すべての番組の面白さは何か?できればそこに至るまでの過程含めて理解し、面白さに変わる瞬間を感じ感動できるくらいのレベルアップをしていきたいなぁとか、意識高そうな発言をしつつ、年末年始の特番商戦と来年のテレビも楽しんでいきたいです。

お酒とつまみを楽しみながら、面白いテレビに向かって独り言を投げつける時間が、自分の中でいつまでも最高の時間。

それでは、この記事はここまで。また次回。

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